読書は知性の筋トレであり、最も手軽な旅でもあり、時には人生を変えることも。各学部の先生から3 冊ずつ「学生時代に出会ってほしい本」を紹介します。価値観を揺るがす学術書から不朽の文学まで。まずは一冊、読んでみては。
(大学手帳『SOPHIANS’ DIARY 2023』より転載)
神学部神学科 片山はるひ先生
『生きがいについて』
神谷美恵子、みすず書房
授業で、「人間、死ぬ前に読むべき本があります!」と言ってお勧めしている本です。生きる意味について深く考えさせられ、励まされる本です。
おすすめ2│『愛すること、生きること:全訳『愛と心理療法』』M・スコット・ペック 著/氏原寛・矢野隆子 訳、創元社
おすすめ3│『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル 著/(旧版)霧山徳爾(新版)池田香代子 訳、みすず書房
文学部 ドイツ文学科 佐藤朋之先生
『半神』
萩尾望都、小学館文庫
他人が見る〈私〉と自分が知る〈私〉の隔たりからくる不安が、凝縮された美しさで描かれています。3冊とも、自己と世界の関係を極限状況の中で捉えた名著です。
おすすめ2│『アンネの日記(増補新訂版)』アンネ・フランク 著/深町眞理子 訳、文春文庫
おすすめ3│『流れとよどみ:哲学断章』大森荘蔵、産業図書
総合人間科学部 看護学科 塚本尚子先生
『看護覚え書:看護であること 看護でないこと(改訳第7版)』
フロレンス・ナイチンゲール 著/湯槇ます 他 訳、現代社
超高齢社会の我が国でケアが求められる今だからこそ、すべての人にお勧めしたい看護学の名著です。ぜひ、ケアの原点を味わってください。
おすすめ2│『病牀六尺』正岡子規、岩波文庫
おすすめ3│Shuntaro Tanikawa『二十億光年の孤独 Two Billion Light-Years of Solitude』谷川俊太郎/ trans. William I. Elliot and Kazuo Kawamura、集英社文庫
法学部 国際関係法学科 永野仁美先生
『魔女の1ダース:正義と常識に冷や水を浴びせる13章』
米原万里、新潮文庫
キリスト教文化圏では不吉な数字とされる13は、東洋ではおめでたい数字である。ロシア語通訳の第一人者であった筆者が、「常識」を相対化する1冊。
おすすめ2│『手紙』東野圭吾、文春文庫
おすすめ3│『四畳半神話大系』森見登美彦、角川文庫
経済学部 経済学科 堀江哲也先生
『旧約聖書物語(増訂版)』
犬養道子、新潮社
登場人物が皆、大変な苦労をしながら、人生を歩んでいく物語です。「自分の場合には、何を学ぶためにこの苦労は与えられているのだろうか」と、問題に際しても、その問題に飲み込まれずに客観的に自分を見つめる姿勢を獲得するきっかけを、得ることができるでしょう。
おすすめ2│『気候変動クライシス』ゲルノット・ワグナー、マーティン・ワイツマン 著/山形浩生 訳、東洋経済新報社
おすすめ3│『芙蓉の人(新装版)』新田次郎、文春文庫
外国語学部 ポルトガル語学科 Neves Mauro先生
『さまよえる近代:グローバル化の文化研究』
アルジュン・アパデュライ 著/門田健一 訳、平凡社
グローバル化をきちんと視野にいれた文化人類学の、理論的著作の代表。文化が移民および技術から受ける影響を解析した出色の書。日本語の訳より英語のオリジナルがオススメ。
おすすめ2│『ポルトガルの海(増補版):フェルナンド・ペソア詩選』フェルナンド・ペソア 著/池上岑夫 編訳、彩流社
おすすめ3│『枕草子』清少納言 著/池田亀鑑 校訂、岩波文庫
総合グローバル学部 総合グローバル学科 久志本裕子先生
『イスラーム的:世界化時代の中で』
大塚和夫、講談社学術文庫
イスラーム教徒(ムスリム)が何を「イスラーム的」と捉えるかは、それぞれの状況によって大きく異なるということを人類学的に読み解いた本です。「宗教対立」の要因は宗教そのものではないことがよくわかります。
おすすめ2│『イスラーム思想を読みとく』松山洋平、ちくま新書
おすすめ3│『イスラーム文化:その根底にあるもの』井筒俊彦、岩波文庫
国際教養学部 国際教養学科 河野至恩先生
『大聖堂』
レイモンド・カーヴァー 著/村上春樹 訳、中央公論新社
学生時代、村上春樹訳でカーヴァーの短編小説に出会った。シンプルだが選び抜かれた言葉を通し、現代アメリカ社会に潜む小さなドラマを描ききった短編小説集。世界文学の短編小説への入り口としてもお勧めできる。
おすすめ2│Anton Chekhov, The Lady with the Little Dog and Other Stories, 1896-1904, Penguin Classics.
おすすめ3│James Joyce, Dubliners, Penguin Classics.
理工学部 機能創造理工学科 Dzieminska Edyta先生
Scott Kelly, Endurance: My Year in Space, A Lifetime of Discovery, Alfred A. Knopf
This is a very inspiring book from a former astronaut who spent a year on the international space station. It shows you that you don’t have to be the best all the time, but endurance is the key for success.
おすすめ2│『ウィッチャーⅠ:エルフの血脈』アンドレイ・サプコフスキ 著/川野靖子・天沼春樹 訳、ハヤカワ文庫FT
おすすめ3│Peter Meyers and Shann Nix, As We Speak: How to Make Your Point and Have It Stick, Atria Books
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2024.10.18
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