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上智学生記者クラブ通信

#134 外国語学部語劇祭 練習も本番も、オンラインで!

2021.08.30

こんにちは! れいれいです。

2020年12月12日(土)、外国語学部語劇祭が開催されました。例年、様々な言語による劇が発表されてきた語劇祭ですが、2020年には新型コロナウイルス感染拡大の大きな影響を受けました。練習・本番ともに対面での開催が困難になった他、準備期間も大きく短縮されました。やむを得ず公演を断念した劇団もあった中、練習から本番までオンラインでの開催を実現したのが、ポルトガル語劇団とロシア語劇団です。今日は、準備段階からの取材を通して見えてきた、この2劇団の試行錯誤と創意工夫をお伝えします!

ポルトガル語劇団『星の王子さま』

サン=テグジュペリの名作『星の王子さま』(ポルトガル語では O Pequeno Príncipe)を演じたポルトガル語劇団 Grupo de Teatro Brasil。朗読劇の形で、12月12日にZoomでライブ配信を行いました。例年10月には立ち稽古を開始していたそうですが、先行きが見えない時期が長かった2020年は10月にようやく配信形式が決まり、演目を決めるところからのスタートになったとのこと。準備が急ピッチで進められました。

オンラインでの練習も、新たな挑戦でした。本番まで2週間弱となった12月8日にZoomでの練習ミーティングにお邪魔すると、顧問でポルトガル語学科教授のトイダ・エレナ先生と団員の皆さんが集まり、真剣そのものの練習が行われていました。発音はもちろん、間の取り方などに注意して、感情を表現することを繰り返しトレーニングされていました。なんと1人で5役演じ分ける人も……。慣れないオンライン練習に苦労も多かったと思いますが、実は思わぬ利点もあったとのこと。語劇祭実行委員でポルトガル語劇団代表・副部長の富塚博之さん(ポルトガル語学科3年)は、各団員と顧問のトイダ先生が時間を合わせて個人練習を行うなど、「短時間集中型」の練習が可能になったと話していました。移動時間をかけず、自宅で練習に参加できることが、Zoomのメリットですね。

そして本番。各場面を表現したイラストや日本語字幕がスクリーンに映し出され、ストーリーを理解しやすいように工夫されていました。「朗読劇」と聞くと、「なんだか退屈そう」という印象があるかもしれませんが、ポルトガル語劇団の公演はそんなイメージを見事に払拭してくれました。皆さんの声色から個性的な登場人物の人柄が伝わってきましたし、迷いや切なさといった細やかな感情も丁寧に表現されていると感じました。

劇の終了後には団員からのメッセージもありました。「声だけで表現することの難しさを感じた」「登場人物の研究を重ね、一言一言の意味を考えた」など、朗読劇という新しい演じ方の中で、声や言葉に一層心を配っていたことが分かりました。また、『星の王子さま』のストーリーが「現代人が忘れがちな大切なこと」や「大人になって忘れていた想像力」を思い出させてくれた、という感想もありました。このお話には、「一番大事なことは、目に見えないのだ」という有名な台詞があります。パンデミックの中で不安や孤独を経験した今だからこそ、この言葉がより重みをもって心に響くような気がしました。

公演を振り返って、富塚さんから一言。
——慣れない環境で時間も無かった中、なんとか公演に漕ぎ着けられたので良かったです。例年とは違う形での公演でしたが、皆さんに観に来て頂けたこと、嬉しく思います。来年度、どのように活動を行っていくかはまだ全く決まっていません。ただ、なんらかの形で劇の発表は続けて行くと思います。その際には、是非皆さんにまたお越し頂けたら嬉しいと思います。本当にありがとうございました。

ポルトガル語劇団の皆さん、心温まる劇をありがとうございました! 今回観られなかった、という方も、ぜひ来年の劇をお楽しみに!

ロシア語劇団『メリーの火曜日』

続いては、ミハイル・クズミン作『メリーの火曜日』を上演したロシア語劇団TEATPAЛ。こちらは、YouTubeでの朗読スタイルの公演を行いました。団員で語劇祭実行委員の松瀬賢人さん(文学部3年)いわく、アクセスのしやすさやオンデマンド視聴が可能という点からYouTubeでの配信に決定したとのことです(オンデマンド視聴はこちらから)。こちらも、2020年10月に公演形式を決定し、約2ヶ月間という急ピッチでの準備となりました。ちなみに、劇団の名前になっているTEATPAЛとは、ロシア語で「演劇愛好家」「芝居好き」という意味だそうです。

ポルトガル語劇団と同じく、ロシア語劇団もオンラインで練習を行いました。11月25日にZoom練習会に伺うと、朗読の練習と本番用収録が行われていました。「伸び伸びと話す」ことやリズム・声色・速度などの工夫で感情を伝えることを意識していることがよく分かりました。松瀬さんによると、対面練習よりも音声が聞き取りにくく、発音やアクセントの矯正に時間がかかる、などの課題があったとのこと。それでも、体を使った演技ができない分「観客を飽きさせず、分かりやすく伝える」ことを第一に考えて、顔ではなく「声の表情」から登場人物の心理を読み取れるように工夫したそうです。

『メリーの火曜日』は、1920年代の世相や恋愛模様を描いた詩劇です。YouTubeで公開されている朗読劇には日本語字幕が付いているので、ロシア語劇の鑑賞が初めて、という方も(私もその1人でした)楽しむことができます。「ロシア語独特の詩のリズムや韻などを味わって頂けるのでは」という松瀬さんの言葉通り、ロシア語が全く分からない私でさえ、豊かな抑揚とリズムに聞き入ってしまいました。YouTubeの活用により、オンデマンド視聴が可能になり、多くの人に劇団を知ってもらうことが可能になったとのこと。これも、オンラインという新しいプラットフォームの活用から生まれた利点ですね。ストーリーを伝えるためのイラストは、団員の皆さんが描いたそうです。

そして、松瀬さんにも「完成した劇を振り返って」の思いを聞いてみました。
——劇は個人で作るものではありません。役者や裏方、演出家や先生方など、劇に関係している人全員が1つとなって作り上げていくものです。今年度は、厳しい状況の中で劇を成功させるためにも、個人で悩むのではなく、仲間同士で互いに改善点などを見つけていき、全員で劇を作っているということを常に意識してきました。苦労はたくさんありましたが、その分、話し合いを通して仲間の団結を強めることができました。また、YouTube配信という新たな形での公演により、新たなロシア語劇の一面を皆さんに知って頂くことができたのではないかと思っております。

新型コロナウイルスの厳しい状況が続き、見通しを立てづらい時期ではありますが、「ネットの活用など様々な工夫をして、多くの人に見て頂くために様々な工夫を模索中」という熱意あふれる言葉も聞くことができました。

終わりに

いかがでしたか? どちらの公演もとても素晴らしく、挑戦の連続だった準備・練習期間があってこその努力の賜物なのだと感じました。困難に直面した時こそ、人は本当にクリエイティブになれるのかもしれませんね。両劇団の活動についてもっと知りたい方は、以下のウェブサイトやSNSをチェックしてください。新しい環境で工夫を重ねる課外活動団体の皆さん、一緒に進んでいきましょう! それではまた!

ポルトガル語劇団
ウェブサイト: https://dept.sophia.ac.jp/fs/luso-brazilian/mobile/
Twitter:@porugeki.sophia
Instagram:@porugeki.sophia

ロシア語劇団
オンデマンド配信: https://youtu.be/fy92Pb7mlTY
ウェブサイト: https://teatral.web.fc2.com/index.html
Twitter: @russian_t

れいれい
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れいれい
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国際教養学部 国際教養学科
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