学生生活をサポートするあるサービス、支援が、この秋学期から名前新たに「つながった」ことをご存知でしたか?
健康支援(元「保健センター」)、カウンセリングサービス(元「カウンセリングセンター)、障がい学生支援(元「学生センター」)を統合し、「なんでも相談窓口」の機能も加え、「ウェルネスセンター」となったんです! 紹介・利用方法は上智大学Web Pilotiで知ることができます。そこでSophia Topicsでは、「学生目線で」「最近のことについて」「直接お話するからこそ伺えること」に的をしぼって、それぞれの担当者にインタビュー。2回に分けて記事にしました! 第1回では、利用状況を数字からまとめたデータと、学生と向き合って下さる中での印象の2つをお伝えします!
健康支援〈ホフマン・ホール2階〉
応急処置、内科・精神科の医師による面談(予約制)、看護師への身体・心の相談ができる。
常勤の看護師の鳥居さんにお話を聞きました!
●データ~利用の実態は~
- 応急処置
- 利用人数・件数:
- 対応事例:
- 体調不良・ケガの手当て、病院受診に関する相談、学内で動けなくなった学生のもとへ緊急で出動し応急処置を行う学内出動(2回程度/週)。
- 傾向:
- 最近の変化:
- 対面授業の再開で、昨年度に比べ今年度は利用者数が増加。
- 秋学期から外国人留学生の利用が増加(現在7~8割ほどに)。英語対応が可能なスタッフが複数在籍☺
2. 内科相談
- 利用人数・件数:
- 対応事例:
- 健康診断の結果で学校医面談が必要となった場合や、応急処置など緊急対応が必要な場合の学校医による診察。
- 傾向:
- 「健康診断や応急処置の結果」による利用が多く、自主的な相談は少ない。原因と対応が明確なため、1度の面談で終了のケースがほとんど。面談の結果、病院を紹介することも。
- 最近の変化:
- 持病がある学生の増加に伴い、利用も増加傾向。
- 健康診断証明書が必要なタイミングに面談数が急増(10月末~11月は留学に必要という学生が一気に!)。
3. 心の健康相談
- 利用人数・件数:
- 2~8人/日(火曜~金曜の午後/医師は曜日ごとに異なる、予約制)
- 対応事例:
- うつっぽい、不安が強い、眠れないなどの症状から、発達障害や不安障害などの疾患に関する相談まで。
- 傾向:
- 一度の面談で終了が25%、定期的にフォローが75%。
- ただしフォローの頻度は翌週~半年後まで様々。面談した医師の意見と利用者の意向で決定。
- 最近の変化:
- 「大人の発達障害」など発達障害という言葉への認知度の変化で、発達障害に関する相談が増加(ただし必ずしも、相談者=発達障害者ではない)。
- 季節の変わり目や試験期間の前、学期末は利用者が増加。
●印象~学生と向き合われて~
応急処置・内科相談・心の健康相談、3つに共通して言えますが、「ウェルネスセンターの存在をなんとなく知っている」くらいで来室する方がほとんどで、こんなことができるよ、と来てから案内することが多いです。また、ご自身の不調についてインターネットなどでしっかり下調べをして、自分はこれかも……と病名やスマホの画面を持って来てくれる学生さんが多い印象ですが、ネットは情報量が多く時に重すぎる病気に当てはまってしまうことも。しっかり調べてから、でなくて大丈夫です。特に心の健康相談は「何となくもやもやする」の状態で来てくれて大丈夫。あまり深く考えず、気軽に相談しに来室してみてください!
カウンセリングサービス〈10号館3階〉
公認心理師・臨床心理士のカウンセラーとの面談、グループプログラムやワークショップの体験ができる(全て事前予約制)。
カウンセラーの郷さんにお話を聞きました!
●データ~利用の実態は~
- 利用人数・件数:
- 30~36件/日
(カウンセラー5〜7人体制×5~6件/日で、予約で毎日ほぼ全ての枠が埋まるそうですが、「近い日が埋まっていても断念せずに、皆さんに利用してもらえたら」と仰っていました!)
- 対応事例:
- 「なんだかもやもや」から友人関係、家族関係、卒論や就活のことまで。話していく中でもとの悩み以外が見えてくることも。
- 傾向:
- 1度で相談を終える人3割、10回以上継続して相談をしていく人2割。頻度や回数についてなど、相談のゴールは話していく中で一緒に定めていく。
- 個人でも、グループでも利用者がおり、コロナの影響で大人数のグループは難しいが、3〜4人でのセミナーやワークショップの開催も。(詳細★)
- 最近の変化:
- 2020年度は完全オンライン実施(電話・zoom)となり、現在もオンラインによる相談が可能だが、最近は7〜8割が対面希望。
- この時期は3年生の就活に関する相談が多い。特に今年の3年生は、1・2年の授業がほぼすべてオンラインで実施されて就活を迎えているため、そうした不安に関する相談も。
詳細★グループでのセミナー、ワークショップ
- マインドフルネス:
- 自分の気持ちにオープンに、ありのままに向き合うことで心と身体をつなげる。4~5回で1セット、日本語・英語両方で実施。英語で参加の学生が多い。
- 調整的音楽療法:
- クラシックを聴き、考え・身体・感情はどうかをよく見て、その体験を言葉にしながら参加者で共有し、日常で感じている誤った不安や緊張を和らげる。20回弱で1セット、学年学科問わず集まるが、今は1人からでも参加可。
- ものづくり体験(ちょこてづ):
- ビーズアクセサリーやランプシェードを一緒につくる。他にも箱庭体験などを企画されているそう!
●印象~学生と向き合われて~
上智の学生さんは自主的に来てくれる方が多い、と個人的に思っています。健康支援からの連携や先生に勧められて、という場合ももちろんありますが、カウンセリングに対して躊躇がなく、開かれているような。「図書館を利用するように身近に」、これはカウンセリングサービスが掲げる言葉ですが、その目標に近いことは統計でも表れています。1学年で4、5人に1人が卒業までにカウンセリングを利用していて、他大学と比べて利用の割合は2倍以上! この数字が表すのは、メンタル面の悩みを誰かに相談することに対する偏見が、上智では少ないということかもしれません。
相談の内容は、例えば1年生の大人数授業がオンライン授業で友達ができにくい、就活の問題で家族と意見が合わない、最近の緊張や不安、どれもそこに問題の大小はないと思っています。内容について特にこれということはなく、生きていくこと全般をお話ししに来てくれたらと思っています。
障がい学生支援
障がいを有し、修学上の配慮・支援を必要としている学生の一次相談窓口。学生からの要望を聞き取り、学内の関係部署等に繋げ、大学で実施可能な配慮(合理的配慮※)を調整するコーディネーターの役割を担う。
※合理的配慮とは:障がいのある学生が、他の者と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために大学等が行う必要かつ適当な変更・調整で、「大学等において教育を受ける場合に個別に必要とされるものであり」かつ「大学等に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」を指します。上智大学においても、授業や実験、実習等において、障がいのある学生が修学上必要な環境や情報を得ることが出来ない場合に、その障がいに対する「社会的障壁」を取り除くために、「合理的配慮」の範囲で、修学上の環境や情報の調整を行っています。
職員の野尻さん、釜田さんにお話を聞きました!
●データ~利用の実態は~
- 利用人数・件数:
- 10~20人/月(時期により変動/メールや電話での対応も含む。個別面談等を実施する場合はメールで申し込みをしてもらい、相談に応じている。)
- 対応事例:
- 障がいの状況や学生生活で困っていることのヒアリング(内容次第で、心の健康相談(健康支援)やカウンセリング(カウンセリングサービス)も紹介)
- (合理的配慮申請者への)申請書や根拠資料に基づいた支援・配慮内容の検討や調整、申請手続きの説明
- (合理的配慮実施学生への)学期ごとの支援・配慮内容の確認、振返り(「支援や配慮を受けて、自身にどのような変化があったか」を学生自身が振り返り、次の学期に活かしていくことや、卒業後の生活も見据えて、周囲に援助を求めながら、工夫したり、自己決定したりすることを促している)
- 傾向:
- 問い合わせや相談、面談実施のタイミングはそれぞれの学生が「必要としたとき」なので、入学前から相談してくる学生もいれば、入学後に困りごとが発生し、在学途中で相談を申し込む学生もいる。
- 授業や学生生活等の環境が変わる学期開始前後の相談が多い。
- カウンセリング的な対応を主軸とはしていないので、定期的・長期的に渡る相談利用というケースは少ない。
- 最近の変化:
- 授業や活動のオンライン化により、必要とされる支援が多様化。
- パラリンピック開催、SDGs推進、法改正などにより、障がいに対する世間の理解や認知度が向上していることに伴い、相談を希望する学生も増加傾向にある。
●印象~学生と向き合われて~
学生ごとに、障がいの特徴や程度、所属学科や履修の状況、大学生活における困りごとの発生する場面の違い、またそれに対してどういった環境調整が望ましいか、といったことについては様々な違いがあり、「〇〇障がいがあるから、このような配慮が必要なはず」と障がい名だけで定型的に判断すべきではありません。
障がいを有する学生をサポートする立場ではありますが、その支援や配慮が行き過ぎたものにならないか、他の学生との公平性が保たれるか、ということも常に意識しています。
そのため、面談等を通して、学生一人ひとりの状況を慎重に見極めながら、「●●さんにはどういう特性があって、どういうことに困っているのか、どういうことが得意なのか」という目線で、学生と向き合うよう心がけています。
「なんでも相談窓口」
2022年9月に正式スタート。どこに相談したらよいか、大学に相談してもよいのか、自分の相談に合わせて大学内の適切な部署・サービスに繋いでもらえる。〈Web Piloti申込フォームより相談〉
職員の渡邉さんにお話を聞きました!
●データ~利用の実態は~
- 利用人数・件数:
- 対応事例:
- 留学から履修、対人関係まで、その相談を大学でできるか、どこに相談したらよいか。
- 特に友人や家族とのことなどメンタルの悩みの相談について、これは病気なのか、精神科医やカウンセラーに相談した方がよいか、など。
- 傾向:
- 学期の始め、定期試験、学期末、卒論の時など、学生にとって手続きの山ができるときは、それ自体の悩みに付随して気持ちも辛くなるとき。そうした「節目」の時期には相談が増加。
- 最近の変化:
(この窓口は9月から始動とはいえ、学生の相談を受ける窓口はこれまでもずっとあった。その中で言えるのは……)
- 以前に比べてSNS上のトラブルの相談が増加。
- コロナによるオンライン授業から、友人関係を築くことについての相談も。
●印象~学生と向き合われて~
ご自身の悩みを率直に、自分の言葉で伝えてくれる学生さんが多いように思います。これは当たり前のようで難しいし勇気のいることだと思うんです。だからこそ学生さんが相談してきてくれたことには、私たちも真摯に向き合い、応えられたらと感じています。
もう一つは、世間が、周囲が上智に抱くイメージに対して、学生さん個々は本当にそれぞれの環境や事情の中で頑張っているということを感じます。
今の学生さんがどんなことに悩まれているのか、これからこの窓口を進める中で大きな傾向を掴んでいくことが大切です。ですが一方で、学生さんそれぞれの背景事情はそれぞれなので、解決策のパターンをつくってしまうのは違うと思っています。お一人お一人の悩みに寄り添っていけたらと思います。
あいだに
ウェルネスセンターを取材した記事は、ここで終わりではありません……。連載は次週に続くのでぜひ、読んでください! 続く記事の内容は、インタビューに答えて下さった方それぞれに異なる質問をした「気になる質問」、そして学生へのメッセージです!
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