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上智のいまを発見

答えの出ない問題に向き合う ドキュメンタリーを制作して考えたこと

2021.12.07

大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。今回は、東京ドキュメンタリー映画祭2021の短編部門に正式ノミネートされた『オレやりたい! ~ダウン症と生きる あっきーの挑戦』の監督、新聞学科3年の福田みなみさんにご寄稿いただきました。

取材のきっかけ

「あっきー」と呼ばれ親しまれているダウン症の小林暁洋(あきひろ)くんと、彼を支える人たちの姿をドキュメンタリーにしました。
きっかけは、出生前診断に対する心の引っかかりでした。
妊娠中に胎児の染色体異常などを調べることができる出生前診断ですが、これはダウン症をはじめ障害を持つ人の存在を否定することにならないのかと思っていたのです。
そこで、ダウン症の人は普段どんな生活をしているのか、ダウン症の子を持つご家族は出生前診断や社会の動きをどう感じているのか、実際に話を聞いてみたくて取材を始めました。

あっきーとの出会い

最初は、ダウン症や自閉症の子どもたちが通うダンススクール「three×seven777(スリーセブン)」を見学させてもらいました。そこで一際輝いていたのがあっきーでした。
ブレイクダンスが得意で、頭でくるくる回ったりアクロバットな技を次々に披露していて。本当に圧倒されました。
私と同い年(1999年生まれ)ということもあって彼のことをもっと知りたいと思い、日々の生活を覗かせてもらうことにしました。普段はパン屋さんで働いて、仕事終わりにはほぼ毎日ボクシングジムに通って。自分のやりたいことにまっすぐなあっきーの魅力は、作品からもきっと感じてもらえると思います。

答えの出ない問題

ある時、出生前診断に対して抱えていた疑問をあっきーのご両親にぶつけたことがあります。でも、返ってきたのは意外な言葉だったのです。
「診断を受けて産まないと決めるのも、それぞれの選択肢だと思う」
ご両親は診断に対し否定的なのでは思っていましたが、それは思い込みでした。産む産まないという選択は、善悪で語れるほど単純な問題ではないと気付かされ、自分の考えの浅さを痛感しました。
綺麗事では行かないほど障害を持ったお子さんを育てるのはきっと大変だと思います。それでもあっきーが生まれてきてくれたことに感謝する家族の姿からは、たくさん学びをもらいました。

答えの出ない問題を考えるのは難しいし、私が今回制作した作品も色んな見方があると思います。でも、命との向き合い方について少しでも考えるきっかけになったらとても嬉しいです。荒削りな作品ではありますが、よかったらぜひ映画館に足をお運びください。

東京ドキュメンタリー映画祭2021

『オレやりたい! ~ダウン症と生きる あっきーの挑戦』
短編部門7 「それぞれの居場所」のなかの1本として上映されます。
12月15日(水)14:00〜上映

担当者memo

出生前診断への疑問から、始められた制作。あっきーという魅力的な存在を通して、いのちの問題について心を動かされながら丁寧に作られたのですね。これからの福田さんの活動も楽しみにしています。

「上智のいまを発見」では学生の活躍、耳寄り情報、先生によるコラム、先輩紹介など、大学の中と外でおきているあれこれを特集しています。取り上げてほしい人や話題など、みなさんからの情報も募集中。情報提供は findsophia-co(at)sophia.ac.jpまで。記事形式、ビデオ、写真、アイディアなど形式は問いません。どうぞ自由な発想でお送りください。*残念ながらすべての応募情報にお答えすることはできません。採用させていただく場合のみご連絡をいたします。

それでは次回の発見もお楽しみに。