2022.09.21
2022.09.21
2022年の南三陸PJTの現地研修が10月1日~2日の二日間で行われました。コロナ禍によって現地研修がここ数年行われておらず、また今年も多くの制約がある中での実施でしたが、多くの方の支援により実りある現地研修となりました。
今回は現地研修二日目の様子をお届けしたいと思います。
二日目最初の農業体験では、南三陸産の農作物(特産のイチジク、サツマイモ、長ネギなど)を収穫させていただきました。震災被害においては、津波や地震などを学ぶ機会が多く、自然の恐ろしさをひしひしと感じていましたが、自然とともに生き、自然の恵みを大切にする農家さんの姿を見て、自然の良さも改めて感じました。
二日目のお昼は、南三陸産の野菜やお肉、魚介類を使ったBBQを行いました。キャンプ場のある神割崎は海から近く断崖絶壁にあり、素晴らしいロケーションで、東北地方特有のリアス式海岸は壮大な眺めでした。その波の穏やかでかつ、親潮と黒潮の潮目に当たる南三陸でとれるタコを使ったBBQはとても美味しく一同皆大満足でした。またBBQの火おこしも自分たちで行ったため、火おこしの大変さと知識の重要性を再認識することができました。
東日本大震災で南三陸の重要な産業である養殖漁業は重大な被害を受けましたが、今では養殖は再開されており、現在ではほぼ震災前の水揚量まで復活しています。ただ実際には震災によって養殖施設が全壊してしまったり、自分以外の家族や家を失ってしまって漁業の再開をあきらめた人やあきらめかけた人もいたというお話も聞きました。そのような中、ここまで復興が進んだのは、現地の方々の絶え間ない努力があったからという事実を知りました。私たちが『海から学ぶプログラム』で実際に体験した内容は、「実際に養殖場の近くに行って学ぶ乗船」「海でおぼれている人、もしくは自分がおぼれているときに役立つロープワーク」「南三陸町の行っているSDGsについての紙芝居」の三本立てでした。乗船時には漁師さんから震災時の津波の引き潮の高さと、それにより変わってしまった地形についての話や、船に関する基礎知識の話、ウニの生態についてのお話を聞くこともできました。また漁師をしていくうえでの後継者問題や養殖業そのものの大変さの話も伺い、第一次産業に共通する問題を発見することもでき有意義な時間を送ることができました。
充実した二日間の全行程を無事に終了し、私たちは東京に帰りました。仙台のバスでは二日間の疲労で寝ている人も多かったです。仙台では一時間ほど時間がありお土産や駅弁、仙台名物のずんだシェイクを調達して新幹線に乗り込みました。余韻に浸りながら東京までの一時間半新幹線に乗車して、一人もケガや体調不良もなく、大成功によって現地研修を修了することができました。
南三陸のあらゆる魅力を見つけ、充実した研修となった二日間。震災風化を防ぐため、未来に震災の教訓をつなげていくためにも今回の研修は実りが多くあった。現地の方から直接お話を伺い東日本大震災から時間がたった今も、多くの場所や人々の心に傷跡が残っていることを痛感しました。多くの被災者が自身の経験から語り部になったり、防災を呼び掛けたりしていることを知り、今後、震災を知らない世代が増えてきたとしても、この経験を風化させずに伝え続けなければならないと強く感じました。これ以外にも復興までの現地の方々の絶え間ない努力があったことを知りました。現地に実際に行って特に感じたのは「課題」や「悲惨さ」よりもむしろ「希望」「明るさ」で、逆に南三陸の魅力に虜になってしまうほどでした。 以前よりも整備が進み多くの人で賑わっていたさんさん商店街や、新しくオープンした南三陸311メモリアルを見た時には、「これからの新しい南三陸」を感じられた気がして、自分事のようにうれしかったです。農業や漁業でも、優しい地元の方々を通じて南三陸の知らなかった魅力をたくさん知ることができました。
語り部の方に「今後自分達にどういうお手伝いが出来るか」と聞きたとき、「もう十分すぎるくらいたくさんの温かい手をいただいて南三陸は今のように復興した。今度は自分達が、支援を受ける側ではなく、恩返しをする番。ここで学んだことを持って帰って、自分達の今後に生かしてもらえれば」という風に答えてくださったのが、強く印象に残っています。お世話になった現地の方々に感謝しつつ、語り部といった形で辛い経験を自分達に伝えようとしてくれている意味を考え、自分の周りでもできることを行動に起こしていこうと感じました。
最後に日程を組むにあたってコンタクトを長い期間とり、ご対応してくださった南三陸町観光協会の方、二日間現地で支援してくださり、南三陸プロジェクト2022に中心的にかかわってくださった学生センターの方々、大変お世話になりました。現地研修でも農家、漁師の方々にもお話を聞けて、充実した二日間にすることができました。プロジェクトにかかわってくださったすべての皆様に感謝を伝えるとともに、記事をしめさせていただきたいと思います。ご精読ありがとうございました。
2022.09.21
2022.09.21