こんにちは、記者クラブのノアです。今回は上智大学留学生夢支援懸賞論文奨学金について、最優秀賞を受賞されたモンゴル出身、現在はグローバル・スタディーズ研究科修士1年のボルドゥイアンさんへインタビューをしました。取材の過程で受賞者のボルドゥイアンさん、学生センター稲坂さん、小澤さん、通訳として文学研究科修士1年の改野しずくさん、写真撮影を記者クラブ編集長のゆう記者にご協力いただきました。
ボルドゥイアンさん
祖母が作ってくれたご飯のにおい、母国モンゴル
賞を受賞した率直な感想を教えてください
喜びと驚きの気持ちが入り混じっていました。信じられない気持ちでした。結果発表の日は朝から結果が掲示されるLoyolaをこまめにチェックしていましたが、すぐには結果が出ないためしばらく携帯を見ずにいました。21時ごろになって結果を確認することができました 。
応募動機を教えてください
モンゴルは発展途上国で給与水準がまだ低い状況です。そのことや物価の違いがモンゴルの学生にとってアメリカや日本をはじめとして海外に留学することの障壁になっています。自分の夢に留学を通じチャレンジするため、経済的な余裕を持てるようにこの奨学金に応募しました。
物価や為替について
そもそも物価や為替の問題でドルや円に換える条件が為替的に良くないため苦しいです。自分 より若い世代にも留学をしたい人は多いですが、どうしても留学できずにいます。
執筆論文で最も伝えたかったメッセージは何ですか
誰しもが故郷に対する思いを持っているはず、そこを強調したいと思いました。持続可能性など他に関心のあるテーマも大切にしていますが、何よりも、どんな場所でも、みんなが「ただいま」と言える場所を持っていること、そのことをあらためて伝えたかったです。
故郷モンゴルの好きなところ、思い出に残っている経験があれば教えてください
小さい頃の思い出で、モンゴルの冬は寒くマイナス30.40になり、そんな寒い中を毎日学校まで歩いて通っていました。家に帰るといつも祖母がご飯を作ってくれいて、そのご飯を作る匂いが忘れられません。
東京の街にある静寂
スピーチではどのようなことを意識されていましたか
一つのスピーチは物語になっていて、クライマックスをとにかく意識して伝えなくてはならないと感じています。聞いてくれる方も時間を割いてくれているので、その時間に見合ったものを見たいと思う期待に応えられるようなスピーチになるように意識しました。
日本に留学しようと思ったきっかけや理由を教えてください
父が国際的な企業で働いていました。そこでいろんな国の人たちとお仕事をする機会がありましたが、日本人の働き方が素晴らしく、仕事の質、時間を守るところなど学ぶことが多いと感じ、それを自分にも伝えてくれました。それが一番のきっかけとなりました。そんな日本人の働く態度やスキルを自分の将来世代にも伝えたいと考えるようになりました。
ここまでの日本での日々の生活や学校生活で印象に残っていることはありますか
東京は全てのスピードが速く、時間に常に追われているような感覚があります。最初は慣れませんでしたが、徐々に適応できるよう意識してきました。(モンゴルは日が長いこともあり)日の出ている時間の方が物事に集中できます。
留学の中で大変だったことつらかった経験はありますか
日本語で書かなければいけない手続きの書類に苦労しました。手続きの書類は普通の日本語よりも難しい気がします。日本人の友達もできてきたので、その友達に聞くようにしています。日本人の友達が助けてくれます。
喜びを感じた経験を教えてください
とても忙しさを感じる東京の中にも静寂や安心できる清潔な場所、公園など忙しい中でも自分を取り戻すことができる場所や時間を見出すことができたことです。
常に優しく
将来のキャリアビジョンや夢は何ですか
現状ではまず日本の企業で働いてみたいと考えています。その中でも日本のグローバル企業で働きたいです。
普段人と接するときにはどのようなことを意識されていますか
母や祖母から常に「be kind ,be nice」でいるように教えられました。これは全くコストのかからない努力だし、そのことでいろんな人とより関わることができると思います。
物事に取り組むときにはどんなことを意識していますか
フィニッシュラインを置き、終わりを意識して物事に取り組むようにしています。何かを始めるということは何かが終わるということ。そのゴールを意識してベストを尽くすようにしています。
現在の国際ビジネスの専門を選ばれた動機は何ですか
元々モンゴルの学部時代にはビジネス法を学んでいました。その範囲がモンゴルに限定されていたのでより視野の広い国際的な範囲を学びたいと考えました。
モンゴルのためにしたいこと、目標は何ですか
モンゴルの冬はとにかく寒いです。日本の商店街のようなものは現在モンゴルにはないです。商店街のようなものを作れれば降雪も防げるし、より便利な生活が実現できるのではないかと考えています。
学生センターに聞く
本奨学金設立の経緯を教えてください
本奨学金は金祝燦々会の発案により創設されました。長年にわたる本学への貢献活動が評価され、金祝燦々会はフランシスコ教皇が来日を際して設けられた「上智大学院教皇フランシスコ来学記念表彰」を受賞されました。 その際、贈られた20万円を学生に還元したいとの思いから上智大学の理念とする他者、ここではこの他者を「上智で学ぶ留学生」と置き換え、留学生の夢を応援する本奨学金を設置することになりました。多くの卒業生が寄付という形でご支援くださっているそうです。
そもそも金祝とは
金祝→卒業して50年
銀祝→卒業して25年を際して卒業生が集う節目とされています。
現在の金祝燦々会は70歳以上の方々が中心となって留学生の支援をはじめ、様々な活動をされています。具体的には、俳句コンテスト(以前記事)、日本語スピーチコンテストなどです。
上智にある奨学金の種類を教えてください
上智大学内の奨学金に関しては、大きく2種類の奨学金があります。修学奨励奨学金(授業料の減額)、篤志家奨学金。現在上智では学内・学外の奨学金合わせて、4000人ほどの学生が奨学金を受給しています。およそ3人に1人ほどが奨学金を受給している計算になります。
上智大生へのメッセージを教えてください
もしかすると奨学金が自分には関係ないと思っている学生もいるかもしれません。経済的に困窮していない場合でも幅広い学生に該当する奨学金制度が整備されています。自分に関係ないと思わずにまずは関心を持ってほしいです 。
おわりに
最後まで記事を読んでくださりありがとうございます。今回はボルドゥイアンさんインタビューを中心にお伝えしてきました。ボルドゥイアンさんからは故郷モンゴルへの熱い想い、将来への展望などお話の節々から日々日本での留学生活を真摯にそして前向きに過ごされていることがわかり大変刺激を受けました。また学生センターでのお話からは上智大学の奨学金を取り巻く状況についてもお話をお伺いすることができ、経済面から学生を支える上智大学の充実した制度を改めて知る機会となりました。あらゆる国籍や特徴を持った人が行き交い交流をする上智大学。そんな上智を形作る魅力的な方々にお会いできる機会となりました。改めて取材に協力してくださった皆様に感謝いたします。
関連ページ
溢れ出す、アフリカの魅力
2023.07.28