こんにちは、みりんです!
今回はキャンパス探訪第3弾、石神井キャンパスを紹介します。皆さんは、こちらのキャンパスをご存知でしたか?
入り口はこのような感じで、住宅街の中にあり、静かな雰囲気が漂っています。
東京都練馬区、西武新宿線の武蔵関駅から少し坂を登って徒歩10分程度の場所です。
主に神学部の方が利用してきたため、石神井キャンパスを知らなかった、という方も多いと思います。
そこで、学生時代から石神井キャンパスに通ってきた理事長の佐久間先生にインタビューをしました! 一緒に探っていきましょう!
Q なぜ石神井にキャンパスが設置されたのでしょうか
明治期に東京にカトリックの伝道学校が設立され、戦前に神父養成機関として、哲学・神学コースがある「東京公教神学校(現:東京カトリック神学院)」が上石神井村字関に設置されました。戦後は東京公教神学校が東京カトリック神学院に改組され、そこでイエズス会の神父が教えることとなり、1947年に石神井キャンパスが設置されました。1951年に上智大学の大学院設置に伴い、上智大学大学院神学研究科が発足、1958年に上智大学神学部が発足しました。現在の神学部校舎は1966年に竣工しました。
Q 神学部と石神井キャンパスの歩みを教えてください
1977年に私は神学生として来たのですが、当時は最寄りの武蔵関駅から高台にある石神井キャンパスの建物が見えました。当時、私が所属するイエズス会の学生30人、教員10人ほどが石神井キャンパス敷地内のイエズス会神学院(現:イエズス会上石神井修道院)に住み、同じ目標を持って学んでいました。
1970年代後半頃から神父の志願者ではない一般学生で神学を勉強したい、という人が増え、1987年から司祭育成コースと一般学生のコースに分ける等、神学部のあり方に変化が現れ始めました。
2009年からは「学生それぞれの興味を合わせてもらえるように」と神学系、キリスト教文化系、キリスト教倫理系の3つの系に分かれ、1学年定員40人と編入学定員8人に増加します。それに合わせ神学部の授業も大半を四谷キャンパスでの開講としました。
2017年には神学部の図書の大部分が四谷キャンパス図書館に統合され、2020年3月27日をもって神学部図書館(石神井分館)は閉館され、2022年3月には大学院(神学研究科)の授業も最後となりました。4月からは大学院集中講義と神学部行事(6月のBBQ大会)のみの利用となり、神学部の拠点は四谷キャンパスになりました。
2023年4月からは1学年定員50人と編入学定員8人になる予定です。
──社会人も対象にした編入学定員が設けられているのは、様々なバックグラウンドを持つ人に神学を一緒に学んでほしいという思いからで、上智では神学部ならではだそうです。
石神井キャンパスの利用が少なくなっていったのは、一般教養科目等、四谷キャンパスでの開講授業の存在や、サークルに所属する学生もいる中で、石神井と四谷間の移動の負担を考えてのこと。学生の選択肢が多様になる中で、石神井キャンパスにも変化が現れていきました。
こうしたお話の中で私が印象的だったのは、かつて生活と学びの場が一体になっていたということ。
それが現れているのが、学生休憩室です。そんな部屋がある、ということにも驚きですが、こちらの食器棚には学生のマイマグカップが置かれています!
また、キャンパス近くのごはん屋さんを学生がまとめたファイルもあります!
アットホームですよね~。
Q 正課では利用されなくなった石神井キャンパスですが、上智生や一般の方は利用できますか
一般の方の利用はできません。
学生は神学部事務室に事前連絡すれば、金曜日の朝から15時頃まで自習室としての利用ができます。インターネットが通っているため、コロナ禍には近くに下宿している学生が自習室の利用に来たこともあります。
神学部事務室の連絡はこちらから↓
https://piloti.sophia.ac.jp/jpn/info/tel2/tel_kyoiku/
──静かで集中できる、自習にもってこいの空間だと思います!
Q 石神井キャンパスの魅力やお気に入りポイントはありますか
1つ目は「静かで自然が多い環境」です。私が学生としてまた神学部教員としてここに住んでいた頃は、そうした環境で生活し、学べる環境は非常に魅力的でした。
──まるで森の中で勉強しているようですね~。
クリスマスの時期には、外にある杉の木を切ってツリーにしたそうです。なんと素敵なエピソード!
2つ目のお気に入りポイントは「貴重な図書」です。教皇庁認可神学部として授与される学位の取得には厳しい基準のクリアが必要なため、発足当時、海外から寄贈を受けました。
例えば、ドイツからの寄贈本で1400年代終わりごろ(グーテンベルクの印刷技術が発明されてから間もない頃)の貴重書があります。また、歴代の神学者たちの著作集(全100巻)の貴重書(19世紀〜20世紀)は、キャンパス設立当初、日本には4セットしかありませんでした。
※神学部図書館(石神井分館)の閉館に伴い、現在これらの図書は四谷の中央図書館に所蔵されています。
──キャンパス内のどこへ足を運んでも、落ち着いていて良い空間でした。貴重本は、ぜひとも拝見したいですね!
Q 今後の石神井キャンパスについて
今も私が石神井キャンパスへ定期的に来るのは、建物や本に空気を入れて状態を保つためです。昔のままの建物で今は設備も劣っていますし、大学院の集中講義もここで続けるかは教授によります。将来の使い方はまだ決まっていません。今後のキャンパスは、これからの皆さんにお任せします!
──佐久間先生が学生時代から携わる石神井キャンパスは「故郷のようで思い入れのある場所」と語ってくださいました。神学部と石神井キャンパスの変遷を一番身近に見てきた先生だからこそ、今後どういう形になったとしても自分がいる限りは守り続ける、そうした姿勢が感じられました。
おまけ
設立当初の趣を残すキャンパスの空間は、新鮮に映りました。
そんなレトロな光景をまとめます!
①ブックカードケース
パソコンで検索し、借りるのが当たり前な現在では、すごく珍しいですよね。
ここだけ時が止まっているよう……。
②郵便受け
海外のポストのような、いい雰囲気です!
もし、石神井キャンパスに足を運んだ際は、皆さん自身のキャンパス内のお気に入りを見つけてみて下さいね!
取材に同行したNico記者の感想
石神井キャンパスをめぐる長い歴史と伝統が、先生と学生の手で守られ受け継がれてきたことを、その場に立ってみてしみじみと感じました。
そして「ようこそいらっしゃいました」と笑顔で迎え、「名残惜しいですが……」と見送ってくださった佐久間先生。温かくユーモアに溢れていて、穏やかな空気で包み込んでくれるような、その場の空気全体を陽だまりのようにしてくださる方、という印象を受けました!
最後に
本取材にご協力くださった佐久間先生、事務室の佐々木さんに心よりお礼を申し上げます。
今回の取材を通して、アットホームさ、人と人のつながりの強さ等、神学部の温かさを知りました。そして、その時間を過ごしてきた石神井キャンパスは佐久間先生だけでなく、神学を学ぶ皆さんにとっても「故郷」なのだと思います。この素敵なキャンパスのことを心の片隅に、今後も見守っていきたいですね。
それでは、また!