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上智学生記者クラブ通信

#184 祝90歳!
知ってる? 1号館の歴史

2022.03.04

こんにちは、れいれいです。3月に入り、今年度の終わりが見えてきましたね。新年度に向けて着々と進んでいるのが、1号館前の工事です。既に2号館との間の道が赤いレンガで覆われ、雰囲気が一新されました。

1月31日撮影

1号館の「これから」に期待が膨らみますが、この建物の「これまで」にも様々なストーリーが詰まっています。今日は、90年にわたる1号館の歴史の一端をのぞいてみましょう!

図書館や食堂もあった! 1号館の誕生

1913年の開校当初、上智大学は「専門学校令」に基づいた学校でした。15年後に「大学令」による大学に昇格すると、たくさんの学生を収容できる校舎が必要になります。そこで建てられた新校舎が、現在の1号館です。1932年のことでした。

1933年の1号館。右奥に向かって伸びているのが、現在のソフィア通りです(ソフィア・アーカイブズ提供)。

建築資金は、寄付によって捻出されました。ドイツやオランダ、フランス、アメリカなどにあるカトリックの教会・学校から募金が寄せられました。支援者の署名欄がレンガのデザインだったことから、「レンガ募金」とも呼ばれます。

募金をした人のサインが入った名簿。ドイツ語で、寄付への呼びかけが書かれています(ソフィア・アーカイブズ提供)。

こうして完成した1号館には、教室のほか図書館や学生用食堂などがありました。竣工当時は、エレベーターも設置されていたそうです。1945年の東京大空襲でも大きな被害を免れ、現在に至ります。

真っ白な講堂が真っ黒な劇場に大変身⁈

完成直後の1号館で行われたミサの様子がこちら。石造りの壁面や柱には、装飾が施されています。

1932年の1号館落成祝別荘厳ミサ。入学式などの式典も、この講堂で行われました(ソフィア・アーカイブズ提供)。

「1号館でこんな講堂を見たことはない!」と思ったあなた。そう、この真っ白な講堂の現在の様子が、こちらです。

全体が真っ黒! あまりの違いに一瞬戸惑いますが、壁や柱の装飾には、1930年代の面影があります。ここは現在、「上智小劇場」と呼ばれ、演劇活動の場として使用されています。1号館講堂が劇場に姿を変えたのは1971年。当時学生だった浦元義照先生(グローバル教育センター特任教授)と本田由美さんに、その背景を伺いました。

浦元先生(右)と本田さん(中央)。

皆さんが所属していたのは、Sophia English Theatrical Society(SETS)。英語学科の教授だったドナルド・メイスン神父(1955〜86年在職)率いる英語劇サークルです。自らディレクションや学生の演技指導を行ったメイスン神父について、浦元先生は「もし神父でなければ、世界的に有名な演出家になったと思う」と振り返ります。

メイスン神父。英語が得意でない学生も、高いレベルの演技者に育て上げたとか(ソフィア・アーカイブズ提供)。

そんなメイスン神父の発案で1971年、1号館講堂の劇場への改造が敢行されます。照明装置などが設置され、演劇団体の学生たちが壁や柱をペンキで黒く塗りました。演劇活動に最適な場所が学内にできたことで、学外の劇場で公演することが多かった学生団体もここで数々の演目を上演するようになります。

この小劇場で目立つのは、メイスン神父の特注品だというたくさんの黒い箱。並べ替えれば、劇場内のどこにでも客席を設置することができます。舞台を客席で囲む配置もできるそうで、「日本では先駆的だったのでは」と本田さん。浦元先生は、「メイスン劇場と名付けても良いのでは」とメイスン神父の尽力を振り返ります。

右手に積まれている黒い箱を移動することで、客席のレイアウトを変更できます。

1972年には、来日公演中だった英ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーがこの小劇場で『ヘンリー五世』を上演しました。浦元先生は、劇場に響き渡るプロの声を今でも鮮明に思い出すそうです。

卒業後も小劇場で行われる公演の照明などに関わり、「20代は殆どここ(小劇場)で暮らしていたように思う」という本田さんは、「メイスン神父のアイディアも思いも詰まったここを、これからも大事にしてほしい」と言います。

なんと、本田由美さんの夫、次布さんも同じSETS団員だったそう。後日、由美さんを通じてコメントをお願いしたところ、上智小劇場は「ユニーク」で「素晴らしい演劇空間」だったと振り返ってくださいました。

小劇場は「創造の源」で、管理人の設置などメンテナンスを充実させながら今後に引き継いでほしい、 という浦元先生。演劇活動は、「上智大学の伝統であり誇り」と締めくくりました。

愛され続ける1号館

上智の誕生から1世紀もの時間を学生と共に歩んできた1号館。今も、大学のシンボルの一つとして愛され続けています。

昨年12月、1号館廊下にある時計をモチーフにした大学オリジナルグッズ「Sophia Clock」が紀伊國屋書店上智大学店(2号館地下1階)にて発売されました。

1階廊下の時計(左)とSophia Clock(右)

直径約5cmと、勉強用にぴったりの卓上時計。考案したのは、法律学科の徳山玲緒奈さんです。大学の新グッズ考案をテーマに開催された「IDEATHON for LOVE SOPHIA ITEMS」(2019年)に参加した徳山さん。そこで発表したアイディアが採用され、2年の開発期間を経て商品化されました。

紐やチェーンを付ければ吊り下げ型としても使うことができます(徳山さん提供)。

入学前から1号館が好きで、「一歩入ると歴史的な雰囲気を感じます」と徳山さん。大学生は授業や試験のために時計を持参する機会が多いので、「上智らしい時計があったらいいな」という思いで考案したそうです。

おわりに

いかがでしたか? 「レトロかわいい」だけでない、1号館の長い歴史を垣間見ることができました。90年前の先輩も、今の私たちと同じようにここで授業や課外活動に勤しんでいたのかな、と想像すると、なんだか歴史が身近に感じられます。今度1号館を訪れる時は、昔の面影が残る柱や扉を探してみるのもよいかもしれませんね。それではまた!

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れいれい
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