大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。
今回はアジア国際青少年映画祭で優秀賞を受賞された新聞学科４年の瀬田萌々子さんに寄稿していただきました。
ブラックヘアとアイデンティティ
今まで、日本においてブラックヘアが注目されたことは少なかったと思います。
Hip Hop音楽やダンスカルチャーのなかで日本人が髪を編み込んだりドレッドヘアにすることはありますが、「ファッション」としての意味合いが強いため、日本の社会ではお洒落として「ネイルをする」「タトゥーをいれる」「体にピアスをあける」といった行為と同じように捉えられていたのではないでしょうか。
しかし、実際に黒人女性に髪の毛について取材をしていくと、ブラックヘアは彼らの文化と切り離せないもので、黒人としてのアイデンティティーを主張する表現そのものであると感じました。伸縮性があり、自由奔放でボリューム感のある髪の毛をケアするためには、ストレートな髪の倍以上の時間とお金をかけてケアする必要があります。コーンロウやブレイズは、そのような髪質の彼女たちにとって、少しでも日々の髪のトラブルを減らし、快適に過ごすために欠かせないスタイルなのです。
多様性について考える
一方で、ブラックヘアに馴染みのない日本社会では、彼女たちのヘアスタイルは時に受け入れられず、排除されてしまうことがあると知り、とてもショックをうけました。ストレートな髪であることを大前提とした、“一つ結び”の校則など典型的な例です。
自分たちが一番美しく、快適でいられるために努力をすることは、誰もが保証された当たり前の権利です。しかし、日本では“多様性”を言いつつも、見た目の違いに過剰に反応し、ギャップを埋めようとする傾向がありますから、ブラックヘアはそんな矛盾に、一度疑問提起するのに打ってつけのトピックだと直感しました。
彼女たちのヘアスタイルに込められたメッセージをドキュメンタリーに記録し伝えることで、私たちの意識にも何かポジティブな変化を起こしてくれると信じています。
今後も、自分が素敵だ！ 面白い！ と思えるトピックや人に巡り合い、かなり自己流ではありますが、カメラで捉え、つぎはぎすることで一つのメッセージを作れたらいいなと思っています。
担当者memo｜身近に根深く潜む差別に対する瀬田さんの問題意識と「彼女たち」への思い、さらに映像表現で目指していきたいことがとてもよく伝わってきました。今後の作品も期待しています！
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それでは次回の発見もお楽しみに。
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