2021.08.30
こんにちは。突然ですが、みなさんは「データサイエンスプログラム」をご存じですか? 聞いたことはあっても、データサイエンスというとなんだか難しそうと避けている人もいるのではないでしょうか。この記事では、データサイエンスプログラムについてご紹介します。データサイエンスなどに関する知識を習得できる上に、就職活動でのアピールにも使える魅力的なプログラムです。ぜひ履修登録時の参考にしてみてください。
データサイエンスプログラムとは
データサイエンスプログラムは、文理を問わず社会で活用される数理・データサイエンス・AIなどについて体系的に学ぶことができるプログラムです。修了すると、修了認定証が発行されます。スタンダートコースとアドバンストコースが設置されており、段階を踏んで知識を深められるようになっています。
各コースの修了要件は以下の通りです。
スタンダードコース
①全学共通科目(必修)「データサイエンス概論」または「OVERVIEW OF DATA SCIENCE」の単位を取得する(この科目は2022年次生以降向けの必修科目)。
※2021年次生以前は「データサイエンス概論:日常生活とデータサイエンス」を履修すること。
また、2020年度に開講された「日常生活とデータサイエンス1」と「日常生活とデータサイエンス2」または「データサイエンス概論1:人間、社会、科学技術とデータ」と「データサイエンス概論2:データサイエンスの方法」の単位を取得している場合は、「データサイエンス概論:日常生活とデータサイエンス」の単位を修得しているとみなされます。
②指定全学共通科目(選択)3科目の単位を修得すること。
※理工学部情報理工学科の学生は指定の学科科目4科目の単位を修得すること。
アドバンストコース
①スタンダードコースの修了要件を満たしていること。
②指定科目一覧から8単位以上修得すること。
(こちらのリンクから2023年度のデータサイエンスプログラム修了に必要な指定科目一覧を見ることができます。)
今回、スタンダードコースを修了された内山佳乃さん(教育学科2年)とデータサイエンスプログラムの管轄をしている基盤教育推進室の高木さんに取材をさせていただきました。文系の学生からすると、少しとっつきにくいと思われがちな分野ではありますが、お話を伺ったことで、データサイエンスの印象がガラリと変わりました。
Q. データサイエンスプログラムを知ったきっかけは何ですか。
(内山さん)履修要覧に書かれていたデータサイエンスプログラムのページを見て知りました。
Q. データサイエンスプログラムを取得しようと思った理由について教えてください。
(内山さん)私は中学3年生の時に、学校の授業で収入格差と学歴格差の関連性について研究したことがありました。そのときに色々なデータを調べていたのですが、既存の論文に載っているデータだけだと、自分が本当に調べたい関連性を分析しているデータがとても少なかったり、自分の意図からずれているものだったりしました。そこで、自分の目的に沿って、分析したい素材を分析するスキルが欲しいなと思ったことがあったため、取得しようと思いました。
Q. プログラムを受講してみてどうでしたか。
(内山さん)私は私立文系ということもあってパソコンや数学に苦手意識がありました。なので、論文のデータを見てもわからないなと思って避けてきたのですが、プログラムを受けたことで統計のことや分析の内容をほんの少しだけでもわかるようになりました。その分データから読み取れる情報量が増え、筆者が主張していることだけじゃなく、自分なりにデータを分析して読み取れることも増えたので、プログラムを受けて良かったなと思います。
Q. 受講した授業の中でおもしろかった授業、大変だった授業について教えてください。
・おもしろかった授業「人工知能基礎」
(内山さん)「人工知能基礎」ではAIの歴史、社会的問題について学ぶと要覧に書かれていますが、それだけじゃなくて、AIの基本的な動き方、例えば人間だったら文脈で読み取れることがAIだとできなくて、0と1の選択でしかプログラムを進むことができないという基礎的な考えを学べました。だから、そのあとの2つの授業(「データサイエンスとデータエンジニアリング」・「データサイエンスと人工知能の実践」)で、プログラミングをすることが容易になったと思います。
・大変だった授業「データサイエンスと人工知能の実践」
(内山さん)「Python」(分析、プログラミングをするためのソフトウェア)というプログラミングを組むツールを使って実際のデータを分析するのですが、パソコンが苦手なので、まずパソコンの使い方がよくわからないところから始まりました。もう1人一緒に授業を取っていた理系の先輩と比べると、やっぱりエラーが多くてなかなか苦しかったです。
Q. 文理関係なく、受講することでどのような知識をプラスアルファで得られましたか。
(内山さん)理系の知識が全くなく、データの分析の読み取りも全くできない状態だと、他人が解析した既存のデータを読むことしかできないけれど、今回このプログラムを受けて、データを読み取れるようになりました。そして、自分の目的に沿って、データを使って分析をすることも、今取っている他の授業でしています。なので、正しいデータの読み取りと、自分の目的に沿った分析を自分でできるようになったことがプラスアルファで得られた知識だと思います。
Q. 文系の学生にとって馴染みのないテーマ(プログラミング、AIなど)がデータサイエンス科目では多く扱われていますが、初心者でも気軽に学ぶことはできますか。
(高木さん)プログラミングなど、初めて学ぶ際にハードルを感じる内容もあるかもしれませんが、スタンダードコースは高度な数学の知識がなくても受講できるようになっています。手法だけでなく、AIなどの技術の歴史や社会との関わりについても学べますので、「データサイエンス概論」から一歩先に進むつもりで受講してもらいたいです。
Q. データサイエンス概論は2022年度から必修科目となったので、文理問わず学生が学んでいますが、必修科目になる前は文系の学生でもデータサイエンスを学ぶ機会はありましたか。
(高木さん)はい。現在のデータサイエンスプログラムとは少し毛色が違うものですが、実はありました。同じ「データサイエンスプログラム」という名前で、2015年からグローバル教育センターで開講されていました。現在のプログラムの一部として再編するため2024年度で終了しますが、まだ履修要覧にも載っています。また、データサイエンス概論は必修科目になる2年前から選択科目として開かれていました。
データサイエンス・クリニックについて
皆さんは、データサイエンス・クリニックについてご存じでしょうか。
上智大学には、統計学や分析などデータサイエンスに関する疑問について質問や相談ができる窓口が設置されています。利用する際はオンライン相談(Zoom)とメール相談の2種類から自分の好きな方法を選択できます。授業や研究、論文などでデータを使うときに、疑問が生じた際には気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
データサイエンスと聞くと、学ぶことに身構えてしまっていましたが、取材を通して、想像以上に気軽に飛び込むことのできる分野であることを知りました。レポートを書く際にデータサイエンスの知識があることで信頼性の高いものを作成できる、という話をお聞きしたことで、決して距離が遠い学問ではなく、様々な分野に結びついていることをひしひしと感じました。文系、理系というカテゴリで分別せず、これからの時代を生きていく人々にとって不可欠な学びであることを強く感じました。そして、取材を受けてくださった内山さん、高木さんありがとうございました。