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上智のいまを発見

「世界青年の船」Part 2:ジェンダー

2022.03.18

令和3年度「世界青年の船」事業の参加報告の第2回は、中島小百合さん(英文学科2016年度卒業、グローバルコンピテンシープログラム(国際協力)修了)です。この事業は学生だけでなく、社会人も参加の対象となっています。中島さんからは、ジェンダーのコースディスカッションについてと、プログラム内外での交流について報告します。

【コースディスカッション ジェンダー】

私がジェンダーコースを選んだ理由は、上智大学で国連などの国際機関出身の先生の講義を通して学んだ教育や経済等における世界のジェンダー課題、留学先で感じたジェンダー等の多様性への寛容さ、日本や日常で感じるジェンダー平等課題が動機となり、より深く学びたい、参加者と話してみたいと思ったからです。

Day1では、ファシリテーターやゲストスピーカーからジェンダーに関する概念や理論を学びました。特に印象的だったのが、ある写真をみて「男性」か「女性」か答えるというクイズでした。例えば、病人を看護する人の手元の写真、手術をしている人の手元の写真、どちらも「Healing(治癒)」と書かれていますが、参加者の多くが前者は「女性」、後者は「男性」と回答しました。その他にも、農業、銃、水などの写真が用いられました。このエクササイズから、「女性」は支援的、穏やか、「男性」は、優れている、強いなど、私たちの無意識にいかに性に対する固定観念や偏見が入り込んでいるのかを再認識しました。そして、差別や不当な扱いは、性のみならず、人種、国籍、職業など様々な社会的カテゴリーの複雑な絡みとも関係していることがわかりました。

Day2では、各国のジェンダー平等の取組における「ベストプラクティス」を各国の代表者が発表しました。例えば、日本では特に経済や政治の面でのジェンダー平等課題が顕著ということから、重要な意思決定を担う女性の国や地方の議員を育成するプログラムを紹介しました。また、他の国では、女性のIT分野での活躍を増やす教育やリーダーシッププログラムといった男女間の経済格差是正、性暴力防止、大学でのジェンダー平等に関する発表がありました。そして、取り組みの評価によく数値が用いられますが、課題解決への影響、具体的な変化といった本質的な評価も重要だと学びました。

Day3では、小グループに分かれ、ジェンダー平等課題を1つ選びそれに対するアクションプランを話し合い、発表しました。まず「SMART指標」というアプローチとGoogle Jamboardを活用し、課題や解決策を明らかにしました。そしていくつかの解決策を「実現達成」「影響的」の2つの軸で整理した後、私たちが取り組めるより具体的なアクションプランを1つ考えました。例えば、様々な好事例を参考に現場のコンテキストに合わせ応用すること、次世代へのロールモデルの育成や紹介をすること、参加者をエンパワーメントできるようなオンラインプログラムを開催することなどが挙げられました。
参加者の中には既に、ジェンダー平等課題に対して勉強、ボランティア、仕事を通して貢献している人もいますが、今後もそれぞれの活動をより大きな輪にすることが期待されます。

【ワークショップを通した交流】

プログラム内での交流として、私は、スウェーデンとオマーンのワークショップに参加しました。
各国のワークショップの中で、この2つを選んだ理由は、自分が普段出会うことのない遠い国の文化や人のことをもっと知りたいと思ったからでした。参加する前は、スウェーデンは教育や福祉などの制度が充実しているイメージで興味があり、オマーンについては名前は聞いたことはありましたが実際の生活については全く知りませんでした。
スウェーデンのワークショップでは、参加者がオンラインでリアルタイムに回答できる文化クイズ、小グループで各国のマイノリティーグループについてディスカッション、ルーン文字で自分の名前を書く体験がありました。特にディスカッションでは、言語や伝統などをどのように守っていくか、マイノリティー問題について考えるきっかけとなったなどの意見がありました。
オマーンのワークショップでは、簡単な挨拶やアラビア文字の紹介、食事や衣装などの文化紹介、紙とペンで幾何学模様のブックマーク作りを行いました。
オンラインではありますが、その国について親近感が湧いたり理解が深まったりしました。また、どちらの国についてもより知りたい、行ってみたいと思うようになりました。

【プログラム外での交流】

プログラム外の交流として、日本人参加青年や海外参加青年がお互いより活発に交流できる場を増やしたり、他のメンバーが企画するイベントに参加したりしました。
海外参加青年との交流機会を増やす場を提供することについては、例えば、協力メンバーと共にFacebookページを作成したり、SpatialChatと呼ばれる24時間話せるプラットフォームを活用したりしました。各々が住んでいる国や地域の風景や文化について写真や動画を投稿したり、気になる社会問題についてメンバーに問いかけたりするなどしていました。またそこから派生し、私は海外参加青年とオンラインボードゲーム会を企画し参加者を募り数回行いました。
日本参加青年が企画するキャリア、社会問題、英会話、雑談など様々なテーマのイベントにも参加しました。限られた日時で行われるプログラムの中では、普段あまり挙がらない話題があったり、コースディスカッションを超えたメンバーとの交流があったりしました。
このようなプログラム外での交流は、お互いの異なるバックグラウンドや考えを発信すること、知り理解すること、そして共に活動することを通して、刺激し合い助け合いながら、信頼関係性や仲間意識を高めることに役立ちました。同時に、プログラム内でのディスカッションや発表準備などにおいて円滑なコミュニケーションをとる手助けとなりました。

SpatialChatの仮想空間

【感想と今後】

学生時代から携わってきた国際交流や青少年育成といった活動が、新型コロナウイルス感染症により全て中止となってしまいました。そうした自分の中での軸が無くなってしまったことから、世界青年の船事業を通し再度「世界」と繋がりたい、今自分ができることは何か、今後どのようなことをしたいのかを考えるきっかけとなりました。また、言語や知識の習得だけではなくて、この事業に参加しなかったら出会わなかった「仲間」という財産が得られました。そして、自分が少しでもやってみたい、興味があることに素直にやってみるという経験が増えたことで自信につながりました。

今後は、引き続き国際交流や国際協力において、仕事やボランティア等を通して国内外の課題解決にアクションし貢献していきたいです。また、日常生活や仕事においてもジェンダーの視点を意識し、取り組めるところから課題を改善していきたいです。そして、自分自身がロールモデルの1人となっていきたいです。

第2弾をお読みくださり、ありがとうございました。第3弾もお楽しみに!