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上智学生記者クラブ通信

#204 学び続ける、教養を磨く
社会人プログラムをのぞいてみました

2022.07.29

こんにちは、れいれいです。学生にとって、勉強は日常ですね。では、卒業後の自分がどんな「学習」をしているか、想像したことはありますか? そこで今日は、社会人向けプログラム「上智大学プロフェッショナル・スタディーズ」を紐解きます。「社会人の学びってなに?」という疑問に迫りましょう!

講座「人を動かす究極の交渉・コミュニケーション術:“納得”の導き方」の一コマ。

プロフェッショナル・スタディーズとは

2020年4月から社会人を対象とした講座を展開しているプロフェッショナル・スタディーズ。昨年度は、30代から50代を中心に501名が受講しました。今年度は、平日夕方や土曜日を中心に37講座が開講されています。

まずは3つの項目から、プログラムの特徴を見てみましょう。

  1. 社会人の学び、なぜ必要?
  2. 産学協働で充実化
  3. 「上智」を生かした多彩な分野

1.社会人の学び、なぜ必要?

講座の目的は、必ずしもビジネススキルの獲得ではありません。哲学や歴史、思考力、コミュニケーション力など、教養や人間力の向上を目指した講座が揃います。プロフェッショナル・スタディーズ事務局の渡邉真実さんは、「仕事で判断をするときには、専門的知識だけでなく、価値観や倫理観が必要です。良い仕事をするためにも、自分の人生を豊かにするためにも、年齢を重ねてから教養を磨く意味は大きいと思います」と話します。

2.産学協働で充実化

プロフェッショナル・スタディーズは、大学と産業界が共に作り上げる「産学協働」のプログラムです。大学は、「アドバイザリーパートナー企業」としてプログラムに参加している20社(2022年4月時点)と年4回ほど意見交換及び協議の場を設け、講座群の見直し・拡充に繋げます。渡邉さんは、「企業から意見を聞くことで、上智がもっている教育研究の成果を、産業界のニーズに合った形で提供できればと考えています」と話していました。

3.上智らしさを生かした多彩な講座

各講座では、上智の教授・名誉教授を中心とするコーディネーターが講座を設計し、内容に応じて学内外の専門家を講師に招きます。文理融合やグローバルな視点といった上智らしさを生かした多彩な講座が展開されています。

講座を見学!

今回は、講座「人を動かす究極の交渉・コミュニケーション術:“納得”の導き方」を取材しました。コーディネーターは法科大学院教授の森下哲朗先生、講師は元国際連合紛争調停官で株式会社KS International Strategies代表取締役社長CEOの島田久仁彦氏です。8回の講義が行われ、35人が受講しました。

事例を挙げ、受講者に「あなたならどう交渉しますか?」と問いかける島田氏。

見学したのは、最終回の講義。「交渉」とは、特定の目的を達成するために行うコミュニケーションを指します。相手が想定外の主張をしてきたら、どう対応する? 「win-win」の関係で交渉を妥結するには? など、行動心理学と交渉テクニックを組み合わせた理論と実践を学びました。島田氏は、「信頼できる人間関係を築き、全員にとって利益になる交渉を行うことが、『賢明な交渉学』です」と講座を締めくくりました。

全8回の講座後、受講者のお二人にお話を伺いました。約20年の勤務経験で交渉に関わる仕事が多かったというH.S.さん。そして、職場ではマーケティングを担当しており、コロナ禍をきっかけにコミュニケーションを見直したいと思ったという社会人5年目のN.O.さんです。

講座はいかがでしたか?

H.Sさん) 仕事で、理屈を積み上げて相手に伝えることは実践してきましたが、それに対して相手が「YES」と言ってくれるとは限りません。今回、交渉の心理学的な面を教えていただき、より厚みをもった交渉をするきっかけになったと思います。

N.O.さん) マーケティングに関わる行動心理学は勉強したことがありましたが、交渉やコミュニケーションについて行動心理学は初めて学びました。自分の意志を通すことだけでなく、「どうアプローチすると、相手はどう動くのか」を知ることができました。後輩の育成をはじめ、生活の様々な場面に落とし込めると思います。

学生時代の学びと、社会人としての学びは違いますか?

H.Sさん) 大学生の間は、部活やサークル、勉強などいろいろなインプットがあると思います。社会に出て始めのうちは、それまでのインプットを実践しながら経験を積んでいきます。するとだんだん、「こういう場ではこうだよね」という慣れが出てきてしまうんです。社会人としてもう一度インプットする作業は、その慣れを抜け出す有効なツールだと思います。

N.O.さん) 実際に働いて感じる課題に対して「どんな情報が必要か」を基準に学ぶ意識は、当時の関心で専攻を選んだ大学時代とは少し違うかもしれません。変化する時代においていかれないためにも、その変化を自分なりに発信するためにも、こうした講座で自分をアップデートし続けていかなければならないと思います。

最後に、この講座のコーディネーターである森下先生に質問しました。

「(プロフェッショナル・スタディーズには)私自身、受講してみたいと思う講座もありますよ」と森下先生。

社会人として学び続けることはなぜ大切なのでしょうか?

(森下先生) 大学までの勉強で学べることはごく一部です。第一線で活躍し続けたい、自分の価値を失わないようにしたいと思うなら、社会に出てからも継続的な勉強が必要だと思います。グローバルなビジネスの舞台で活躍する人の多くは、自身のルーツである社会・文化・歴史をよく理解し、問題意識をもっています。教養は、グローバルな社会で尊敬されるプレーヤーになるために大事な要素であり、時代の移り変わりに左右されない自分の基礎体力でもあると思います。

今回の講座を振り返りつつ、プロフェッショナル・スタディーズはどんな場だと思いますか?

(森下先生) 一見すると交渉スキルの講座に思えるかもしれませんが、この講座の根本的なテーマは「人間とは?」「人間関係とは?」といった問いです。プロフェッショナル・スタディーズでは、「how-to」のスキルを勉強して終わるのではなく、一流の講師から学び、必ずしも答えのない疑問について他の業界の人と一緒に考える場が提供されています。

おわりに

いかがでしたか? 学び続けることは、日常をもっと豊かにするために自分のアンテナを磨き続けることでもあるのだと感じました。つい目の前の試験やレポートをゴールにしがちですが、学びを「自分を成長させるための栄養」として捉え直すと、中長期的な目標をもって日々の勉強に取り組めそうです。

プロフェッショナル・スタディーズについて詳しくはこちら

れいれい
名前
れいれい
所属
国際教養学部 国際教養学科
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