2022.02.11
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2011年3月11日、東日本大震災。
当時の上智大学はちょうど春休み中で、帰宅困難となった学生もそれほど多くはなく、学生には2号館5階カフェテリア、学外の方には9号館カフェテリア(現9号館アクティブコモンズ)を開放し、大きな混乱もなく済んだのだそう。
しかし、またいつ大規模災害が起こるかはわかりません。
そこで、今回は東日本大震災での経験を踏まえてリニューアルした上智大学の防災を特集いたします!
(インタビュー協力:管財グループ)
上智大学ではほとんどの備蓄品を5年ごとに更新しており、今年の更新では、今までにない新たな備蓄品も追加されました。
・アルファ米3種(わかめごはん(写真のもの)、田舎ごはん、ドライカレー)
・サバイバルパン3種(チョコチップ、ミックスフルーツ、ドライリンゴ(写真のもの))
・えいようかん
・保存水
食料は授業期間中の日中に地震等の災害が発生したという想定で、3日分の食料を目標に備蓄する計画で進めているのだそうで、今のところは約6500人分の食料が備蓄されています。
東日本大震災以降は、避難生活中のささやかな楽しみとなるよう、バラエティのある食料品を意識し、実際に管財グループの職員の方々が試食して選んだ食料品が備蓄されています。
おなじみの方も多いアルファ米。
お湯またはお水を注ぐだけで食べられるお米ですが、今年の備蓄リニューアルとともにハラル認定のものが追加されました。
留学生が在学中に被災した場合の食料もちゃんと確保されているんですね。
こちらもおなじみの方も多いサバイバルパン。
非常時でなくてもおいしく食べられてしまうクオリティで有名なのではないでしょうか。
非常食のパンといえば「缶詰パン」のイメージが強かったのですが、非常時に出るごみの処理について考え、紙でできたエコパッケージにリニューアルしたのだそう。なるほど。
・緊急時用簡易トイレ
・貼らないカイロ
・保温シート(アルミシート)
・ウェットシート
・下着セット
・長ズボン
・生理用品
管財グループによれば、日用品は女性が被災することを意識したものが多く追加されているのだそう。女性が多い上智大学ならではですね。
水の使えない非常時には、体や顔、床などをふいたりすることができるウェットティッシュですが、このウェットティッシュは一般的なウェットティッシュとは違い、なんと3年間も乾かずに保管できるのだそう!
普段使っているウェットティッシュだと数日で乾ききってしまい、ただのティッシュになっていることも多いことを考えると、3年ってすごいですよね!しかも、一度開けたあとも相当乾きづらいのだそうです。
非常時以外でも便利だということで、芸能人の中では普段から愛用している方も多いのだとか。なるほど、たしかにこれは普段から欲しいですね。
体の構造上、女性のほうが男性よりも下着が汚れるということが多いのです。
1日、2日なら平気でも、非常時とはいえ、入浴もできない状況で何日も同じ下着は衛生的によくありません。
下着の替えがどうしても必要なとき、この下着セットは手でほぐすだけで簡単に圧縮状態から広げて使用することができます。
使うまでは圧縮された状態で保管できるので、省スペースですね!
スカートを愛するみなさん、お気に入りのミニスカートで登校した日に被災したら……と考えたことがありますか?
ほぼ毎日スカート登校の私は正直考えたことがなかったのですが、よく考えてみると大変なことですよね。避難所で数日過ごすことになったとき、ズボンがあれば誰もがくつろぎやすいだろうということで新たに追加されました。
ちなみに、サイズは「大は小を兼ねる」ということで全てLなのだそうです。
今後は食料品のバラエティをさらに増やすべく、災害時用の飴などの追加を考えているほか、現在備蓄されているろうそくの安全面を考慮し、LEDを使ったライトなどに置き換えることを検討中なのだそうです。
上智大学は千代田区の一施設としても防災に取り組んでいます。
たくさんの企業ビルがある四谷という立地で、どのような取り組みがなされているのでしょうか。
北門がリニューアルとともにキャンパスの内側に移動したことで、キャンパスの外にも入り口ができた12号館は、近隣町会の方々との協議の結果、近隣住民や帰宅困難者の待機場所として提供されることになりました。みんな大好き北門ゲートによって四谷キャンパスも、地域に開かれたキャンパスに生まれ変わりつつありますね!
四谷キャンパスに隣接する真田堀運動場は、千代田区より災害時退避場所(災害直後の危機や混乱を回避し、身の安全を確保するための一時的な避難所)として指定されています。
上智大学は千代田区が主催する帰宅困難者対応訓練に参加しており、そこで千代田区に建物を構える企業とともに、帰宅困難者の受け入れ方や、身近なものを使った救急救命の方法についての研修を受けています。いざというとき、区全体で困っている人に対応できると理想的ですよね。
すでにお気づきの方も多いかと思いますが、10月の終わりから四谷キャンパス内のエレベーターに非常用エレベーターチェアが設置されました。
エレベーターチェアとは、平常時はクッション付きの椅子として使え、非常時には開封し、中にある備蓄品を使用できるほか、椅子自体も簡易トイレとして使用することができるというものです。
現在、中には飲料水、コップ、ルミカライト、トイレットペーパー、保温シート(アルミシート)と、これを張って目隠しを作れるように吸盤付きクリップと吸盤の下地シールなどが備蓄されています。
詳しい設置場所や備蓄品についてはLOYOLAの大学掲示板をチェックです!
……と、ここまでは緊急時から脱し、主にいったん落ち着いてからの避難所で役立つ備蓄品について紹介いたしましたが、やっぱり一番大事なのは大規模災害が起きたその「瞬間」にとる行動ですよね。キャンパス内で大規模災害にあったらどうすればいいのかを管財グループで伺いました。
四谷キャンパスの建物はすべて耐震補強工事がなされているため、教室にいるときに地震などが起きた場合は、とにかくあわてずにその場で待機するのが賢明なのだそう。
むやみに建物の外に出ると、ガラスなどが降ってくる可能性もありますし、廊下や階段などで逃げ惑うほうが危ないですよね。
一方で、メインストリートなどの屋外にいる場合は、すみやかに建物の中に避難するのが良いそうです。
また、万が一蛍光灯や天井が落ちてくることを想定し、教室などにいる場合は机の下にもぐるなどし、頭を守ることも大切です。
災害時にはいろいろな情報がインターネットを通して飛び交うことがありますが、大学で待機する場合は防災センターの指示に従うことが重要になります。実際に発生している危険以上に、不安な気持ちは増幅されることがあります。とくに、大人数が集まっている避難所では不安な気持ちがお互いに伝わり、増幅しやすいとのこと。冷静に大学職員の指示を優先しましょう。
今回、大学の手厚い防災事情についてを特集しましたが、最終的に自分を守るのは自分です。
時代の変化に合わせてよりよく変化する上智大学の防災を知ったことをきっかけに、私たち一人一人もいまいちど「いざというとき」について考え、防災意識をアップデートして、楽しいキャンパスライフを送りましょう~!
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