みなさんが思う平和とは、何でしょう。広島平和記念資料館で働く横山雄一さんは「平和とは、核兵器も戦争もないこと」と思っていた高校生のとき、イスラエル・パレスチナの高校生と「平和」について話し合い、平和という1つの言葉が全く異なる意味を持つことを知りました。
それ以来大学で平和を研究し、多くの被爆資料を所蔵する資料館に就職。職員として広島で過ごす中で「平和」とは何か、「平和」を語り研究するとはどういうことなのかを考えてきたといいます。SSICでは2021年7月31日、横山さんをお招きしみんなで平和について考えるZoom講演を開催しました。
参加者の声
「平和について考えるためには、まず他者の考える『平和』を理解しなければならないことを強く実感しました。また極端に加害・被害の関係で問題を見ることはかえって本質を隠してしまう、ということも教訓として学べました」
「哲学科生である私は、『正義』について学びたいと思っています。先生の『平和』に対するお考えから、当たり前にある言葉だけど何かよくわかっていない言葉、しかし、人間や私自身にとって大切な言葉を問い直すきっかけになりました」
「誰かを罰したり批判したりする際にその理由として『平和』という言葉が使用されることがある。『平和』という言葉は使い方次第でどのような結果をも生むことができるのだと思う。今回の講演を心に置き、自分がどのように『平和』を口にするか、これからも考えていきたい」
企画者memo
「平和」と聞くと日本人の私には「平和=核廃絶」ということがすぐに浮かびますが、横山さんの話を聞いて、世界には色んな立場の人が色んな歴史を背負って生きているため、すべての人にとって平和が同一の状態ではないことに改めて気づきました。各人イメージする平和の在り方が違うこと、言語によって「平和」という単語の包括するものが微妙に異なることにも目を向けることができました。内容的に視聴者に考えさせる講演だったため、講演が終わってから現在に至るまで時々講演内のいくつかの問題提起を反芻しています。この経験を通じて、平和は単純に与えられるものではなく、一人一人が「平和」について考え続けることが必須であると思うようになりました。
SSICでは今後もさまざまな学びの講座を開催する予定です。みなさんも見聞を広める機会としてぜひ活用してみてください。
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