皆さん、こんにちは! 新入記者のゆづです! 5月12日(日)に四谷キャンパスにてフランス発の視覚障害に焦点を当てたイベント、CÉCITOUR TOKYO(セシツアー トウキョウ)が開催されました!
今回は、そのイベントの様子と実際に参加した記者の体験談、運営団体であるソフィア オリンピック・パラリンピック学生プロジェクトGo Beyondへのインタビューをお届けします!
◯CÉCITOURとは?
CÉCITOURとは、視覚障害者スポーツに特化したフランス発のイベントです。「céci」は、フランス語で「目が見えない」を意味する「cécité」に由来した言葉です。CÉCITOURは、フランスハンディスポーツ連盟が、以下の3つのことを目標として2023年から実施しています。
- 視覚障害者のスポーツ実践を促進する
- 視覚障害者支援に貢献しうる関係者ネットワークを発展させる
- 市民の理解を深める
フランス国内で既に7回実施されているそうですが、なんと国外開催は今回が初めて! 記念すべき国外開催1回目が四谷キャンパスだったんです!
◯イベントの様子は?
実際に、私(ゆづ記者)と編集長のゆう記者でイベントに参加してきました✨
CÉCITOUR当日は、ブラインドサッカー体験会や現役のパラスポーツアスリートの方とフランスハンディスポーツ連盟代表の方とのトークセッションなど「視覚障害」や「フランス」をテーマとしたイベントが数多く開催されていました。
CÉCITOURでは、大学主催のイベントに加えて、企業・団体の出展ブースも多くあり、「視覚」にまつわる様々な体験ができました。その中からいくつかご紹介したいと思います!
①どういう風に見えているの? 白内障・緑内障の視界体験&全盲の体験
目薬でおなじみの参天製薬株式会社さんのブースでは、白内障・緑内障の視界体験と全盲の体験をすることができました。白内障・緑内障の視界の体験には、このようなメガネが使われていました。ブースでは、このメガネを着用したまま『ウォーリーをさがせ!』にトライ!
感想としては、白内障の視界は、全体的に靄がかかっているようでハッキリとは見えませんでした。また、緑内障の視界は、視野が狭いゆえに首を後方まで回転させる必要がありました。いずれも、当事者の方ご自身の注意だけでなく、見えている人が適切な支援をすることで安全性を高められるのではないか、と感じました。
また、全盲の体験ブースでは、「目が見えない」状態でパズルに挑戦。
「全盲当事者の方は、『触ること」を通しても知覚している」と参天製薬の方がおっしゃっていました。僅かな時間でしたが、全盲の視界を体験したことで、全盲がどのようなものなのかを少し理解できたように思います。
②あなたのナビになる! 「shikAI(視界)」体験
続いて体験したのは、リンクス株式会社さんの「shikAI(視界)」というアプリです! これは、視覚障害者の方が駅構内を安全に移動できるよう開発が進められている、QRナビゲーションシステムです。
使い方は簡単! 駅構内の点字ブロックに印字されたQRコードを専用アプリで読み取ることで、音声で案内してもらえます✨
間違った方向に進んでしまっても訂正されるので安心です! 実はこの「shikAI」、東京メトロ各線で導入が進められているんです! ちなみに、上智大学の最寄り駅の一つである、丸の内線・南北線四ツ谷駅でも見ることができます!
③ブラインドサッカー体験会~CÉCILYMPIQUE~
ブラインドサッカーのイベントには、ゆう記者が参加しました! ブラインドサッカーとは、ゴールキーパー以外の人はアイマスクを着用して全盲の状態でプレーするサッカーだそうです。全盲の状態で臨む代わりに、音が鳴るボールを使って、「聴覚」を頼りにプレーします。
ゆう記者は、どんな体験をしたんでしょうか……?
(ゆう記者)今回私が体験させていただいたブラインドサッカーは、総勢約100名によるチーム対抗・ミニゲーム形式で行われました! 体験中はチーム内の半分がアイマスクをして何も見えない状態で動くのですが、視界に頼れない分仲間とのコミュニケーションや協力が不可欠で、その分チームの仲も深まりやすく、そこがこのスポーツの魅力の一つではないかなと感じました。
またほとんどの参加者がブラインドサッカー初体験だったので、みんなが同じスタートライン、みんながみんな視覚に頼れない中、小さい子のほうから大きな社会人の方の手を引く場面も何度も見ることができました。そんな心温まる場面からも、ブラインドサッカーは人と人とが繋がれるスポーツなんだなと知ることができ、自分の中の障害者スポーツのイメージが、がらっと変わるきっかけになりました。ブラインドスポーツを勉強したいという気持ちで申し込みましたが、そんなことを忘れてしまうくらいほんとうに楽しい体験でした!
ゆう記者にとっても新たな発見があったようですね!
◯CÉCITOUR運営団体のGo Beyondへのインタビュー
では、ここからは、上智大学と共にCÉCITOUR TOKYOを主催したGo Beyondへのインタビューをお届けします! CÉCITOURを開催するに至った経緯や、この夏開幕予定のパリオリンピック・パラリンピックとの繋がりなどを伺いました✨
⭐︎Go Beyond とは?
正式名称:ソフィア オリンピック・パラリンピック学生プロジェクト Go Beyond
2018年6月に発足し、東京2020オリンピック・パラリンピックをきっかけとして、共生社会の実現を目指している上智大学の学生団体です。これまでも、上智大学内のイベント参加や他団体とのスポーツイベント企画など様々な活動をされています!
今回は、Go Beyondを代表して、濵井南咲希さん(英語学科4年)と平陽菜子さん(フランス語学科4年)にインタビューに応じていただきました!
Q. CÉCITOUR TOKYO開催までの経緯は?
(濵井さん)元々私たちGo Beyondは、東京2020大会をきっかけに、その先の「共生社会」の実現を目指して活動してきました。
東京大会に向けて一緒に頑張ってきた他の団体や企業のほとんどは、東京大会の閉幕と共に活動を終えました。ですが、私たちは団体名のBeyond(超えていく)にもある通り、大会の後も活動を継続させるつもりでいたので、東京大会のレガシーを次のオリ・パラ開催地であるパリに引き継ぐことが重要だと考えました。そんな中、フランス・ソフィア会(上智大学・聖母大学卒業生の同窓会組織)を通してフランスのハンディスポーツ連盟と繋がることができたんです。「これはチャンスだ!」と思いました。
(平さん)上智以外にも、東京大会を目指して設立された学生団体があったんです。BRidGe(上智大学・早稲田大学・慶応義塾大学・立教大学・立命館大学・明治学院大学から構成されていた2020年東京オリンピックに向けた学生連携プロジェクト)もその一つなんですけど、そこに所属していた大学のほとんども東京大会と共に活動を終えました。ですが私たちGo Beyondは、このムーブメントが東京大会で終わってしまうことに悔しさを感じたんです。そこで、「学生主体でもう一度ムーブメントを起こしたい」と思って、CÉCITOUR TOKYOを開催しました。
―― BRidGeは、どのような経緯で設立されたのですか?
(濵井さん)東京オリ・パラで大学が連携して大会を盛り上げようという動きがあったんです。その中でも特にオリ・パラに力を入れていた大学群がBRidGeでした。
――Go Beyondが東京大会後も活動を続けられた理由は、どのようなものですか?
(平さん)コロナ禍開催で賛否両論だった東京大会にも、Go Beyondのメンバーはボランティアとして参加していたんです。中には、無観客開催となったことで、参加を見送り、悔しい思いをしたメンバーもいました。オリ・パラが持つ可能性を信じ、執着する強い気持ちがあったからこそ、「パラスポーツを通して共生社会へ」という今でも変わらぬ思いを持ち続けられたんじゃないかと思います。意思の強さが、Go Beyondの活動継続に繋がったんじゃないかと。BRidGeに所属していた他の大学のメンバーとはあまり話す機会がなかったので、他の大学が活動を終えた事情は詳しくは分からないんですけどね。
Q. 開催場所に上智大学を選ばれた理由は?
(濵井さん)先ほども述べたように「学生主体でムーブメントを起こしたい」という思いから、大学にしました。それに、上智としての取り組みをアピールできるきっかけにもなると思ったんです。
(平さん)BRidGe設立の経緯でもお話した大学連携のところで、今回は大学が主体となって活動すると決めていたんです。今回は東京でしたが、今後は日本に限らず色々な地域で開催していってほしいと思っています。そのために「まずは私たちの大学から」と思って、上智を選びました。
Q. 今回のイベントを通して伝えたかった、ブラインドスポーツやパラスポーツの魅力とは?
(平さん)私はGo Beyondに入る前まで、ブラインドスポーツに限らず、パラスポーツは障害者のためのスポーツだと思っていたんです。普通のスポーツができないから、そのために障害者スポーツがあると捉えていました。ですが、Go Beyondに加入してすぐにパラスポーツを体験して、様々な気づきがありました。この4年間を通して色々なパラスポーツに触れてきて、その中でパラスポーツの「ルール」が果たす役割の大きさを学んだんです。どのスポーツにもルールはあります。ですが、例えばブラインドサッカーであれば、キーパー以外は、みんな目隠しをします。「目隠しの着用」というルールが、プレイヤーに一つ共通のもの、平等にプレーするためのものを与えていると思ったんです。そこで、「ルール」があるからこそ、みんなが同じ条件でプレーでき、自分を最大限に「表現」できると思ったんです。「自分を表現しながら仲間と冒険できる」。ブラインドスポーツに限らず、パラスポーツについても言えることですが、これが最大の魅力だと考えています。
Q. 今回のイベントとパリ2024オリンピック・パラリンピックの繋がりは?
(平さん)オリ・パラ公式のイベントではないので、直接の繋がりはありません。ですが、大元のCÉCITOURは、パリ大会を宣伝する一つのアクティビティだと言われています。今回のCÉCITOUR TOKYOでは、教育機関が、現役の選手や応援する企業、東京都など、パリ大会に向けて動いている人々・企業・行政と繋がれたことに大きな意義があるんじゃないか、と思っています。大学と社会とアスリートを繋ぐプラットフォームを作る点では、今回のイベントは大成功だったと感じています。
Q. CÉCITOUR TOKYOを踏まえて、今後の生活で特に上智生に伝えたいことや意識してほしいことは?
(濵井さん)私からは、何か問いを持ち、それを考え続けるプロセス自体から学べるものがある、ということを上智生にお伝えしたいです。今回のCÉCITOURは、私たちGo Beyondが普段行っている模擬授業のような活動よりも深く、共生社会について考えることができたと感じています。今まで視覚障害に焦点を当てたことがなかったので、視覚障害を知ることから始めました。その中で私は、視覚障害者の方の外出をサポートする同行援護の資格を取ったり、目が見えていない人の世界を体験したりしました。表現が適切かは分かりませんが、自分にとって新鮮で面白い世界だったんです。CÉCITOUR準備の段階では、「目が不自由な人が来るのに、どう会場づくりをすればいいんだろう」というように沢山悩みました。ですが、問い続けることにも大きな意義があると思います。共生社会という言葉も漠然としていますし、それぞれの答えがあります。それが何なのかを問いながら、考え続けるプロセス自体が共生社会の実現につながると思います。
(平さん)どうしたら自分と違う人々と共存できるのかを考えてほしいです。Go Beyondの場合は、それを考えるきっかけがパラスポーツでした。きっかけは何でも良いと思うので、それを実行してほしいです。それと、心のバリアフリーを広げていくことも意識してほしいです。私はフランスに留学した際に、街のバリアフリーの不足度合に驚きました。ですが、その分「お手伝いしましょうか?」という声かけのような心のバリアフリーが充実しているんです。上智の「他者のために、他者とともに」に表されているように、心のバリアフリーを大切にしてもらいたいです。
濵井さん、平さん、ご協力ありがとうございました!
◯ おわりに
共生社会の実現に向けては、それぞれが何をできるのかを考えた上で、実行することが大切だとCÉCITOURの運営に携わったお二人の言葉から考えることができました! 自分とは違う「他者」を知るきっかけになるイベントでした! 皆さんも、ぜひ次のCÉCITOURに足を運んでみてください♪
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