110周年記念洋食プレート
2023.12.15
読書は知性の筋トレであり、最も手軽な旅でもあり、時には人生を変えることも。各学部の先生から3 冊ずつ「学生時代に出会ってほしい本」を紹介します。価値観を揺るがす学術書から不朽の文学まで。まずは一冊、読んでみては。
(大学手帳『SOPHIANS’ DIARY 2024』より転載)
神学部神学科 武田なほみ先生
『人間とは何か:実存的精神療法』
V・E・フランクル 著/山田邦男 監訳、春秋社
(旧版)『死と愛─ロゴセラピー入門』霜山徳爾 訳、みすず書房
『夜と霧』で知られるフランクルのもう一つの代表的著作。原題は「医師による魂への配慮」。人間が「魂」の深みの次元をもつ人格であることを考える、人間性探求の書です。
おすすめ2│『差し伸べられる手:真の祈りへの三つの段階』ヘンリ・J・M・ナウウェン 著/三保元 訳、女子パウロ会
おすすめ3│『アブラハムの生涯:森有正講演集』森有正、日本キリスト教団出版局
文学部 哲学科 桑原俊介先生
『映画の神話学』
蓮實重彥、ちくま学芸文庫
映画のみならず芸術作品の体験を決定的に変える書です。同著者の小津安二郎論、夏目漱石論、日本語論なども必読です。文体の快楽もご堪能ください。
おすすめ2│『ジャック・デリダ講義録 死刑 I』ジャック・デリダ 著/高桑和巳 訳、白水社
おすすめ3│『増補改訂 アースダイバー』中沢新一、講談社
総合人間科学部 社会福祉学科 新藤こずえ先生
『フェミニストソーシャルワーク:福祉国家・グローバリゼーション・脱専門職主義』
レナ・ドミネリ 著/須藤八千代 訳、明石書店
女性が経験する困難と構造的な不平等に対するソーシャルワークの理論と実践がわかる本です。ジェンダー不平等に関心のあるすべての方にお薦めします。
おすすめ2│『忘れられた子どもたち』宮本常一、八坂書房
おすすめ3│『復刊 この子らを世の光に:近江学園二十年の願い』糸賀一雄、NHK 出版
法学部 地球環境法学科 三浦まり先生
『からゆきさん:異国に売られた少女たち』
森崎和江、朝日文庫
かつて日本から多くの少女たちがアジア諸国に身売りされました。日本人が進出すると娼館が建ったからです。現在の性暴力や人身取引の問題はこの源流から紐解いて考える必要があります。
おすすめ2│『決定版 第二の性』(Ⅰ 事実と神話・Ⅱ 体験)シモーヌ・ド・ボーヴォワール 著/『第二の性』を原文で読み直す会 訳、河出文庫
おすすめ3│『チェルノブイリの祈り:未来の物語』スべトラーナ・アレクシェービッチ 著/松本妙子 訳、岩波現代文庫
経済学部 経営学科 カプツルキェヴィッチ・アガタ先生
David Graeber
Bullshit Jobs: The Rise of Pointless Work, and What We Can Do About It, Penguin
『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』デヴィッド・グレーバー 著/酒井隆史 他 訳、岩波書店
This is an economic anthropology book, written by a professor (and anarchist activist) from the London School of Economics, which helps us to think more deeply and critically about the value and nature of work. It can be an interesting read when considering one’s own career choices, and it can also inspire us to start designing solutions to meaningless and unjust work arrangements.
おすすめ2│『泰平ヨンの未来学会議』スタニスワフ・レム 著/深見弾 訳、ハヤカワ文庫SF
おすすめ3│『アクロイド殺し』アガサ・クリスティー 著/羽田詩津子 訳、ハヤカワ文庫
外国語学部 ロシア語学科 村田真一先生
『オデュッセイア』(上・下)
ホメロス 著/松平千秋 訳、岩波文庫
学生時代の航海通訳で、この叙事詩を片手に中心人物と自分を重ねては大海原の轟きや揺れる星空に身を委ねたもの。今をよりよく生きるために、世界文学の古典中の古典から響く生きた声に耳を澄ませ、日々の波間に煌めくことばをものや感覚にとり戻す旅に出かけよう。
おすすめ2│『プラトーノフ作品集』プラトーノフ 著/原卓也 訳、岩波文庫
おすすめ3│『七人の使者・神を見た犬:他十三篇』ブッツァーティ 著/脇功 訳、岩波文庫
総合グローバル学部 総合グローバル学科 稲葉奈々子先生
『供述によるとペレイラは……』
アントニオ・タブッキ 著/須賀敦子 訳 、白水Uブックス
心の中では反ファシズムでも、大多数は無党派を装い平穏な日々を送る。1938 年のリスボンで、そんな一人だったペレイラが行動を起こすまでを淡々と描いた小説。最後の展開は、息をするのも忘れて一気に読んでしまうはず。
おすすめ2│『改版 インディアスの破壊についての簡潔な報告』ラス・カサス 著/染田秀藤 訳、岩波文庫
おすすめ3│『城』フランツ・カフカ 著/前田敬作 訳、新潮文庫
国際教養学部 国際教養学科 村井則子先生
『日本国憲法 = _e Constitution of Japan』
松本弦人 編、TAC 出版
戦後から現代までのアート作品を図版とする、画期的な憲法の本です。ソフトカバーで読みやすく(英訳も収録)、デザインも今日的です。身近に一冊おいてみましょう。
おすすめ2│Okakura Kakuzo,The Book of Tea, Penguin Classics.『新訳 茶の本』岡倉覚三 著/木下長宏 訳、明石選書
おすすめ3│Griselda Pollock, Vision and Difference: Feminism, Femininity and Histories of Art, Routledge.
理工学部 物質生命理工学科 川口眞理先生
『ネアンデルタール人は私たちと交配した』
スヴァンテ・ペーボ 著/野中香方子 訳、文藝春秋
絶滅したネアンデルタール人がホモ・サピエンスと交雑していたことがわかるまでの30年にわたるペーボ博士の回想記。2022年ノーベル生理学・医学賞受賞。
おすすめ2│『眼の誕生:カンブリア紀大進化の謎を解く』アンドリュー・パーカー 著/渡辺政隆・今西康子 訳、草思社
おすすめ3│『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』川上和人、新潮文庫
2023.12.15
2021.08.30