2021.08.30
大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。
普段の授業では知れない学生時代のエピソードなど綴っていただく「先生コラム」の第7回目をお送りします。先生コラムは教員から次の教員をご紹介いただくリレー形式でお届けします。
今回は、国枝智樹先生(新聞学科)からのご紹介、鎌田浩史先生(基盤教育センター)です!
国枝先生とわたし
新聞学科の国枝先生からバトンを受け取って本コラムを執筆している基盤教育センターの鎌田です。ふだんは上智大学の事務職員としてデータ分析業務や広報業務などに従事しながら、2022年度から1年生の全学必修科目となった「データサイエンス概論」の講義を担当しています。国枝先生とは2021年度の学内プロジェクトでご一緒させていただきました。国枝先生からは広報がご専門の立場から、上智大学の評判を高めていくためにどのような広報活動をしていけばいいのか(=レピュテーション・マネジメント)について有益なアドバイスをいただきました。今後の上智大学の広報活動に活かしていきたいと考えています。
統計学とわたし
当時文学部にあった上智大学の心理学科に入学したのが1997年。あれから四半世紀の歳月が流れましたが、統計学との出会いは悲惨なものでした。心理学科の1年次生の必修科目で統計に関する授業があるのですが、なんと内容がまったくわからなかったのです! 心理学というのは、調査や実験をして、そこで得られたデータを分析することによって、人の心のメカニズムを探るという学問です。統計学がわからないと心理学を学んだことになりません。友だちに聞いてみても授業の内容がわからないといいます。みんなで助け合って必死に勉強しました。そのときの “わからなかった”という経験が「データサイエンス概論」の授業運営に役立っていて、どのような授業をしたら学生の学びにつながるかを真剣に考えています。あと、友だち大事。
統計学の基礎が身についたという実感を得たのは、大学4年生のとき、大学院入試のために勉強していたときでした。統計学の入門書を丁寧に読み込んだら、意外と簡単なことだったことがわかったのです。このとき私は当たり前の事実に気づいたのです。授業の予習復習はむちゃくちゃ大事。これで大事なものがふたつでてきました。友だちと予習復習ですね。
それから大学院に入学して、Kirkの「Experimental Design」という超絶分厚い英語の統計の教科書を精読することにしました。内容はとても難解でしたが、実験計画法と分散分析についての知識だけでなく、粘り強く勉強すれば何とか理解できるという信念にも近いものが得られたのが、私にとって非常に重要な経験でした。みっつめの大事なもの。粘り強さ。
まだなにも成し遂げていないのにこのような自分語りは酷いなと思いつつ、こうして振り返ってみると、やはり友だちに恵まれているな、と感じます。友だちは大事にしたほうがいい。いまでもさまざまな局面で助けられています。それから、学生時代に一生懸命勉強していてよかったな、とも感じます。大学での勉強は、もしかするとそれ自体が直接役に立つということはめったにないかもしれません(これについては、役立たせようとするには大学4年間という時間は短すぎるという側面のほうが強いかもしれません)。しかし、武道の“型”のように、考え方の基礎となります。なにかの運が巡ってきたときに、それを手繰り寄せる力となるのは、やはり考え方の基礎があるかどうかだと思います。基礎を固めておけば、いざというときに役立つのです。学生のみなさんには、学生時代にたくさんの人と出会い、そしてたくさん勉強してほしいなあと思います。よくある話ではありますが、結局はそういうことが大事なんだと思います。
荒井先生とわたし
大学院時代は「聴覚知覚における左右大脳半球の機能差」を研究していました。ピーとかブーとかいう音を一日中鳴らしていた実験室は、忘れられない思い出の場所です。そのときにピーかブーとかいう音(これを、聴覚刺激といいます)を作成するためのプログラミングなどでとてもお世話になった情報理工学科の荒井先生にバトンを繋げたいと思います。荒井先生、よろしくお願いします!
次回は……
鎌田先生から荒井隆行先生(情報理工学科)をご紹介いただきました。次回の「先生コラム」もお楽しみに。
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