卒業までに知りたい、知られざる上智の図書館!
2023.03.24
皆さんは、上智で落語会が開催されていることをご存じですか?
落語と聞くと、「渋い」「理解するのが難しい」「若者向けじゃないのでは……」と思う方も多いかもしれませんね。しかし上智では、在学生でも一般の方でも、どんな人でも楽しめる落語会が毎月開催されています。その名も「四谷だいえい百席」。今回は、その落語会の様子と、出演されている落語家の方へのインタビューをお届けします!
上智落語愛好会(SRA)という上智学院の教職員サークルが主催する落語会で、2023年10月から、11号館1階のSSICにて毎月開催されています。「百席」という言葉通り、毎月違う演目を3席し、それを33回行う(最終日は4席)ことで計100席を目指します。
出演は、「春風亭だいえい」さん。実は上智の卒業生(2014年新聞学科卒)で、男子バスケットボール部に所属していました。卒業後は一度映画会社に就職しましたが、3年後に退職。2017年に春風亭百栄師匠に入門し、2022年には二ツ目に昇進しました。
4月26日(金)に開催された、「四谷だいえい百席vol. 7」に行ってみました! この回は四谷だいえい百席の7回目の公演で、19から21席目を披露することになります。
開場前には、運営の方がいすや高座の準備をしたり、お客さんに配布する用に、だいえいさんが出演予定の様々な落語会のちらしをまとめていたりしていました。
開場時間の18時半になると、すでに待機していたお客さん数名が早速ご来場! その後もお客さんが次々と入っていきました。席は自由席です。
ちなみにこの落語会ではスタンプカードを配布しており、1回の来場につきスタンプ1個をゲットできます。スタンプが10個たまると記念品がもらえます!
基本的には予約制ですが(予約については後ほど説明します)、当日ふらっと立ち寄ることも可能とのこと。実際に、この日は10名ほどが予約なしでご来場されたそうです。
開演時間の19時10分になり、上智落語愛好会の川上さんによるあいさつが終わると、早速1席目がスタートしました。演目は、「山号寺号(さんごうじごう)」、「かぼちゃや」、「犬の字」の3つ。
簡単にどんな話か説明すると、「山号寺号」は「○○さん□□じ」に当てはまるような色んな言葉を作り出す、言葉遊びが面白いお話。「かぼちゃや」は、20歳の少年・与太郎が初めてのかぼちゃ売りに奮闘するお話。天秤棒を肩に担いで、かぼちゃを売る姿が印象的です。「犬の字」は、白犬が人間に生まれ変わり、犬の面影を残しながら人間のように生活をするお話。予想外のオチになるほど、と思わされます。
時事ネタとアドリブ満載な語りからスタートし、1席目からお客さんの心をグッとつかんでいました。2席目と3席目は、1席目より少し長めで、登場人物に対してかわいらしい! と思ったり、情景の面白さを想像できたりと、どちらも聴い ていてとても満足感がありました。客席から何度も笑いが起きたと同時に、1席終わるごとに皆さん割れんばかりの拍手をされていたのが印象的でした!
落語会は1時間ほどで終了し、終演後に出入口付近にいるだいえいさんと直接お話をしたり、一緒に写真を撮ったりするお客さんが何人かいらっしゃいました。開始当初に比べ学生のお客さんも着実に増えてきているようです。更に拡がると良いですね~。
四谷だいえい百席がどういったものかお分かりいただけたでしょうか? ここからは、出演者の春風亭だいえいさんにクローズアップします! ご自身の経歴や落語のことなどについて、あれこれ聞いてみました。
2022年頃に神学部の原敬子先生と学生センターの川上さんが、僕の師匠である百栄の落語会に行ったそうで。その時に、上智出身の弟子(だいえいさん)がいるということを知ってくださいました。それでちょうどその頃、僕が二ツ目*に昇進する直前だったので、昇進祝いも兼ねてということで上智のカトリック・イエズス会センターで落語会を開かせていただいたのが最初のきっかけです。
(*落語家は前座、二ツ目、真打の順で階級が高くなり、前座という見習い期間を経て二ツ目になると、一人の落語家として仕事ができるようになります。)
その1年後くらいに川上さんから、SSICを使って落語会をしないかと言っていただきました。若手は仕事が少なくて高座数を稼ぎたいということもあり、せっかくならと思って毎月落語会を開くことにしたのですが、何か目標があった方が良いだろうということで、毎月違う落語を3つずつやって、全部で100席しようと決めました。
上智では人との関わり方を学べたなと思っています。当時の新聞学科は少人数で、みんなと顔見知りになって仲良くできました。高校時代は割と陰キャ寄りだったのですが、大学に入ってから、真面目すぎず、適度にふざけることの大切さを知りました。あんまり勉強はしてなかったです。
小さい頃から落語を聴くのは好きだったのですが、落研ではありませんでした。まだその時には自分で落語を演るなんて思いにも至らなかったですね。
新聞学科は割とテレビマンとか記者になりたいっていう明確な目標を持って入学する人が多い中、僕は文学部に行きたかっただけで、新聞学科に入ったのはたまたまでした。映画会社に就職したのも本当に成り行きで。それでもコンテンツに触れるのは好きだったので、エンタメ系に就職したいというのは漠然とありました。
映画会社にいた時は、自分が興味のない仕事をするのがしんどいなぁと感じていました。映画にもいろんなジャンルがあって、個人的にあまり興味の沸かないジャンルの映画も売り込まなければならないので、そういう物もしっかりとこなすのが、お給料をもらって働く=プロ、ということなんですが、僕には難しかったですね。
大学時代まではレールから外れる人たちが異端として見られるのに、社会人になるといきなり自分で考えなさいっていう風になったので、そんな訓練してきてないし無理だな、人生行き詰ってるなと思い始めました。会社の環境と周りの人たちも本当に良い人ばかりだったので、これはもう完全に自分の問題なのですが、何か良い生き方がないかとだんだん考えるようになって、そこで初めて自分の意志で、ずっと好きだった落語をやってみようと決めたというのが経緯としてあります。
映画会社にいた時の方が確かに給料は良かったですが、精神的な満足度は今の方が大きいです。大前提として落語も映画も、作品といわれる物に触れることは好きです。ただ落語は映画やドラマや演劇と違って、一人で演出も監督も脚本もやるので、自分で好きなようにできて、それでお客さんが笑ってくれるというのが究極の一人芸という感じがします。
言い訳っぽくなってしまうかもしれないですが、落語は必ずしも笑うために聴くものでは無い感じがします(笑えるのも良いですが)。話の醸し出す雰囲気とか、話の本質をかみ砕きながら聴いてもらいたいなぁっていうのはあります。例えば与太郎という登場人物がいた時に、100人お客さんがいたら、そのお客さんの中で想像する与太郎の顔は100通りあるんですよね。それで聴いてる側にも自分で話を構築してもらって、想像してもらうと良いんじゃないかなと思います。
皆さんはおそらくコロナ禍で学生生活を送られていて、僕ら以上に自分で考えて行動することが強いられている世代なのかなと感じます。僕らは基本的に、行事の流れに乗っかっていればある程度の学生生活は送れた世代なので、いろんな行事が無くなるような経験をした今の子たちは、かわいそうではありますが立派だなと思います。高校時代の経験とかも含めて、自分で考えて行動する力を養ってほしいです。
――本番前にも関わらず、快く取材に応じてくださっただいえいさん。いち後輩として興味深いお話がたくさんあり、私の緊張もほぐしてくださるなど(笑)お心遣いもしていただいて素敵な方でした! 皆さんもぜひ会いに行ってみてはいかがでしょうか。
だいえいさんへのインタビューと、実際に落語を聴いたことで感じたことは、落語は思ったよりも気軽に楽しめるものだということです。言葉と動きで物語を想起する落語は、文字だけで物語を思い浮かべる小説や、音声だけで想像するラジオとあまり変わらないものだと感じました。小説やラジオを楽しむように、落語もふらっと、気軽に楽しめるものであるような気がします!
以下に四谷だいえい百席の詳細を記載します。興味のある方はぜひ聴きに行ってみてください! 過去の落語も聴くことができるので、そちらもぜひご確認ください。それでは!
会場:SSIC(11号館1階)
時間:18時30分開場 19時10分開演
木戸銭:1000円(上智大生は無料)
今後の予定(2024年5月現在、決定している日程)
:5月24日(金)、6月10日(月)、7月2日(火)、8月23日(金)
・このURLにアクセスし、申し込みフォームから予約ができます。
→https://missionsvision.wordpress.com/daiei/
・Xのアカウント:上智落語愛好会SRA(@sophiarakugo)、春風亭だいえい( @haru_daiA)
2023.03.24
2024.08.09