〜1年間のキロク〜
2023.02.24
皆さん、こんにちは!
今回はこの3月に卒業を迎える4年生記者が選んだ「卒業までに知っておきたい上智のもの・こと」を、まおな&みりんがお届けします!
知られざる図書館の貴重資料と、タイプ室について取り上げますよ~。
取材にあたっては上智大学中央図書館職員の岩崎郁子さんと大埴智弘さんに、お話を伺いました。
(岩崎さん)貴重書は発行部数や発行された時代等を基準に一般図書と区別されます。毎年決まった予算から貴重書の購入には回らないため、何年かに1度購入する、というように計画的に入手します。購入にあたっては、自分たちで探すこともあれば、書店からカトリック系の書物等、上智らしい資料を紹介されることもあります。
実際の書庫の様子↓
(岩崎さん)貴重書の閲覧は図書館に「貴重資料利用願」を申請し、許可が降りた場合、研究に利用することが可能です。複写は不可ですが、写真撮影は「複製願」を閲覧1週間前までに提出し、館長の許可がおりた際に可能となります。学内外含め、教授や修士論文執筆の学生の利用が多く、特にシーボルトコレクションの利用率が高いです。他にも準貴重書である「ガルシアコレクション」も学内外問わず利用があります。貴重資料データベースは、自由に閲覧が可能です。
データベースはこちら↓
https://digital-archives.sophia.ac.jp/rarebook/
では、以下3つのコレクションを順に紹介します!
キリスト教コレクションについては、お聞きしたことをみりんがまとめていきたいと思います!
(岩崎さん)ここにあるコレクションは寄贈されたものが多いです。しかし、詳細な経緯となると、断定的にお話することが難しい状況です。
『ファイエルアーベント聖書(1560)』
ルターのドイツ語訳聖書。
原本を見ることはできませんでしたが、展示のパネルや複製を見せていただきました。挿絵を用いた聖書は初めて見ました。見慣れた聖書とは異なる、とても鮮やかな色彩に驚きました。サイズは縦365㎜横240㎜、厚さは110㎜あり、革表紙で重厚感があるそうです。非常に貴重ということで、入手した2015年には1階の展示スペースで企画展示をし、学外からも多くの人が訪れました。
(岩崎さん)ドイツ語学の観点からは、それまでラテン語のみで記載されていた聖書が、本書でドイツ語の口語を使うことにより、多くの人々にも教えが伝わるようになりました。聖書学の観点からは、聖書で挿絵を使うようになるきっかけとなりました。芸術学の観点からは、著名人に木版画と出版を依頼したため、芸術的価値があります。
(岩崎さん)例えば、「イエスの誕生」や「アダムとイブ」、「アブラハム イサクを捧げる」の場面があります。
(岩崎さん)どの本にも言えますが、初版は最初に刊行されたもので、発行部数が非常に少ないのが一般的です。13版にもなると加筆・修正が加えられ、かなり変わります。版による優劣はありませんが、初版は特に貴重性が高いです。
シーボルトコレクションについては、まおながまとめていきたいと思います!
まず、「シーボルトコレクション」とは、一体なんでしょう?
江戸時代後期に医師として来日したドイツ人のシーボルトが集めた動植物標本のことです。一説によると、シーボルトは、文学的・民俗学的なコレクションを約5,000点以上、動物標本においては哺乳類が約200点、鳥類が約900点、魚類が約750点など、非常に多くの資料を採集していたようです。
これら標本や資料の研究成果が「Nippon」や「Fauna japonica」として出版されました。
上智大学図書館への所蔵の経緯については、キリスト教コレクションと同じく詳細な経緯となると、断定的にお話することが難しい状況とのことでした……。しかし、興味深いことをたくさん教えていただきました!
(岩崎さん)シーボルトは当時、軍医として日本に渡ってきており、活動範囲が他の外国人に比べて広かったと考えられます。また、シーボルトは日本の偵察という命を受けていたため、幕府の繋がりなどを利用して、様々な絵画をコレクションとして集めることができたと推察されます。
(岩崎さん)そうですね。シーボルトが集めた絵は非常に写実的で精緻な絵であり、その点で浮世絵などとはまた違った価値があると考えられます。
私たちも実際、取材の中でシーボルトコレクションの一部を拝見しましたが、本当に色鮮やかに細かく描かれていて、つい見入ってしまいました……!
また、シーボルトコレクションの中の絵が描かれた図書館グッズがあるのは皆さんご存知でしたか? 私はコレクション癖が少しあるので、図書館グッズもいくつか持っているのですが、シーボルトコレクションの鳥の絵が描かれたクリアファイルやしおりは実はとっても魅力的なんです!
図書館の職員の方々が色鮮やかで美しい絵を選んでグッズにしてくださっているみたいなので、是非図書館内のスタンプラリー等を利用して、グッズを集めてみてください!!
キリシタン文庫については、みりんがまとめていきたいと思います!
キリシタン文庫とは日本のキリシタン宣教師、及び宣教に伴う日欧文化の交流研究を目的に、故ヨハネス・ラウレス師によって設立されたキリシタン学研究の専門図書館です。
理事長の佐久間勤先生と岩﨑佳子さんにインタビューしました。
(佐久間先生)キリシタン研究はフランシスコ・ザビエル以来のキリシタン史の研究ですが、世界史の中に位置づけた日本の教会史に着目することは少なく、歴史学のトピックとして新しい分野です。マイノリティな研究だからこそ比較・探求の面白さがあると思います。上智では文学部史学科の川村信三先生が研究の第一人者です。
(佐久間先生)ラウレス神父によってキリスト教関係の価値の高い図書が収集され、世界各地で所蔵されている史料の書誌がまとめられるなど、キリシタン研究の拠点として発展してきました。総蔵書数は約15,870冊(貴重書は約2,340冊)で、イエズス会によって出版された日本初の活版印刷や「サカラメンタ提要」という日本初の2色刷、楽譜付きの儀式書等、大変貴重な資料があります。2016年からはデジタルアーカイブ化されました。
こちらがデータベースのサイトです↓
https://digital-archives.sophia.ac.jp/laures-kirishitan-bunko/
皆さん、こちらの模様分かりますか? 刀鍔の模様で、当時流行したキリシタン・デザインです!
資料を拝見して、日本初の印刷書物が多いこと、また、資料は本だけでなく、西洋で作成された日本地図やマリア観音像と伝えられるもの等もあるということに驚きました。
(佐久間先生)文庫で所蔵している資料のうちヨーロッパで作られた資料は日本に送られ、コレジオやセミナリオでの教育のため、また、日本の教会の中で使う教理書や儀式書等として利用されました。一方、日本で作られヨーロッパに送られた資料では日本で起きていることを伝える報告が注目されます。日本26聖人殉教の記録はヨーロッパで繰り返し出版されたほどで、ジャーナリズムとしての側面が強いものです。
日本のキリシタンのものは日本国内で使われてきたという印象がありますが、キリスト教というつながりから海外ともやり取りがあったとは驚きです!
(岩﨑佳子さん)主に文学部国文学科の学生や院生が言語研究を目的に、また、史学科の学生や院生はゼミや論文の資料収集のため利用することが多いです。国内外の研究者の利用も多く、地図資料は出版・報道関係の人気があります。また、博物館実習の講義の際に貴重書を扱います。一般の方に向けた公開講座では、貴重書を見せる機会があるため、毎回盛況です。展覧会やマスコミへの貸出依頼もあります。
続いて、ピックアップした資料に着目していきましょう!
『グレゴリウス13世肖像画(1585)』
(佐久間先生)グレゴリウス13世の死後、生涯の軌跡をまとめた銅板の肖像画です。天正遣欧少年使節の教皇謁見や、日本国内に設立されたコレジオ・セミナリオ(宣教師の養成学校・中等教育の神学校)も描かれています。
佐久間先生によると、教皇には歴代様々な方がいらっしゃるそうで、特にグレゴリウス13世の肖像画は幸せな描かれ方をされているようですよ〜。
『マリア観音像(17世紀)』
こちらの像は、どこで使われていたのかや上智大学に保存された経緯は不明だそうです。
聖母マリアに見立てられ、キリシタンの間で拝まれたと思われます。
(佐久間先生)はい、多くは中国で作られた観音像が輸入されて、日本のキリシタンの間で聖母マリアに見立てて拝まれたものです。幕府によって没収され、東京国立博物館などに多く収集されています。
キリシタン文庫は上智学内、学生の利用は少ないそうで、利用してほしいという声をいただきました。上智らしく特徴的な分野ですし、貴重な資料もあります。機会があれば、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか?
皆さん、図書館3階にタイプ室があるのをご存知でしたか?
前にこの部屋を見つけて「タイプライター使ってみたい!」と思い、卒業前に(笑)。
しかし、このタイプ室は2023年2月16日に廃止となりました……。
「3階のタイプ室は、2月16日以降コピー機設置場所になります。3階は人文・社会系の雑誌書庫ですが、雑誌は貸出不可であるためコピーを取る利用者が多くいます。そこで利用者のサービス向上を図るために、年に1回ほどしか使用されないタイプ室を廃止し、複数台のコピー機設置場所に変更しました」
残念! ですが、記念のタイプライターとなりました〜。題して「タイプライタープロジェクト」
最後に、卒業する記者一同より、タイプライターでメッセージをお届けします! 英語しか打てないため、英文で失礼しますね。誤字はご愛嬌ということで(笑)。
日本語訳
4年間ありがとうございました。記者クラブでの記事執筆の中で上智大学のことを沢山知ることができ、それを皆さんに届けることができて楽しかったです! そして、記者クラブに入って、ソフィアン愛が強まりました! いつも記者クラブの記事を読んでいただき、サポートしていただき、ありがとうございます。これからは一読者として記事を読むのを楽しみにしています。
2023年2月9日
れいれい、まおな、菜々、みりんより
2023.02.24
2021.08.30