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上智学生記者クラブ通信

#324 杉村新学長ってどんな方!?
そのバックグラウンドに迫る!

2025.03.14

温かい気配りの方 杉村美紀先生インタビュー(Part1)

普段私たち学生の利用する9-cafeのスペースで取材にご協力くださいました

こんにちは記者クラブのノアです。

今回は、4月から新学長となられる杉村先生に、ゆう記者とともにインタビューをさせていただきました!これまでの研究活動、学長として取り組んでいきたい分野、上智大学や学生の魅力について、混迷を極める世界をどう見れば良いのかなど、幅広く杉村先生のお話をお伺いしました。

杉村先生とお話して何よりも感じたのは、常に温かく、それでいて誰に対しても常に気配りをしてくださる方ということでした。インタビュー中でも「こんな新しい企画があったらどうかなぁ」と私たちの意見を真摯に聞いてくださるタイミングも多くありました。今回の取材を通じてゆう記者とともにすっかりファンになってしまった杉村先生についてインタビュー記事を通じて少しでも皆さんに知っていただけたら嬉しいです。

本記事では第1弾としてインタビュー取材の前半部をお伝えしたいと思います。杉村先生の学長としての今後の展望については第2弾として次回号でお伝えいたします!

Q.これまでのご研究や経歴について教えてください!

現在は総合人間科学部に所属し、国際教育学、比較教育学、多文化教育論を専門にしています。学生時代から教育に関して研究を続けています 。

–元々アカデミックな世界に限らず海外との国際交流の仕事をしたかったと語る杉村先生、そのきっかけは学部時代の授業にあったとのことでした。

大学1年生の際に全学共通の国際関係論の授業をとっていたのですが、そこでお伺いした国際交流についてのお話がとても興味深く、関心を持つきっかけになりました。

–この先生とは、後に研究プロジェクトに参加した際に、学部1年生の時から実に20年余り年がたって再会することができ、大変嬉しかったそうです!教育学科での授業とは別に比較国際教育分野の研究もなされており、現在は主に3つの領域について研究しているとのことです。

Q.現在の研究領域について教えてください

1つ目は多文化教育に関わる研究です。特にマレーシアについては多民族、多言語、多宗教の研究対象として学部の卒業論文で取り上げて以来、関心をもってきました。

マレーシアはマレ―系優先政策をとってきた国ですが、90年代からは国際化が始まっています。国造りの過程で教育の役割が変化していくのをみるという非常に興味深いことです。元々マレーシアには、マレー系以外に中国系の華人や、インド系の人たちが暮らしていますが、その中で学位論文の研究では、華人コミュニティの教育について取り上げました。国際化に伴う政策の変化で、マレーシアからは海外に留学生を送り出するとともに、特に高等教育においては、マレー語だけではなく英語も教授言語として重視するようになり、現在では多くの留学生を迎えいれるようになっています。

2つ目の研究領域は、近年特に活発化している人の国際移動に伴う国際教育の研究です。2000年代からは国と国が連携し教育のネットワークが誕生したり、あるいは国境を越えて新たな国際教育プログラムが創られるトランスナショナルな動きが見られるようになってきました。

さらに3つ目として持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development: ESD)の研究があります。ESDは持続可能な開発目標(SDGs)の中でも謳われており、教育を通じて持続可能な未来社会の創り手をどのように育てるかということが課題になっています。

Q.上智大学へはいつ着任しましたか?

上智大学には2002年の9月に着任しました。今年で23年目になります。当初から多文化教育や国際理解教育、国際協力と教育、国際交流の話を授業などでしてきました。上智には、関連する分野で素晴らしい研究をされておられる先生方が多くいらっしゃるので、皆さんもぜひ授業に参加したりやお話を聴きにいってみてください。

Q.これまでの恩師について教えてください

大学院時代の指導教官のおひとりは、北欧の教育の専門家で、異なる社会文化的背景の違いと教育政策や言語政策に着目した比較教育学研究をなさっていました。またもうお一人の指導教官は異文化をどう見るかというテーマについて研究されていました。海外子女や帰国子女、あるいは外国籍の人々が、異なる文化のなかでどのように適応するのかという点に焦点をあてたものです。こうした恩師の教えが今も研究のベースになっていると思います。

上智大学では、自分自身の研究関心と、上智活動大学が創立以来大切にしてきたものや大学のミッションと重なり合っていて、教育研究が大変やりやすいと感じてきました。

Q.上智大学に着任される前は何をされていましたか?

上智に着任する前には、家人の海外赴任先であるベトナムのハノイや中国の北京に滞在していました。子育てをしながらの海外滞在でしたが、こどもが通っていたインターナショナルスクールの教育実践は大変勉強になりました。上智大学には北京から戻って着任させていただきました。

Q.ハノイや北京での経験を教えてください

ハノイや北京での経験は今でもいろいろな場面で活きていると感じます。当時の日本では、留学生のことや人のボーダーレスな動きに今ほど注目が集まっていたわけではなかったのですが、ハノイや北京ではすでに人の動きが始まっていました。たとえば、ベトナムのハノイで開かれた大学フェアに行ってみると、「スタンフォードカレッジ」というマレーシアの教育機関が参加していました。話を聞いてみると、同カレッジでは、英語をしっかりと学び、そこからカナダや他の国の様々な教育プログラムをマレーシアにいながら受けることができると言われて本当に驚きました。それまで研究してきたマレーシアの高等教育が、本当にドラスティックに変化していることを感じた経験でした。

–まさに自然とフィールドワークで研究をしていたとも言えるかもしれない、そうお話をお聞きしながら感じました!

Q.なぜマレーシアに関心を持ったのですか?

学部の際に、偶然履修した社会言語学の授業で、レポートを書くの、言語教育に関する何か興味深い事例はないかと探していました。そんな時に偶然手に取ったのが、マレーシアの国民教育政策に関する論文でした。非常に興味深く感じ、指導教官の紹介を受け、著者の先生をお訪ねしたところ、マレーシア研究に役立つ資料を貸してくださったのです。こうした出会いを振り返ると、これまでお世話になった先生方、そして今も支えてくださる先生方や職員の方なしに自分の研究はできなかったと強く感じます。

Q.上智の学生には学校生活でどのようなことを大切にしてほしいですか?

学生の皆さんには偶然の出会いをぜひ大切にしてほしいと思います。私自身は、事前によく計画して何かを行ったというよりも、何かのきっかけや出会いの中で物事を進めてきた部分も多いのですが、結果的にはその偶然が今の自分にとっていろいろな機会につながっているように思います。

修士1年次の頃に参加した国連大学主催のグローバルセミナーの経験もそのひとつです。興味があって参加したインターカレッジの企画でしたが、そこで出会った仲間の皆さんは、その後、大学の教員になった人が多く、自分の専門以外の研究をしている方々と学際的な交流をすることができました。その交流は今も続いています。

Q.学際的な学びが大切ということでしょうか?

はい。学際的な学びは自分の普段持っている視点とは別の角度から物事をみる機会となります。そうした経験もあり、仕事をする上では連携や協働ということに積極的に取り組んでいます。

終わりに

記事を最後まで読んでくださりありがとうございます。杉村先生インタビューpart1では杉村先生の研究活動について、これまでの恩師や仲間との出会い、ハノイや北京での経験、上智大学への着任などのテーマについて杉村先生のお話をお伝えしてきました。Part2では杉村先生の学長として取り組んでいかれたいことについてもお伝えいたします。ぜひ続編もご覧ください!

ノア
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ノア
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文学研究科哲学専攻
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