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上智のいまを発見

東郷公德
アルバイト中心だった大学生活

2022.01.17

大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。
普段の授業では知れない学生時代のエピソードなど綴っていただく「先生コラム」 の第3回目をお送りします。先生コラムは教員から次の教員をご紹介いただくリレー形式でお届けします。
今回は、荻野弘之先生(哲学科)からのご紹介、東郷公德先生(英語学科)です!

はじめに

英語学科の東郷公德(たかのり)です。専門は英文学(シェイクスピア)です。あらゆる点で中途半端な僕が、哲学科の荻野弘之教授のような立派な先生からバトンを渡して頂けるとは、大変光栄です。ちょうどギリシア・ローマの古典をしっかり勉強しなくてはと考えているところだったので、これは「古代ギリシア哲学をしっかり勉強しろ」という天の声なのだと考えます。

初めてのアルバイト

埼玉県の公立男子高校から駿台予備校を経て、1983年に英語学科に入学しました。当初、大学生活に馴染めず、春学期の間は苦しい日々でした。自由になるお金が足りないことも苦しさの一因でした。それで、最初の夏休みに某有名ホテルで皿洗いのアルバイトをしました。生れて初めての勤労体験でしたが、難しいことを考えずに、毎日夕方から深夜まで肉体労働をすることで、心の強ばりが段々と解けて行きました。

父親の失業

秋学期にはだいぶ元気になったのですが、今度は父親が失業し、「来年度の学費は自分で支払え」と年末に突然言い渡されました。「家計急変」という救済制度があることを知らなかったので、奨学金に頼ることなく次年度の最初の学費支払い期限を目指して、お金を稼ぐことになりました。アルバイト求人誌が愛読雑誌になりました。警備員や倉庫整理など様々な日雇い仕事を手当たり次第にやりました。当時の学生部(現在の学生センター)にはアルバイト紹介掲示板があり、皿洗いや家庭教師や通信添削の仕事をそこで見付けました。

アルバイト生活

学費を期日までに稼ぎ出すにはアルバイトに専念しなくてはならず、1年秋から入っていた体育会ラグビー部は2年の4月初旬に辞めました。部活やサークル活動あるいは留学などは、大学生活を充実させるために不可欠の要素だと考える人も多いかと思います。が、そうした経験が可能なのは経済的な余裕がある人たちだけだ、ということを僕はそこで思い知りました。

完全な自活生活へ

3年の夏休み前に、家を出て中野の昭和風おんぼろアパートでひとり暮らしを始めました。生活費も学費も、それ以降は全て自分でまかないました。奨学金を貰っていましたが、常にギリギリの経済状況で、100円使うにも気を遣う生活でした。大学院進学を目指していたので、勉強と仕事の両立も大変でした。しかし、「自分自身の力で生きている」という自負から来る充実感がありました。2年秋から付合い始めたガールフレンド(現在の妻)も心の支えでした。何より怖い物知らずの若さがありました。

振り返って想うこと

1992年4月に上智大学の教員となって、もうすぐ30年になります。四谷キャンパスでは、豊かな家庭出身の学生たちが、その間にさらに増えたように感じます。しかし、誰でも急に経済的な事情が悪化することもあるでしょう。万が一の時は、迷わず学生センターの奨学金担当の方々に相談して下さい。個々の事情に合わせて、どんな方策があるか親身に考えてくれるはずです。

最後に

次のコラム執筆者には、理工学部機能創造理工学科の宮武昌史教授を推薦します。20年ほど前に学生部の仕事をしていた時、将来の上智を背負って立つ方だと思い、食事に付き合って頂いたこともありました。宮武先生、よろしくお願いします!

次回は……

東郷先生から宮武昌史先生(機能創造理工学科)をご紹介いただきました。次回の「先生コラム」もお楽しみに。