キルギス共和国で1ヵ月生活してみた
2023.11.10
こんにちは。今年もあと数日で終わるそうですが、皆さんいかがお過ごしですか。私は卒論よりこちらの記事を先に書くという英断(?)をしたので、今は卒業を賭けた†聖戦†の真っ只中にいます。
それ以外にも色々と用事があり、なんやかんやで今年度は土日も大学に来ていた気がするそういち君ですが、最近ふとこんなことを思うようになりました。
恐らく皆さんも一度はお金に関する疑問を抱いた経験があると思います。例えば、メンストの工事にいくらかかっているのだろうか、四谷キャンパスの土地って何円くらいなのだろうか、我々の学費は何に使われているのだろうか、などなど。
そんな疑問に応えられるよう、大学(正確には学校法人)は貸借対照表といった計算書類 など を公開しています。
事業計画書・事業報告書・財務状況(決算資料) | 公開情報 | 学校法人 上智学院 Sophia School Corporation (sophia-sc.jp)
これを読めば、あなたの疑問もまるっと解決! めでたしめでたし。……で済む人は少数派かと思います。だって経済学部4年の私ですら満足に読めないのですから。しかし、理解できないのならできるようになりたいと思うのは人の性。ですので今回は、詳しい人に協力を仰ぎながら上智学院の計算書類を読んでいこうの回です。
記事の執筆に際して、上智学院財務グループ様のご協力をいただきました。
では早速、先ほど出したリンクから上智学院の「事業計画書・事業報告書・財務状況(決算資料)」というページに飛びます。「財務状況[PDF]」をクリックすると、「2022年度(令和4年度)財務の状況について」というPDFファイルが読めます。
構成としては財産目録、貸借対照表、資金収支計算書、活動区分資金収支計算書、事業活動収支計算書、そして最後に監事監査報告書となっています。
さてさて、このペースで書いていくとメチャクチャ長くなる上、対して面白くない記事になりかねません(愉快な記事を書く技量が欠落しているため)。ですので今回は、どこから資金を集め、どんなことに使っているのかという視点から見ていきます!
……わぁ。文字と数字でいっぱい。
私以外にもこんな感想を抱いた読者様が多そうですので、簡単に説明します。上の画像は「事業活動収支計算書」と呼ばれる資料で、科目、予算、決算、差異で構成されています。
科目とはお金の内容を表す「見出し」のようなもので、例えば「授業料」や「教育充実費」などが当てはまります。予算は文字通りの予算で、例えば今年の「人件費」はこれくらいだろうという見積です。決算は実際にいくらだったのかを表し、予算と決算の差を差異としています。
科目とはお金の内容を表す「見出し」だと説明しましたが、具体的にどのような科目があるのでしょうか。「授業料」や「人件費」はなんとなく想像がつきますが、「教育充実費」や「補助活動収入」といった、あまりピンとこない科目もあります。
「学校法人会計基準 別表第一 資金収支計算書記載科目」 に学校法人で用いられている科目の詳細がある程度掲載されているのですが、上智学院の場合はどうなのかが気になったので、改めてまとめました☆
収入の部 | ||
科目 | 説明 | |
大科目 | 小科目 | |
学生生徒等納付金 | 授業料 | 学位の授与に要する教育サービスの対価 |
入学金 | 入学できる地位を取得するための対価 | |
実験実習料 | 教育研究活動における実験や実習に要する費用 | |
教育充実費 | 教育研究環境の維持・管理、将来に向けた設備充実のための費用(校舎の維持・修繕、PCルーム、図書館など) | |
手数料 | 入学検定料 | 入学試験のために徴収する収入 |
試験料 | 編入学や追試験などのために徴収する収入 | |
証明手数料 | 在学証明、成績証明などの証明のために徴収する収入 | |
大学入学共通テスト実施手数料 | 共通テストに関わる手数料からの収入 | |
寄付金 | 特別寄付金 | 用途指定のある寄付金で、上智大学では「SOPHIA未来募金」が該当 |
一般寄付金 | 用途指定のない寄付金で、上智大学では募集していない(中等教育部門で募集している) | |
付随事業収入 | 補助活動収入 | 教育活動に付随する活動にかかる事業の収入で、直営学生寮における寮費収入が該当 |
受託事業収入 | 受託研究費が該当 | |
公開講座収入 | 学外の方も受講できる公開講座における収入で、グリーフケア研究所主催の講座やプロフェッショナル・スタディーズの講座、神学講座などが該当 | |
雑収入 | 施設設備利用料 | 本学の教室等を利用する外部団体から徴収する利用料収入 |
課外活動収入 | 課外活動のために徴収する収入で、上智大学としては課外活動収入を計上していない(中等教育部門で発生) |
支出の部 | ||
科目 | 説明 | |
大科目 | 小科目 | |
人件費 | 教員人件費 | 教員に支給する本俸や手当、所定福利費が該当 |
職員人件費 | 教員以外の職員に支給する本俸や手当、所定福利費が該当 | |
教育研究費 | 用品費 | 取得価格10万円以上20万円未満かつ耐用年数1年以上の物品 |
消耗品費 | 取得価格10万円未満かつ耐用年数1年未満の物品 | |
業務委託費 | 主に、キャンパス内の清掃・警備業務や施設保守管理業務、ネットワーク管理業務が該当 |
重要そうな科目のみをピックアップして紹介しましたが、それでも沢山ありますね💦 必要に応じて参照してください!
それでは改めて事業活動収支計算書を見てみましょう。先ほどよりもお金の動きが掴めるようになっていると思います!
気になった・面白い・驚いたetc. と思える箇所はございましたか? 私は「人件費」 に150億円以上もかかっていることにビックリしました。結構高いのですね。
……しかし、これってどれくらい高いのでしょうか。比較として他大学の「人件費」を調べてみると、例えば早稲田大学 はおよそ480億円(48,187,174,680)、日本大学にいたっては930億円ほど(92,884,736,314)も「人件費」として支出しています。
こう見ると上智の「人件費」は低い方なのか、いや教職員数がその2つの大学より少ないだけか、でも学生数当たりで考えれば教職員数は他大学より多いはず……。
他と比較するにあたって、単純に数字だけで比べるのは無理がありそうです。
そこで役立つのは比率・割合です。例として「人件費依存率」(人件費÷学生生徒等納付金)で上智を含む3つの大学を比べてみましょう。
人件費依存率 | 上智学院 | 早稲田大学 | 日本大学 |
人件費/学生生徒等納付金 | 81.845% | 73.975% | 82.400% |
このように、数字だけのときよりも見比べやすくなりました。人件費依存率とは、人件費を学生生徒等納付金でどれだけ賄えているかを示す比率ですが、こう見てみると飛び抜けて低いわけでも高いわけでもないようです。他にも指標がありますので、ご紹介します!
財務比率 | 算式方式 | 評価 | 法人全体 | 27法人 | 上智学院 |
学生生徒等納付金比率 | 学生生徒等納付金/経常収入 | – | 50.544% | 71.385% | 68.157% |
寄付金比率 | 寄付金/事業活動収入 | △ | 1.909% | 1.703% | 2.304% |
補助金比率 | 補助金/事業活動収入 | △ | 11.620% | 11.356% | 15.497% |
人件費比率 | 人件費/経常収入 | ▲ | 47.105% | 49.472% | 55.783% |
人件費依存率 | 人件費/学生生徒等納付金 | ▲ | 93.197% | 73.910% | 81.845% |
教育研究経費比率 | 教育研究費/経常収入 | △ | 40.851% | 38.757% | 36.903% |
管理経費比率 | 管理経費/経常収入 | ▲ | 5.423% | 5.798% | 6.720% |
財務比率 | 評価 | 27法人 | 上智学院 | 財務グループ様からのコメント |
学生生徒等納付金比率 | – | 71.385% | 68.157% | 経常収入に占める資産運用収入の割合が高いため、他大学と比べて比較的低いと考えられます。 |
寄付金比率 | △ | 1.703% | 2.304% | 卒業生や企業等へ積極的に働きかけ寄付金を獲得していることが本比率の高さにつながっていると考えられています。 |
補助金比率 | △ | 11.356% | 15.497% | 積極的に補助金を獲得していることが本比率の高さにつながっていると考えられます。 |
人件費比率 | ▲ | 49.472% | 55.783% | 上智大学は他大学と比べて少人数教育を重視しているため、本比率が高いと考えられます。 |
人件費依存率 | ▲ | 73.910% | 81.845% | |
教育研究経費比率 | △ | 38.757% | 36.903% | 直営学生寮を所有しているため管理経費比率の割合が高く、そのため本比率が押し下げられていると考えられます。 |
管理経費比率 | ▲ | 5.798% | 6.720% | 上智大学が所有している直営寮の経費をすべて管理経費としているため、借り上げ寮のみを提供している他大学と比べて本比率が高いと考えられます。 |
比率・割合を見ることで、決算額だけではわからないことも捉えられたと思います。少人数教育に力を入れているというということが数字としても見えたり、学納金以外にも収入源が多様であることが明らかになったり。
上智大学の財務情報には、今回見てきた「事業活動収支計算書」以外にも上智を財務的に知る資料が多く公開されています。また、毎年5月下旬に決算資料が掲載されます。これを機に、是非皆さんも読んでみてください。きっと新しい発見がありますよ! それではよいお年を~。
2023.11.10
2023.01.27