2021.08.30
こんにちは! れいれいです。グローバル教育センターが夏休み・春休みに開講する海外短期プログラムは、2020年度からオンライン実施が続いていました。しかしこの春休みから、一部の研修で渡航が再開。今日はその中から、私が参加した実践型プログラム「エストニア・スタディーツアー:持続可能な社会構築に向けた教育の可能性」の様子をお伝えします。
北欧の国エストニアの人口は約136万人(2023年)と日本の約90分の1、面積はおよそ4.5万平方キロメートルで日本の約9分の1。国土の半分が森林で覆われています。電子国家として知られていて、投票から納税まであらゆる行政手続きが電子化されているほか、審査を受ければ誰でもエストニアの「電子市民」になれる「e-Residency」という制度もあります。
比較国際教育学が専門の丸山英樹先生(総合グローバル学科)が研修を担当し、参加した学生10名は「教育とサステナビリティ」をテーマにエストニアで実地調査を行いました。
「学び」のいろいろ
教育と聞いてまず思い浮かぶのは学校ですが、この研修では学校のほかにも様々な教育・学習機関を訪問しました。例えば、放課後に開講される「ホビースクール」では、子どもたちが動植物に触れながら自然について学んだり、アップサイクル素材を使って工作に取り組んだりしていました。
特に印象的だったのは、子どもに良質な文学にふれる機会を提供することを目指すエストニア児童書センター(Estonian Children’s Literature Centre)。センターが制作・出版した『Pisike puu』(エストニア語で「小さな木」)は、50の厳選された詩や物語を集めた子ども向けの絵本です。この本は、エストニアで生まれる全ての子どもに、政府から無償で提供されています。センターは他にも、児童文学の作家・イラストレーターに発表の機会を提供して、次世代文学の発展を喚起しています。
もちろん、学びは子どもだけのものではありません。博物館や美術館では、展示やワークショップなど子どもから大人までに開かれた学習の機会が提供されています。生涯学習に関心があるという田村璃子さん(総合グローバル学科3年)は、「誰にでも開かれた、自由な学びの空間が魅力的だと思いました。自分の手を動かして学ぶ機会が子どもにも大人にも身近だと実感しました」と話していました。
静寂を聴く森
エストニアの自然を肌で感じたのが、森での1日。エストニア第2の都市タルトゥからバスで1時間のPalupõhja地区に移動し、ハイキングに出かけました。うっそうとした森を抜けると、ぱっと視界の開ける場所が。積もった雪で一見分かりませんが、この一帯は湿地で、そのため身長より低い丈の木々が広がっているのです。「ここで『one-minute silence(1分間の沈黙)』をやってみましょう」というガイドのEpp Libeさんの掛け声で立ち止まって耳を澄ますと、風の音だけが聞こえる静けさに気がつきました。
この日の宿泊は、森のロッジ。夕方にはビーツやそばの実を使ったエストニア料理作りに挑戦しました。夜、サウナからロッジへの帰り道でふと空を見上げると、街の灯りがないからこその満天の星が輝いていました。この日は写真撮影以外、全くスマホを使わないで過ごしたという佐々木梨杏さん(総合グローバル学科1年)は、「自然の音に耳を傾けて、丁寧に料理をして、一つひとつの時間をいつもより深く味わえた気がします」と振り返っていました。
エストニアの特別な1日
エストニアという国を強く感じたのは、2月24日の独立記念日。1918年にエストニアがロシア・ソビエト連邦社会主義共和国からの独立を宣言した日です。滞在していたタルトゥでは記念式典が開かれ、タルトゥ市長らがスピーチを行いました。ロシアによるウクライナへの侵攻開始から1年となったこの日。ウクライナへの連帯の印として、エストニア国歌に続きウクライナ国歌が演奏されました。
日本文化を紹介
エストニアで日本文化を紹介する機会になったのが、ホビースクールなどを開講している教育機関Tartu Nature Houseで行われたJapanese Cultural Eveningです。大人だけで約130人が来場、さらに子どもも多く参加しました。浴衣の着用やおにぎりの試食、茶道や折り紙のワークショップなど、用意した日本文化の体験コーナーはどれも大賑わいでした。
「日本のアニメが大好き!」、「日本語でthank youは『ありがとう』だよね」などと話す来場者もいて、日本文化への関心の高さに驚きました。
おわりに
いかがでしたか? 研修初日こそ氷点下の気温に「寒い」を連呼していましたが、気づけば現地の人の温かさに胸がほっこりしていました。自然・社会・文化を肌で感じ、頭と心でいろいろな「新しい」を吸収する10日間になりました。
自分の足で現地を開拓し、様々な人と「なま」で関わることで自分なりの発見を重ねることが、海外短期プログラムの魅力かもしれません。もうすぐ新年度。教室の中でも外でも、たくさん学び考える年にしたいですね。それでは、エストニア語の「ありがとう」でおわかれです。Aitäh!
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学生が作成した2022年度エストニア・スタディーツアーのレポートはこちら
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