キルギス共和国で1ヵ月生活してみた
2023.11.10
大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。
今回は、2024年度AJCU-AP(アジア-パシフィック イエズス会大学連盟)が開催した実践型プログラム「AJCU-AP SLP」に参加した学生の皆さんが寄稿してくれました。SLP(サービスラーニング・プログラム)は、「研究と教育の場(大学)」と「(途上国の)地域社会への貢献」を融合させることを目的とし、多様な文化に触れながら自身の学びを深める事ができるイエズス会大学としての本学ならではのプログラムになります。
私たちは2024/8/3〜/20で実践型プログラム「AJCU-AP SLP」に参加してきました! AJCU-APとはアジア太平洋イエズス会大学協会です。毎年夏にアジア圏のイエズス会系大学が集結し短期で研修を行います。本年度は5カ国7校がフィリピン・ダバオ市に集まりました。
今年は「Democracy Under Siege」というテーマのもと、ディスカッションや貧困地域でのホームステイ(Immersion)、文化交流を通して、様々な学びや体験をしました。
今回は特にホームステイ(Immersion)からの学びを発信したいと思います。
そこには、保育園も高齢者施設もありませんでした。なぜならば家族で、親戚で、あるいは地域のみんなで支え合っているからです。同じ家に住んでいなくてもどこかみんな家族のように支え合って暮らしています。3歳の男の子がある日私の後をずっと付いて来て、ホストマザーに「お母さんと離れちゃったけれどこの子は大丈夫なの?」と聞きました。すると「大丈夫よ」と一言笑顔で答えたのです。一緒にお菓子を食べたり、遊んだり、勉強や恋のお話をしたりとても温かい空間でした。最終日には地域のみんなで集まってお昼ご飯を食べたりと……。地域課題を抱えながらも住民はみんなで支え合って生活をしていました。
私たちのホームステイ(Immersion)で滞在した地域では気候変動の影響で魚が減り、かつては漁業が主産業でしたが多くの人が職を失ってしまいました。さらにリゾートホテルの建設が進む中で、貧困地域の存在は観光客にとって好ましくないものと見なされがちです。開発が地域に富をもたらし、貧困を解消するという意見もありますが、実際にはこの都市化は政府や権力を持つ少数の人々に利益を与えるもので、貧困地域にはほとんど恩恵がありません。
また彼らの住居も安定したものではありません。私のホストファミリーは「政府の命令一つで住居を離れる必要があり、家を手放さないといけないことがとても不安だ」と言っていました。また、開発の一部であるリゾート島と本土をつなぐ橋の建設に対し、村の子が海岸の環境汚染を心配していましたが、その声は無視されています。
この現実を村の人と同じ立場に立ち、貧困とデモクラシーの排除的な部分を見ることで、私たちはデモクラシーのターゲットが誰に向けられているのか、カバーされていない人たちは誰なのかという視点を持つことが重要だと気がつきました。
現地でのプログラム最終日には、各自学校に帰ってからSLPでの経験を生かしてどんな活動を行うのか、ポストアクションを考え分かち合う時間が設けられていました。私たちは、上智大学に帰ってきたら現地で見てきたもの、学んだ事をまずシェアして、他の学生にもイマージョンを体験してもらえる機会を提供するということを企画しました。そして、より良い社会を作っていく仲間の輪を広げていくために何ができるのか、現在も考えているところです。
学校内での活動の他に、SLPメンバーと定期的にオンラインで話す機会も設けています。近況報告を行って、実際にそれぞれの学校に戻ってどんな活動をしているのか知ることができるいい時間になっています。
最後まで記事を読んでくださりありがとうございます。私たちが生きる社会においてデモクラシーのターゲットは誰に向けられているのでしょうか。そしてカバーされていない人たちは誰なのでしょうか。
皆さんが社会課題を考えるきっかけになれればと思います!
Maraming Salamat po!
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それでは次回の発見もお楽しみに。
2023.11.10
2022.07.29
2022.07.29