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上智学生記者クラブ通信

#193 記録を未来へ
ソフィア・アーカイブズって何だろう

2022.05.13

こんにちは、れいれいです。今日のテーマは、ソフィア・アーカイブズ。名前だけは聞いたことがあるような、ないような……という方が多いかもしれません。

中央図書館9階にあるソフィア・アーカイブズは、上智の歴史や学生生活・課外活動に関する資料の保存・公開・活用を行う施設です。100年以上前のキャンパスを写した写真から歴代の卒業アルバムまで、様々な資料が保存されています。展示スペースもあり、開室中は自由に見学できます。

ソフィア・アーカイブズの入り口。上智の歴史資料が展示されています。

アーカイブズとは、様々な「記録」や、記録を収集・保存する施設を指す言葉です。ソフィア・アーカイブズがどんな活動をしているのか、大学にとってなぜ記録が大切なのか、気になるあれこれを取材しました。

インタビューに応えてくださったのは、ソフィア・アーカイブズ館長の北條勝貴先生(文学部史学科)と、ソフィア・アーカイブズで長く資料の保存・活用に携わる大塚さんです。

北條先生(右)と大塚さん(左)。ソフィア・アーカイブズの展示スペースにて。

Q:ソフィア・アーカイブズ設立の背景を教えてください。

(北條先生)2001年施行の独立行政法人等情報公開法、2011年公布の公文書管理法に基づき、まず国公立大学でアーカイブズの設置が進みました。公的機関である国公立大学は、記録の保管と公開を法的に義務づけられたからです。それにならい、法的義務のない私立大学でもアーカイブズ開設の動きが生まれました。上智では2020年、上智大学史資料室(以下、史資料室)が改組され、上智学院の下にソフィア・アーカイブズとして生まれ変わりました。史資料室は大学内での資料利用を主な目的としていましたが、ソフィア・アーカイブズは社会貢献としての資料公開という責任も負っています。資料は、過去を知り、現在を分析し、未来の計画を立てるための手がかりです。社会をより良くするために大学の資料をどう活用していくかが鍵となっています。

Q:今年3月には、「ソフィア・アーカイブズ データベース」(以下、データベース)が公開されましたね。

(北條先生)従来、資料の閲覧を希望する方には、ソフィア・アーカイブズまで来ていただかなくてはなりませんでした。データベースは、多くの人に資料を見てもらえる仕組みを整備することで広く社会に向けて資料を公開する取り組みの一環です。

(大塚さん)デジタル化には、資料公開による社会貢献に加えて、資料の劣化防止という意義もあります。劣化すると、紙はどんどん弱くなっていきます。実物ではなくデジタルデータで閲覧することで、古い文書資料を保護することができます。

Q:データベースの公開に際して直面した課題は何ですか?

(北條先生)個人情報の問題です。資料に個人情報が含まれている場合、法律と照らし合わせて公開の可否を判断しなければなりません。

(大塚さん)特に映像や写真では、写っている人の肖像権も発生します。映像資料については、公開前に1コマずつ確認が必要となります。

データベースでは、大学創設前の1908年から1945年までの大学関係の写真が約140点公開されています。公開資料は順次拡大する予定とのこと。

Q:現在力を入れている取り組みについて教えてください。

(北條先生)上智学院には、上智大学、上智大学短期大学部、上智社会福祉専門学校(2022年3月31日をもって閉校)と中等教育機関4校(栄光学園中学高等学校、六甲学院中学校・高等学校、広島学院中学校・高等学校、上智福岡中学高等学校)の設置校があるので、各設置校が保管している資料を把握するための情報共有を進めています。中には、第二次世界大戦中の教務日誌など、近現代史研究において重要な資料を保存している学校もあります。設置校の所蔵資料もインターネット上で公開できるよう、協力していくことが理想ですね。

Q:ソフィア・アーカイブズの展示活動について教えてください。

(大塚さん)ソフィア・アーカイブズは、6号館1階の展示を担当する教職員のワーキンググループと連携して展示活動をしています。展示スペースでは、常設展示「上智大学の設立とイエズス会」のほか、学部学科・研究所・センターなどによる企画展が行われています。「学生寮100年」など、ソフィア・アーカイブズが独自に企画したオンライン企画展も公開中です。

6号館1階で開催中の企画展「聖イグナチオの霊的な遺産」。主催はカトリック・イエズス会センター。

Q:今後の重点課題を教えてください。

(北條先生)授業との連携です。昨年度、学芸員課程を履修している学生の博物館実習を受け入れ、その第一歩を踏み出しました。同時に、大学外へも目を向け、他大学のアーカイブズとの情報共有や関連学会への発信にも力を入れたいですね。

(大塚さん)電子化された資料の収集・保存も課題です。最近、紙にプリントされず、電子化された状態で作成・編集・処分される資料が多くなっています。そうした資料をどのようにアーカイブするかを考えていく必要がありますね。

Q:最後に、学生へのメッセージをお願いします。

(北條先生)記録は、生活や社会にとって非常に重要です。例えば公文書は、市民が国に対して自身の権利を主張するための根拠となります。公文書が民主主義の基礎であるのと同じように、大学の資料は皆さんの大学生活を支えています。記録の重要性を見直してみよう、という意識をもって、ソフィア・アーカイブズを見てみてください。

(大塚さん)ソフィア・アーカイブズの資料に、約100年前に行われたホフマン初代学長の講義を記録したノートがあります。1人の学生がとっていたノートが、1世紀を経て貴重な歴史資料になったのです。同じように、現在の私たちにとっては決して特別でない資料が、10年後、100年後には価値のある記録として見直されることもあるでしょう。だからこそ、資料保存の責任は大きいのだと思います。

ヘルマン・ホフマン初代学長のドイツ語の授業を受けていた学生のノート(1921年文学部哲学科〈予科〉卒業生提供)(複製)。6号館1階の常設展示「上智大学の設立とイエズス会」で見ることができます。

100年前の学生はどんな大学生活を送っていたのだろう? 100年後の学生の目に、今の私たちのキャンパスライフはどんな風に映るのだろう? 大学の「記録」に触れると、そんな想像をかき立てられます。ソフィア・アーカイブズとの出会いをきっかけに、そんなタイムトラベルを楽しんでみるのもよいかもしれませんね。

ソフィア・アーカイブズについてはこちら

ソフィア・アーカイブズデータベースはこちら

オンライン企画展「学生寮100年」はこちら

れいれい
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