2021.08.30
こんにちは、れいれいです。今日は、四谷を飛び出して目白聖母キャンパスを探検します! 目白聖母キャンパスでは、主に総合人間科学部看護学科と助産学専攻科の学生が学んでいます。
看護学科の学生は、主に1年次を四谷、2年次以降を目白聖母で過ごします。卒業時に看護師国家試験の受験資格を取得できます。看護師国家資格が入学条件となっている助産学専攻科は、1年間の課程です。学生は、修了時に助産師国家試験の受験資格を取得します。
70年の歴史
「上智大学目白聖母キャンパス」になる前、この場所は学校法人聖母学園のキャンパスでした。1950年、日本で最初の看護短期大学の一つとして聖母女子短期大学が誕生しました。看護学・助産学の教育機関として歩み、2004年4月には4年制・共学の聖母大学となります。その後2011年に上智学院と聖母学園が法人合併し、聖母大学と併設する形で上智大学に看護学科が誕生します。2015年には、上智大学助産学専攻科が開設されました。聖母学園の時代を含めれば、この場所は70年以上、看護学・助産学の教育現場になってきたといえますね。
キャンパスに病室? 実践スキルを身につけるために
専門的な知識・技能が求められる看護師と助産師。教室での演習や学外での実習で実践的なスキルを身につけます。
看護学科では、2年次から本格的に看護学・基礎医学を学びます。目白聖母キャンパスには病室を模した実習室があり、学生は実際に手を動かして看護の演習に取り組みます。病院などでの臨地実習も豊富。3年次の領域別実習では、小児ヘルス・成人ヘルス・老年ヘルスなど6領域についてそれぞれ2週間から1カ月の実習を行います。
助産学専攻科にも、様々な実習があります。妊産婦継続事例実習では、各学生が妊婦1名の妊娠期から出産期、さらに産後までを担当。乳児継続事例実習では、母親と乳児を大学に招待したり、お宅を訪問したりして勉強します。また、3カ月のあいだ病院で行う分娩介助実習では、各学生がおよそ10例の分娩介助を行います。
教えて! あなたのキャンパスライフ
それでは、実際に目白聖母キャンパスで学んでいる学生の声を聞いてみましょう。看護学科4年の新井江里紗さん、助産学専攻科の岩戸紗英さん・西尾菜々実さんにインタビューしました。
(新井さん)1年生の時は、四谷で他学科の皆さんと一緒に全学共通科目などを履修します。幅広い教養を身につけることは、病気だけでなく患者さんがもつ「その人らしさ」を考えてケアできる看護師になるために大切だと思います。また、国際看護学を学ぶ機会が充実していることも上智の特色です。国際支援の現場で看護師や保健師が活躍する場面が増えています。国際看護学の先生や実際に海外で活動している方からお話を聞く機会があってよかったと思います。
(岩戸さん)小さい頃から看護師になりたいと思っていました。他大学で看護を学び、命の瞬間に関わる仕事がしたいと思って助産師のキャリアを目指すことにしました。上智の助産学専攻科は学生が10名と少なく、助け合ってきた仲間との繋がりは一生ものだと思います。先生方の指導も充実していて、空き時間に技術の練習をしている時も、先生方からたくさんアドバイスを頂きました。
(西尾さん)看護師を目指して勉強していた時、出産という幸せの陰に、産後のうつや虐待などの問題があることを知りました。そういう方を支援できる助産師になりたいと思い、他大学の看護学科を卒業後、上智の助産学専攻科に入学しました。助産学専攻科には、妊娠期から出産期、そして産後や乳児の成長までを見る継続的な実習があります。助産師として、お産はもちろん様々な支援をしたいと思う人にぴったりの環境です。
実習で印象に残っていることを教えてください。
(新井さん)3年次の領域別実習で行なった、1か月間の成人ヘルスの実習が印象的です。自分で提案したケアやリハビリを行うことで、患者さんの手術後の回復過程や退院時期が変わることを実感しました。
(岩戸さん)分娩介助実習が心に残っています。赤ちゃんを取り上げる瞬間は特に緊張しました。必死の実習でしたが、お母さんたちと関わった時間は宝物です。陣痛で苦しんでいる産婦さんに腰をさするなどのケアを提案したり、緊張している産婦さんとコミュニケーションをとって信頼関係を築いたり、という関わりはとてもよい経験になりました。
(西尾さん)私も分娩介助実習が一番印象的です。体力的な大変さやお産の緊張感はありましたが、お母さんたちから「ケアをしてくれて本当によかった」とお手紙を頂いた時はとても嬉しかったです。出産という女性にとって大事な瞬間をお手伝いさせてもらう、とてもいい職業だと思いました。
今後の目標を教えてください。
(新井さん)手術前後の患者さんや救急搬送された方のための急性期ケアをする看護師になりたいと思っています。また、コロナ禍による面会制限によって心配を抱える患者家族とも向き合うことになると思います。患者さんもその家族もケアできる看護師になりたいです。
(岩戸さん)たくさんのお産を担当して、アドバンス助産師(経験や知識、技術に応じて与えられる助産実践能力の認証)を目指したいです。また、助産師はお産だけでなく、女性の一生に寄り添える職業なので、DV被害者や思春期の女子など、助けを必要とする女性を幅広く支援したいと思っています。
(西尾さん)出産するお一人おひとりに真摯に向き合う初心を忘れず、技術を磨きたいです。「出産して終わり」ではなく、子どもを産んだ女性の地域での生活を支援する助産師も必要だと思っています。将来的には、地域に出て助産師活動をしていきたいと考えています。
おわりに
いかがでしたか? 看護・助産のプロフェッショナルを目指す学生の言葉から、様々な人の苦しみに寄り添い、一人ひとりに寄り添ったケアをしたいという熱意を感じました。
最後に、目白聖母キャンパスで見つけたこちらを紹介します。壁に描かれているのは、「鶏のとさか」と呼ばれる円グラフ。19世紀のクリミア戦争で看護活動を行なったフロレンス=ナイチンゲールが作成しました。イギリス軍の戦死者の多くが、病院での治療や衛生状態が不十分であったために亡くなっていることを統計学的に示し、近代看護学の礎を確立したのです。
人を助けたいという思いを、確かな知識と技術によって実践する。その精神は、ナイチンゲールをはじめケアの歴史を築いてきた先人たちから現代の学生まで、脈々と受け継がれているように思います。