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上智のいまを発見

先生選書2020

2021.08.23

読書は知性の筋トレであり、最も手軽な旅でもあり、時には人生を変えることも。
学長+各学部の先生から毎年25冊の「学生時代に出会ってほしい本」を紹介します。
(大学手帳『SOPHIANS’ DIARY 2020』より転載)

神学部 神学科 森裕子先生

神学部 神学科 森裕子先生

『苦海浄土:わが水俣病』石牟礼道子、講談社文庫
弱い立場に追いやられて苦しむ人の側に立ち、声をあげることのできない人の声となるということがどういうことか、考えさせてくれる著作です。不知火地方の方言で語る人たちのことばが、こころに豊かに響きます。
おすすめ2│『回勅 ラウダート・シ:ともに暮らす家を大切に』教皇フランシスコ 著/ 瀬本正之、吉川まみ 訳、カトリック中央協議会
おすすめ3│『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル 著/(旧版)霜山徳爾(新版)池田香代子 訳、みすず書房

文学部 新聞学科 柴野京子先生

文学部 新聞学科 柴野京子先生

『まなざしの地獄:尽きなく生きることの社会学』見田宗介、河出書房新社
高度経済成長末期に連続射殺事件を起こした青年 、N.N 。その軌跡を丁寧に追いながら、戦後日本社会の構造変容と、個人のアイデンティティに迫る論考。ものごとをよく見、寄り添い、深く考え抜くことを教えられる。
おすすめ2│『五重塔』幸田露伴、岩波文庫
おすすめ3│『コルシア書店の仲間たち』須賀敦子、文春文庫

総合人間科学部 社会学科 田渕六郎先生

総合人間科学部 社会学科 田渕六郎先生

『冗談』ミラン・クンデラ 著/西永良成 訳、岩波書店
原著は1967年刊。20世紀チェコを舞台にした、歴史に翻弄される人びとの物語。学生時代に読み、こんな小説があるのかと大きな衝撃を受けました。
おすすめ2│『イザベラ・バードの旅:「日本奥地紀行」を読む』宮本常一、講談社学術文庫
おすすめ3│『日本の思想』丸山真男、岩波新書

法学部 国際関係法学科 駒田泰土先生

法学部 国際関係法学科 駒田泰土先生

『かわいそうなチェロ』三井哲夫、近代文藝社
時々毒を吐く変人ぽい元裁判官の著者は、誰よりもエスプリを体現した学問の人だと思う。法学の話題が多いが非法学の徒であっても楽しめるエッセイ集。
おすすめ2│『フェルマーの最終定理』サイモン・シン 著/ 青木薫 訳、新潮社
おすすめ3│『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い10 分間の大激論の謎』デヴィッド・エドモンズ、ジョン・エーディナウ 著/ 二木麻里 訳、筑摩書房

経済学部 経営学科 竹之内秀行先生

経済学部 経営学科 竹之内秀行先生

『知的複眼思考法:誰でも持っている創造力のスイッチ』苅谷剛彦、講談社┼α文庫
思考法に関する書籍の中でも、大切なことに気づかせてくれる一冊。「書くことの大切さ」や「疑問と問いの違い」など、色々考えさせられます。
おすすめ2│『市場を創る:バザールからネット取引まで』ジョン・マクミラン 著/ 瀧澤弘和、木村友二訳、NTT出版
おすすめ3│『信頼の構造:こころと社会の進化ゲーム』山岸俊男、東京大学出版会

外国語学部 英語学科 出口真紀子先生

外国語学部 英語学科 出口真紀子先生

『よかれと思ってやったのに: 男たちの「失敗学」入門』清田隆之、晶文社
権力を持つ側にいると怖いくらいにその「特権」が日常生活に反映される。特権が無意識に行動化されていく「あるある」を清田隆之が鋭い分析で解説する。現代社会を生きるための男性の必読書。
おすすめ2│『The Book Thief』Markus Zusak 著(邦訳『本泥棒』は絶版/ 入江真佐子 訳)、Knopf Books for Young Readers
おすすめ3│『女という快楽』上野千鶴子、勁草書房

総合グローバル学部 総合グローバル学科 福武慎太郎先生

総合グローバル学部 総合グローバル学科 福武慎太郎先生

『エビと日本人II :暮らしのなかのグローバル化』村井吉敬、岩波新書
グローバル・スタディーズの先駆的一冊。ひとつの世界商品を通じて人、モノ、カネの国境をこえたつながりを平易な文章で知ることができる。
おすすめ2│『ゾミア:脱国家の世界史』ジェームズ・C・スコット 著/ 佐藤仁 監訳、みすず書房
おすすめ3│『負債論 :貨幣と暴力の5000年』デヴィッド・グレーバー 著/ 酒井隆史 監訳、以文社

国際教養学部 国際教養学科(FLA) Angela Yiu 先生

国際教養学部 国際教養学科(FLA) Angela Yiu 先生

『夜と霧』Man's Search for Meaning, Viktor E. Frankl 著 /(旧版)霜山徳爾(新版)池田香代子 訳、みすず書房
生きることとは、生きる意味を求めることであると、アウシュビッツから生還した精神科医のフランクルが述べた。“Life is never made unbearable by circumstances, but only by lack of meaning and purpose.”
おすすめ2│『わたしを離さないで』Never Let Me Go, Kazuo Ishiguro 著/土屋政雄 訳、早川書房
おすすめ3│『真実の終わり』The Death of Truth, Michiko Kakutani 著/ 岡崎玲子 訳、集英社

理工学部 機能創造理工学科 曄道佳明学長

理工学部 機能創造理工学科 曄道佳明学長

『リベラル・アーツの源泉を訪ねて』絹川正吉、東信堂
現代社会における“智”の構成の中で、リベラルアーツの重要性が再認識されている。文理の枠を越えた視点から思考を読み解く好材料が提供されている。