ウクライナからの留学生が訪問しました
2022.12.02
大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。
普段の授業では知れない学生時代のエピソードなど綴っていただく「先生コラム」の第13回目をお送りします。先生コラムは教員から次の教員をご紹介いただくリレー形式でお届けします。
今回は、酒井陽介先生(神学科)からのご紹介、鎌田武仁先生です!
高等教育学とは、高等教育機関に関して研究を行う分野であり、学際的研究(歴史学、社会学、経営学、公共政策学など)から成り立っています。高等教育学研究者は、様々な問題(教育政策、学習と教育、経営と運営、リーダーシップ、国際化、研究推進、産官学連携、学生活動、同窓会の役割、スポーツ部の役割など)について実務的な視点から研究を行っています。私の博士課程の同期メンバー全員も実務経験者(大学等執行部役職者として職務歴5年以上)であり、リーダー(役職者)として自らの組織などで実際に直面している課題に関して研究を行い、博士論文を作成していました。博士課程の各学生(実務経験者)がそれぞれの所属している組織(教育機関、行政機関、会社など)が抱えている実際の問題を研究対象とする事は、実務に基づいた研究教育を重視するアメリカ高等教育の特徴だと言えます。そのような学習環境下で、私は日本の高等教育が抱える様々な問題について研究を行なってきました。
私が大学院生(博士課程後期)だった当時、ミネソタ大学(学生総数約51,000人)には留学生約5,800人が在籍しており、学部留学生(約2,800人)には年間数百万円の学生団体活動予算が割り当てられていましたが、大学院留学生(約3,000人)には学生活動予算はなく活動を行う組織すらありませんでした。そんな中、大学院生自らが主体となり独立した予算を持って、学術交流などを企画する事が必要であると考えていた各学部からの代表者9人(インド、カナダ、韓国、ケニア、コロンビア、中国、日本からの大学院留学生)が執行部メンバーとして、大学院留学生(約3,000人)を総括するRecognized Student Organization(大学認可の学生団体)の設立活動を始めました。私はその新たに設立する団体(Council of International Graduate Students)の初代会長として選出され、大学執行部や様々な部署との調整や活動に関わる事になりました。様々なイベント(大学院生交流イベント、新入生オリエンテーションでの大学院留学生向けイベント、大学執行部との国際化推進パネル、同窓会イベントや地域との共催イベントでのプレゼンテーション)を行った後、大学認可の学生団体として登録されましたが、このような大学院留学生自らがリーダーシップをとる学生団体設立はアメリカ国内で初めての事例でした。
高等教育学とは様々な分野で活躍するリーダーを育成するプログラムです。リーダーとして組織を牽引する際、多くの問題や予期せぬ出来事に直面する事になります。それらを経験する事により、時にはリーダーとしてではなくとも、自らがフォロワーとして、リーダーシップや執行部を効果的にサポートする事を考えられるようになります。組織を構成するメンバー、価値観、環境、時代、そして様々な要因によって求められるリーダーシップが異なるからこそ、自らの倫理観と価値観に基づいて、それぞれの状況に応じて、自らが所属する組織の為に行動する勇気が求められます。
留学生コミュニティは多様性から成りなっています。様々な地域(アジア、大洋州、北米、中南米、欧州、中東、アフリカ)から上智大学に留学している学生たちは、それぞれの国や地域の教育過程を経て違った考え方を持っています。また、個人としても様々な考えや意見を持っています。国際色豊かな上智大学の教育環境(学生の約11人にひとり、教員の約6人にひとりが外国籍)の下で、直接交流する事により様々な異文化交流を経験する事ができると思います。学内の様々な活動に参加し、1人の人間として、尊敬と威厳をもって他者と対話をする大切さや本学の教育精神「For Others, With Others」について理解を深めてほしいと思います。
International grad students find strength in numbers:
https://mndaily.com/211928/uncategorized/international-grad-students-find-strength-numbers/
グローバルな学びのコミュニティ:
https://www.sophia.ac.jp/jpn/campuslife/globalcampus/
バトンをお渡しするのは、本学がメンバーとして参加しているMIRAI 2.0(スウェーデンと日本の大学間国際プロジェクト)でご一緒させていただいている桑原英樹先生(機能創造理工学科)です。桑原先生、どうぞよろしくお願いします。
鎌田先生から桑原英樹先生(機能創造理工学科)をご紹介いただきました。次回の「先生コラム」もお楽しみに。
2022.12.02
2024.05.17