芸術に心ふるわす春休みを
2023.02.17
こんにちは、れいれいです。2月1日、上智の学生が開発した朝食レシピが株式会社セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)の「賢者のレシピ」で公開されました。今日は、私も参加したプロジェクト「賢者のレシピ−叡智の朝ごはん編」(以下、叡智の朝ごはん)の舞台裏を紹介します!
上智学院サステナビリティ推進本部とセブン&アイの協働企画として実施された叡智の朝ごはんプロジェクト。およそ30名の学生が参加し、6つのレシピを開発しました。
セブン&アイは2019年、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を発表しました。環境負荷を減らすための様々な目標からなるこの宣言。その中で、食品廃棄物を2030年までに50%、2050年までに75%削減(ともに2013年度比)することが掲げられています。
食品ロス削減に向けた啓発活動としてセブン&アイが展開しているのが、「賢者のレシピ」です。食材を「たいせつに、おいしく、かしこく、ムダなく使って食べる」ことを目的に、伝説の家政婦タサン志麻さんやセブン&アイグループ各社が考案したレシピが特設サイトに掲載されています。
叡智の朝ごはんプロジェクトは、いわば上智版「賢者のレシピ」。大学生の視点を生かしたレシピ開発です。セブン&アイ経営推進本部サステナビリティ推進部オフィサーの鈴木彩子さんは、「GREEN CHALLENGE 2050の目的は、豊かな地球環境を未来世代につなぐことです。まさに未来世代である大学生の皆さんと一緒に取り組みたいと考えていました。SDGsや食品ロスについてよく考えているZ世代の皆さんの考えを受け止めたい思いもあり、今回の協働企画につながりました」と話します。
上智学院サステナビリティ推進本部が昨年7月から9月にかけて学内で行ったアンケートによると、664人の回答者のうち朝食を毎日食べているのは55%。33%が「食べない時もある」と回答し、「ほとんど食べない」・「全く食べない」は合わせて13%でした。朝食を食べない理由としては「時間がない」が約52%と最多でした。
食品ロスについては、「意味を説明できる」と答えた人が7割を超えたのに対し、「具体的なアクションを起こしている」は12%にとどまりました。また、冷蔵庫で余りがちな食材として、約3割が「野菜類」をあげました。
9月末、アンケートの結果をふまえてレシピ開発が始動。プロジェクトのメンバーは6グループに分かれてレシピを考案し、11月にはセブン&アイ本社でのプレゼンテーションを行いました。
その後、都内のレンタルスペースで試作会を実施。セブン&アイの鈴木さんや栄養・料理撮影のプロフェッショナルから助言を受けながら、学生がレシピを調理しました。加熱時間や盛り付けなどレシピの詳細を決定したほか、「使う調理器具を減らして、洗い物で消費する水や洗剤を最小限にしよう」など、調理工程でも環境負荷を減らす工夫をしました。
こうして完成した6つのレシピは、どれも力作。余りがちな食材をおいしく調理でき、かつ忙しい朝にぴったりの時短レシピがそろいます。
「レンジでミートソースパンキッシュ」は、牛乳や卵、ミートソースを入れたボウルに食パンを入れ、ほうれん草などの具材とチーズをのせて電子レンジで加熱した、パイ生地いらずのキッシュです。このレシピを作ったグループのリーダー高橋晴香さん(イスパニア語学科3年)は、総菜店でのアルバイトを通じて食品ロスの深刻さを感じたそう。アンケートで「冷蔵庫に余りがちな食材」として多く挙がった野菜や牛乳、卵を使いつつ、時短・簡単を実現しました。
「ベーコンほうれんそうと卵の春雨スープ」は、ほうれん草やベーコンと春雨、卵をあわせたコンソメベースのスープです。グループのリーダー橋谷李奈さん(看護学科4年)は、授業で学んだ栄養に関する知識をメンバーと共有し、栄養バランスや野菜の旬を意識してレシピ開発に取り組みました。ふだん朝食を食べないメンバーが、「スープなら食べられるかも」と言ったのをきっかけに、スープ朝食をテーマに選んだそう。栄養もいろどりも豊かな一杯に仕上がりました。
「広島風もちもちお好み焼き」は、切り餅にコールスローやベーコン、卵をのせて電子レンジで加熱した、5分でできる「お好み焼き」です。このグループは、「①余りがちな野菜を使う、②簡単に作れる、③お腹にたまる」という3項目を柱にレシピを考えました。お正月に余った切り餅を新たな味わいで楽しめる一品です。グループの代表、長澤はなさん(総合グローバル学科4年)は、「冷蔵庫に残った食材を見て、こんな風に調理したらおいしいかな、と考えるようになりました。食品ロスは身近なところから解決できるので、一人ひとりの意識が大切だと思います」と話していました。
このほかにも、カットした餃子の皮とキャベツで作るヌードルなど、挑戦しやすいレシピがそろいます。6つのレシピは「賢者のレシピ」ウェブサイトで見ることができるほか、イトーヨーカドー店舗でレシピカードとして配布されます。上智学院サステナビリティ推進本部のサイトは、各グループの話し合いの過程で生まれたその他のレシピも公開しています。
環境省の推計では、2020年度に発生した食品ロスは日本全体で522万トン、うち家庭から出た食品ロスは247万トン。家庭からの食品ロスのみで計算しても、1週間で1人につきご飯3杯弱を廃棄している計算です(ご飯1杯140gとした場合)。
このプロジェクトを担当したサステナビリティ推進本部学生職員のビヤンビラ・キララさん(総合グローバル学科4年)は、「朝食という身近な話題を通して、サステナビリティを自分事として捉えてほしいです。今回のプロジェクトが、身近なところからサステナブルな社会に向けて行動を起こすきっかけになればと思っています」と話していました。
買い物の前に冷蔵庫の中にある食材を把握する、という小さなアクションも、自分のキッチンから出る食品ロスを減らす大きな一歩になりそうですね。どんな食材も、組み合わせ次第で充実した食事に早変わり。大学生の日常に寄り添った「叡智の朝ごはん」のなかから、あなたの食卓にぴったりの一品を見つけてみては? それでは今日も食材への感謝を込めて、いただきます!
セブン&アイ「GREEN CHALLENGE 2050」「叡智の朝ごはん」特集ページ
上智学院サステナビリティ推進本部「叡智の朝ごはん」特集ページ
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