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上智学生記者クラブ通信

#097 上智でオリパラ活動に励むのはなぜ!? Go Beyond共同代表山本さんにインタビュー

2021.08.30

おはようございます。2020年も始まって3週間ほど経ちましたね。そんな今回のソフィアトピックスは、学生団体「Go Beyond」の特集です!

 Go Beyondは東京2020オリンピック・パラリンピックを共生社会の象徴的イベントとして捉え、その実現に向けて活動している上智の学生プロジェクトです。ラグビーW杯のパブリックビューイングやオリパラウィークの企画などで名前を聞いた、という人も多いのではないでしょうか。

そんなGo Beyondの立ち上げ人であり、共同代表を務めている山本華菜子さん(理工M1)にお話を伺ってきました! パラリンピックに関する熱い思い、必見です。

──この団体を立ち上げたきっかけを教えてください。

山本さん Go Beyondは2018年の6月に2人で立ち上げた団体です。立ち上げたきっかけは、2018年3月に大学から派遣された平昌パラリンピックの調査団です。そこで私自身が感じたのは、パラリンピックからすごく大きなメッセージが伝わってくるということです。共生社会を作るためのヒントがパラリンピックには詰まっていると感じました。ただ、それを調査団の私たちだけが感じていてもいい社会にはならないと思うので、あの時感じた思いを大学生に広めたいと思って立ち上げたのがこの団体です。

(平昌パラリンピック視察の際。右側が山本さん)

──最初に2人だったメンバーは何人くらいになりましたか?

今は130人くらいですね。1年生や2年生がほとんどなのですが、オリンピックやパラリンピックに関心がある学生が多いなと感じますね。

──具体的にはどのような活動を行っているのでしょうか?

チームに分かれ、様々な活動を展開しています。例えば、小中学生に向けた多様性理解のための出張授業をしたり、記憶に新しいところでは、昨年のラグビーW杯の日本―アイルランド戦の上智でのパブリックビューイングを企画したりもしました。

他には、東日本大震災の被災地ボランティアも行いました。2020年に多くの外国人の方々が日本に来た際に、被災地の今を知ってもらう機会を作りたいという思いを持つ被災地出身のメンバーが発案した企画です。自分たちが被災地の今を知り、正しい情報を発信出来るように現地を訪れています。
その活動の中でも、ボッチャ(※)というパラスポーツを通じて、被災地の方々と体験交流会をしたことが印象的でした。ボッチャは、狭いスペースで年齢に関わらず誰もが平等に楽しめるパラスポーツです。このスポーツを通して震災で地域とのつながりが無くなってしまった方、スポーツをする機会が減ってしまった方々が繋がり、地域に笑顔の輪を広げる機会を作ることが出来ました。私たち自身も、スポーツの「人を繋げる」という魅力を改めて知る機会にもなりました。自然災害による被害が頻繁に起こる昨今、被災地から学び、共に支え合いながら未来へ繋いでいくことが重要です。
メンバーには、「私たちの活動は、企画やイベントをすること自体が目的ではなく、関わった人やイベントに来てくれた人に対して、共生社会に対するメッセージを発信することに意味がある」と伝えています。

※ボッチャ
ボッチャは、ヨーロッパで生まれた重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障がい者のために考案されたスポーツで、パラリンピックの正式種目です。
 ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競います。(引用:一般社団法人日本ボッチャ協会HPより)

──「活動内容」が大事なのではなく、その先に目を向けられているんですね。

そうですね。やった後に何を残せるか。関わってくれた人、参加してくれた人の心に何が残っているかが重要です。イベントをやりたいだけならイベント屋さんがやればいいと思うんです。それでも私たちがやる意義としては、私たちの理念にあると思います。「Go beyond limits, borders, 2020」の理念の通り、そこにあるイベントを越えた思いを伝えたいと思っています。

──共生社会の実現を目指して活動されているとのことですが、共生社会という概念に対してはどのような考えをお持ちですか?

「共生社会」という言葉は皆さん知ってらっしゃると思います。でも、「共生社会って何?」って聞かれたらどう答えますか? 私はよく後輩たちにこういう問いかけをするんですけど、一人一人答えが違っているのもよいと思っています。なぜなら、みんな違った環境や経験、考え方を持っているので一緒になるはずがないからです。
私も答えがよく変わるのですが、平昌に行った時から変わっていないのは、「人の出来ないところじゃなくて出来るところに着目できる社会になるといいな」という思いです。やっぱり障害者って言うと「かわいそうな人」とか「助けてあげないと」といったイメージがあるじゃないですか。でも平昌で気づいたのはパラリンピックで選手をそういった視点で見ている人はいないんですね。右手が使えないなら左手、車いすなら上半身というような残された機能を最大限に活かしたプレーに感動させられるわけです。そこにいる観客たちは、選手の出来ることに着目して、称賛をします。私の考える共生社会は、まさにこの形です。人の出来ないところじゃなくて良いところに着目したいなと思っています。

──「共生社会」に皆が違った思いを持つ中で、共通している思いはあるのでしょうか。

2020年はきっかけであり、終わりではない。2020年を新たなスタートラインとする、という思いです。今って、「パラバブル」と言われているんですね。今は盛り上がっていても、時間がたつと跡形もなくなってしまうという意味です。恐らく2020年が終わると報道量が一気に減ると思います。1964年の東京オリンピックや1998年の長野オリンピックでも同じことが起こったようです。今回同じことを起こさないためには、この盛り上がりを続けていくぞ、という思いを持った人が行動をし続けるしかないです。利益を追求する企業が離れてしまうのは仕方がない面がありますが、これからの社会を創る学生が担うべき役割も大きいと思っています。私は平昌を見て火が付いたのですが、2020年で同じような思いを抱いた人たちに対して、Go Beyondが活動し続けている、という姿を見せることが大事だと考えています。

パラアスリートとの関わりで気づいたこと

この団体をやっているとパラアスリートと関わる機会が当然多くなるのですが、そうなると今まで自分の「外側」にいた障害者の方たちが、「友達」になりました。友達になると私たちができることがもっと増える。どういうことかと言うと、助けて「あげる」、して「あげる」ことだけではなくて一緒に何かをする、という一つ上の段階に登れるということです。出張授業をしていく中で、障害者に何かを「してあげよう」というアプローチはあっても、友達になろうという発想は少なかったなと感じました。外側から見ているのではなくて、一緒に話して、気持ちを理解してみようというように考えが変わりましたね。

──2020年を迎えて、上智生に向けてメッセージがあればお願いします。

そうですね、大学生って「自分のやりたいこと」に関する意欲ってすごいじゃないですか。でも、興味の無いことに対する興味の無さもすごいですよね(笑)。「キョーミないんだけど、金かかるよね?」みたいな(笑)。ただ、以前ボッチャ大会を上智で開いたときに、参加者はみんなボッチャに興味が無くて半信半疑だったんですけど、参加者全員が楽しんでくれて、大会は大盛り上がりでした。こんな感じで、自分の興味の無いところにこそ意外な可能性が転がっていることって多いよなと思って。そして、それこそパラリンピックは皆さんにとっては「興味のないこと」なのかもしれません。なので、この機会にぜひ足を運んでみて欲しいですし、Go Beyondがパラリンピックを知ってもらえるきっかけになりたいなと思います。

山本さんの活動の原点は、平昌パラリンピックでの感動にあったようです。皆さんもぜひ一歩を踏み出して、東京パラリンピックを現地で見てみては!? チケットの2次抽選エントリーが29日午前までとなっているのでまだ間に合いますよ!!

峠
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所属
文学部 新聞学科
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上智のいいところ
神宮球場の隣駅にあること