FIND SOPHIA

カテゴリーで探す

コンテンツ名で探す

Sophia Topics

上智学生記者クラブ通信

#215 OiTr(オイテル)、知ってる?

2022.10.24

こんにちは! 1年生の凪です。
日ごとに秋らしくなっていきますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
上智大学ではあちらこちらで工事が行われており、昨月末には1号館前の広場が完成しました。私自身、入学して半年程経過しましたが、建築や設備などが少しずつ変化していくキャンパスの様子にわくわくしています。
その中でも今回は今年5月に設置された、生理用ナプキン無料提供サービス「OiTr(オイテル)」についてご紹介します。

「OiTr」について

上智大学におけるOiTr設置状況について、学生センター事務長にお話を伺いました。

近年、経済的な貧困から生理用品を購入できないという「生理の貧困」が社会問題として注目される中で、上智大学では学生の提案をきっかけに「OiTr」が導入されました。現在は四谷キャンパスの女性トイレと「みんなのトイレ(多目的トイレ)」に21台設置されています(半導体不足などの影響で、目白聖母キャンパス、秦野キャンパスには来年4月の導入に向けて調整が進んでいます)。専用アプリをダウンロード後、広告を視聴することにより、無料でナプキンを受け取ることができます。

実際に設置してあるOiTr

さらに、毎月平均排出枚数について管財グループからデータをいただきました。

学期期間中(夏季休業期間を除く)は1日あたり65.5〜95.8枚、平日だけでいえば約112.5枚で、比較的多くの学生が利用していることが分かります。

「OiTr」の設置場所や使い方はこちら:https://www.sophia.ac.jp/jpn/article/news/info/0513period/

「OiTr」導入の背景や生理の問題について、大学公認学生団体「Gender Equality for Sophia(以下GES)」共同代表・稲井清香さんと佐藤有莉さんに、お話を伺いました。

Q. 「OiTr」が設置された背景について教えてください。

A. 通常、生理用品がない場合は友達に借りるか購入するしかありません。生理用品なしで過ごすことはできないにも関わらず、生理用品は決して安くなく、生理の話題もタブー視される傾向にあります。このような現状がある中で、当時は生理の問題解決に向けた取り組みが大学内になく、GESは生理班を設置しました。
生理班が本学の学生を対象にしたアンケートを実施したところ、実際に授業に遅刻したり、帰宅を余儀なくされたりする、上智大学ならではの「学習機会の損失」があることが分かりました。
休み時間の過ごし方にも、生理がある人とない人では違いが出てきます。生理がない人は時間的な制約もなく過ごすことができますが、生理がある場合はそうはいきません。生理が来てしまったのに生理用品が手元になく、購入しに行ったことで授業に遅れてしまうこともあります。生理の話題がタブー視されていることもあって、「生理のせいで授業に遅れた」と言うのも難しいでしょう。それぞれの状況にもよりますが、遅刻や欠席が出席点に関わる場合、生理があることで損をしてしまうというのは起こりうる問題だと思います。
社会問題としては生理の経済的貧困が注目されていますが、私立の大学である上智大学では、このような「学習機会の損失」が主軸となる問題になっています。結果、GESの生理班が生理の問題に悩む学生の声を代表して大学側に働きかけ、「OiTr」を設置することになりました。

Q. 生理の問題はメディアにも取り上げられ、男性が「ナプキン」や「タンポン」といった生理に関する単語を口にすることさえも抵抗があるという現状が報道されていました。生理の話題をタブー視する風潮を取り除くためにできることはありますか。

A. GESでは、InstagramやTwitterなどのSNSで生理をトピックにした投稿をしており、それをもとにGESメンバー個人のSNSでも情報を共有しています。実際に生理に関する投稿に対して「いいね!」をもらえたり、友人から「GESってこういう活動しているんだね!」と声をかけてもらったりしました。生理用品や生理の重さについて相談を受けることもあり、自分が「生理を恥ずかしいとは思わない。生理についてもっと話そう」という姿勢でいることで友人らも変わっていると実感しています。

また、前提としてGESは生理がある人を「男性・女性」で分けていません。「生理がある人 ≠ 女性だけ/生理がない人 ≠ 男性だけ」というのがスタンスで、「あらゆる性の中の『生理がある人』に生理用品を届けたい」という思いがあります。上智には「オールジェンダートイレ」がなかったので、当初は男性トイレにも「OiTr」の設置を検討していました。しかし、現時点では「みんなのトイレ」が「オールジェンダートイレ」を兼ねているので、一旦そこに「OiTr」を置くことになりました。

Q. 現在「みんなのトイレ」として設置されている多目的トイレと、GESが設置を目指す「オールジェンダートイレ」にはどのような違いがあるのですか。

A. 「みんなのトイレ」は、障害を持つ方でも利用できるトイレです。オストメイト(=様々な病気や事故などにより、お腹に排泄のための『ストーマ(人工肛門・ 人工膀胱)』を造設した人 ―厚生労働省より)の方に対応した設備などがあり、車椅子でも利用しやすいのが特徴です。
一方「オールジェンダートイレ」は、あらゆるジェンダーが使えるトイレです。見た目は一般的なトイレとあまり変わりませんが、入口が男女で分かれていません。日本国内でも、渋谷のドン・キホーテや国際基督教大学(ICU)などで設置が進んでいます。
大学内に設置する上で、「盗撮の恐れがあるのではないか」などの不安に対してどのように対処していくかは、GESや大学の職員も課題意識として持っている部分です。今後も安全面に考慮した設備について考えていく必要があります。

国際基督教大学(ICU)のオールジェンダートイレ:https://cococolor.jp/icuallgendertoilet_210930

Q. 利用者の声を踏まえた上で、「OiTr」の今後について教えてください。

A. 利用者を対象に実施したアンケートによると、「専用アプリが海外版のApple Storeではダウンロードできない」といった想定外の問題がありました。他にも「設置台数が少ないので設置場所を増やしてほしい」「提供する生理用品の種類を増やしてほしい」などの声もありました。また、「OiTr」は広告の視聴を前提として生理用品の無料提供を行っているため、その時間で授業に遅れてしまうというケースもありました。今後は、「OiTr」の設置台数を増やすことと、無料設置ではなく「無償」設置を求めていくことが短期的な目標です。
長期的な目標としては、「オールジェンダートイレ」に生理用品を設置することです。現在GESは、生理班のほか4つのプロジェクトに分かれて活動していますが、そのうちの1つ「オールジェンダートイレ」のプロジェクトが達成できれば、より包括的に、色々な学生に安心して生理用品を使ってもらえるのではないかと考えています。

GESの各プロジェクトについてはこちら:
Instagram→ https://www.instagram.com/ges_0424/
Twitter→ https://twitter.com/ges_0424

Q. 最後に、学生へのメッセージをお願いします。

<稲井さん>
「生理の問題は色々な人が考えるべきだ」というニュースがありますが、生理がない人が具体的な生理の問題について考えるのはとても難しいことです。だからといって無関心でいるのは違います。当事者意識を持つのが難しくても、相手の気持ちに寄り添いながら問題を解決しようとする意識を促すと同時に、私自身も引き続き意識を持ち続けたいと思います。

<佐藤さん>
生理の問題は「生理が重い人」「周期が乱れがちな人」「経済的に困窮している人」などが当事者として扱われがちです。しかし、生理について困ったことがない人や生理がない人にも、生理の問題が当事者だけでなく「みんなの問題」であると認識してほしいです。「友達やパートナーのことだ」と置き換えて考えてもらえれば、より身近な問題として捉えやすくなるはずです。皆さんも生理の問題について一緒に考えていきましょう!

おわりに

皆さまは生理の問題についてご存じでしたか?
私はニュースでこの問題について見聞きしましたが、上智大学内でも「機会損失」が問題となっているのは初耳でした。生理の問題を抱えていても、相談できる環境になく、「仕方ない」と解決を諦めてしまう人も多そうです。
この記事が、生理についてよりオープンなマインドで話し合えるきっかけになりますように!

凪
名前
所属
文学部 新聞学科
〇〇がすき!
音楽鑑賞・旅行が好き!
上智のいいところ
Veganメニューがあるところ