学生時代からSOPHIAの一員に至る現在を振り返って
2024.09.09
年度末の3月。「学年が上がるのか~~」とちょっとだけ不安な気持ちが私は日に日に増しています。就活が始まったりゼミを選択したりと自分の進路について考える時期でもありますよね。
今回のSophia Topicsのテーマは「大学院進学」。
文系なのに院進する人って珍しいよね、という疑問をきっかけに今回のインタビューが決まりました。
さっそく今度の4月から大学院へ進む方に取材してきました!
私が研究しているのは、言語学の中で音声を主に扱う「音声学」。そもそも言語学っていうのは、言語のメカニズムを科学的に分析する学問です。音声学では例えば、発音するときに舌をどの位置においてどう動かしているのか、どの様に音の振動が頭の中で処理されて理解しているのか、という研究しています。音を聞くほうも発声するほうも分析する学問ですね。
英語に限らずいろんな言語を研究します。何か国語も話せるってわけではなくて、喋れない言語wを研究対象にしてる時もあるので語学の授業とは別物ですね。
言語学自体に興味を持ったのは実は大学入学前。高校の時に英語を教えてくれていた先生が、大学時代に言語学を専攻にしている方だったんですが、英文法の授業の中で言語学っていう学問の存在を教えてもらいました。アプローチの仕方や理論の組み立て方を聞いて面白いなあって思ったのが興味を持ったきっかけです。
さらに音声学に興味を持ち始めたのは、まず「音を聞く」ことは日常的な行為であるにも関わらずいまだ判明してないことが多いことを意外に感じたからです。それと高校生の時に一時的に難聴になり、普段当たり前に聞こえてたことが聞こえなくなった経験を、大学で勉強した時に「この音声知覚のメカニズムがうまくいっていなかったから、音声を聞き取れなかったんだな」と改めて理解したこともきっかけでした。
1年生のときから興味はあったんですけど、しっかり意識し始めたのは2年生の始めあたり。2年になって専攻の授業が増えて、残りの学生生活でどれだけ勉強できるのか考えたときに私は今のままだと満足しないなって。3年のときにカナダのマギル大学に留学したんですが、同じ専攻の学生と比べて、勉強量も少ないし自分のテーマに沿って研究する経験も少ないと感じたので、大学院に進もうって決めました。なので、決意したのは2年から3年にかけてですかね。
マギル大学には1年間交換留学生として留学していて、言語学の授業を主に履修していました。そこで、音声学の授業を取っていたのですが圧倒的な勉強量の差を感じました。例えば、上智で3年までで習ってきた以上のことを初めて音声学をやる学生が勉強していたり、その先でも自分たちでテーマを持ってプロジェクトを抱えて動かしていたり。私もこういうことに時間をかけてやりたいなって留学に行って思いました。
就職するかどうかはずっと悩んでました。でも、今大学院に進んで得られることのほうが自分にとって大きいと思ったのでこっちの道を選びました。
院に進みたいって決意表明をしたのは3年の秋から冬。留学中に先生に連絡を取りました。それで、まずは研究の経験を積んだほうがいいよねってことで卒論をしっかりやっていくことにしました。9月と2月に入試は行われるんですが、私は早く決めたかったので秋の9月の入試を受けることにしました。5月に帰国してからは言語学の基礎の部分を勉強し直してました。
簡単に言うと、英語を学習している日本人がどうして英語を聞き取るのに難しいと感じるのか?という疑問がきっかけに始まったテーマ。具体的には、英語学習の習熟度の異なる人を集めてそれぞれ聞いた音声の処理の違いを調べました。いくつか英単語を覚えたあとに、覚えてもらってない単語も含まれる音声を聞いてもらって「それはあなたの記憶した単語ですか」って質問して記憶力テストみたいなことをしました。
聞かせてる音声は、中学生で習うような単語、つまり親密度の高い単語から低い単語まで含まれています。それで、結果としてはやっぱり親密度の高い単語はどの習熟度の人でもレスポンスが早くて、さらに習熟度が高くなるにつれて親密度の高くない単語でもレスポンスが早くなるっていうことが分かりました。習熟度と聞いた単語への反応の関係を切り取って調べた感じです。
卒論でやったことは、人が音声を聞いてそれを言語としてどう理解しているのかっていう大きな問いの一部なので、それをさらに明らかにできる研究を進めていきたいと思っています。
言語“科学”研究科というだけあって、予想以上に科学的な内容でした!
私も普段から英語や第二外国語に力を入れて勉強しているのですが、音声学という視点から言語を見るのも面白そうです。
今回話に出てきた上智大学大学院言語科学研究科言語学専攻のホームページはこちら↓
http://dept.sophia.ac.jp/g/ll/ling/index.html