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Sophia Topics

上智学生記者クラブ通信

#246 9号館中庭、ついにオープン!
知られざる過去、繋がる未来

2023.06.02

こんにちは! 緑が濃い季節になってきましたね。
緑といえば今年4月、キャンパスのメインストリート南側部分が生まれ変わり、より歩いて楽しい、より「映える」緑豊かな空間になったことをご存知ですか? その工事の主役のひとつが、9号館アクティブ・コモンズ屋上庭園(通称:9庭)(キュウニワと読むそう)です!
新たな「溜まりスポット」としてオープンした9庭ですが、最近その前身について新事実が判明しました。
そんな新・9庭をめぐって、最近発見された過去と変遷から先日行われた祝別式の様子まで、もりもりでお届けしたいと思います!

▲自由に集って寝転べる、もさもさの「芝生エリア」(左)と、ツル性の植物が屋根になる「パーゴラエリア」(右)。屋根の下に並ぶのは「再生木材ベンチ」で、Sophia Uや For Others, With Othersの文字が刻まれている。

実は3代目だった!

ソフィア・アーカイブズの後藤さんが、すごい発見を教えてくださいました。それによると、9号館の中庭は下のように姿を変えてきたようです。

1代目 「理工(館)ガーデン」時代(1965頃~1976)

▲写真右下に。1971年の航空写真より。(ソフィア・アーカイブズ提供)

2代目 「9号館屋上庭園」時代(1977~2022)

▲撮影年不詳。(ソフィア・アーカイブズ提供)

3代目 現在(2023~)

▲今年5月撮影。

1代目はパーティーも催される場所だった!

理工学部の建物である3・4号館の間にあったため、正式名称は定かではありませんが「理工(館)ガーデン」と呼ばれていたようです。
1973年の『上智新聞』第92号によれば、静かなその庭園には芝生もベンチもあり、思想にふけるのに最適な場だったと言います。存在を知らない学生もいるような隠れ家的な場所であり、いつもあまりひとけがない、とも書かれています。日当たりが悪く、木製のベンチには隙間があいて、芝生は一部分剝げていて……。学生の不満でもあったこんな苔むした雰囲気も、今となっては足を踏み入れてみたいような。

▲1973年の『上智新聞』には、四谷キャンパスの「唯一の緑の場」と紹介されています。剥げて土の出た部分を避けて芝生に寝転ぶ、そんな学生の姿が見られたそう。(ソフィア・アーカイブズ提供)

さらに遡ってみると、上で見たイメージとは裏腹な、面白いことが分かります。1966年、1970年のソフィア祭パンフレットによれば、なんと当時、恒例行事として「ガーデン・パーティー」と呼ばれるものがこの理工ガーデンで催されていたようなんです! この企画では、在校生も卒業生も、教員も職員もみんなが集まって、食べたり飲んだり語らったり、時にのど自慢までしていたとか……。案内を見るだけでとにかく「パーティー」な様子が想像されます!

▲かつてのソフィア祭のパンフレット。1966年(右)と1970年(左)のもの。(ソフィア・アーカイブズ提供)

2代目は9号館、カフェテリアの完成とともに

1977年10月1日の新学期開始に合わせ、姿を現した「9号館屋上庭園」。当時の新聞では庭園以上にカフェテリアが大きく取り上げられていて、言葉をそのまま借りれば「アメリカ風のセルフサービス」が話題だったようです。

▲緑生い茂る屋上庭園と小径。(ソフィア・アーカイブズ提供)

入学以前にこの場所へ足を踏み入れた筆者には、迷路のような木立の印象が強烈に残っています!

▲上からの眺め。忘れられないデザインです。(ソフィア・アーカイブズ提供)

3代目、未来を見据えた「9庭」

そして今年4月にオープンした9庭の特徴は、何と言っても環境への配慮やSDGsの要素がふんだんに盛り込まれていること。例えば「かまどベンチ」は解体すると5分ほどでかまどになり、災害時に炊き出しができるという画期的なもの。他にも「デッキエリア」のクッションはヨットの帆をリサイクル、ではなくアップサイクルして作られているんです。

▲足元には、上智のあちこちで見かける3種類の模様が。写真奥にはデッキエリアが広がる。
▲多様性やSDGsの考え方が1つ1つから実感される9庭の案内図。(祝別式配布資料より)

また強く感じるのは、この中庭が学生とともに創り上げられていくということです。何回かにわたり開催される「Gardening workshop」を通して、9庭で育てていく植物の企画から植え付け、収穫まで、学生・教職員が一体となって進めていくそうです!

祝別式が開催されました

2023年5月19日(金)、11時30分より9号館アクティブ・コモンズにて、「上智大学四谷キャンパス3・4・8・9号館改修整備工事、外構工事(C工区)終了 祝別式」が開かれました。

▲総勢70名が集まりました。
▲祝別式とは、カトリック教会では、新たに造られたものを聖別し、感謝する式のこと。大学でこれが行われるのは上智ならでは、ですよね! 写真は共同祈願の様子。

これまでも施設の完成や工事完了の都度祝別式が催され、最近でいえば1号館前の「S-TERRASSE」の完成の際に行なわれたそうです。
今回一味違ったのは、学生も特別に参加できたこと! というのも、9庭の企画からオープン、イベントが続く現在も、サステナビリティ推進本部の学生職員が主体となって進めているためです。上智学生記者クラブの他、学教職協働「ピア・カフェ」プロジェクト、+Re:、nexnect、上智大学ヴィーガンサークル、KASA Sustainabilityの学生が参加しました。

▲工事に携わったすべての方々への感謝を述べるとともに、皆に豊かな祝福があるようにと祈りを捧げる李聖一神父

李神父は工事の完了に際して「中庭が印象的」と語りました。紀元前3000年から存在するという中庭の起源を紐解きながら、当時の人々と同じように今こうして穏やかな空間を持てるのはありがたいと、今後人々のくつろぎ安心できる場になっていくようにと話しました。そして次のように結ばれました。「学生たちがここに集い、学び、それぞれの生きる道を探っていく。その道を、神が祝福するように」

ちなみに、9庭の正式名称がまだ決まっていない件について、「私も考えてみたんですが」と李神父。その名も「ソフィア・グローバル・コート」。募集があったら応募したいと思います、と笑顔でした。

李神父がキャンパス内のいくつかの場所へ聖水を撒きに行っている約20分の間、株式会社都市計画設計研究所代表取締役の三浦幸雄氏から今回の外構工事について、またサステナビリティ推進本部学生職員の庄司萌瑠さん(英語学科4年)から9庭の家具について、説明がありました。それぞれ、根幹となる考えや工夫、意図をお話されました。

▲庄司さんが語った家具設置の背景や思い、注目ポイントを知ると、9庭がより一層素敵な場所に。この記事の随所にできる限り盛り込みましたが、届いているでしょうか?

おわりに

中央図書館の9階にあるソフィア・アーカイブズからの帰りに、9号館の前を通りかかりました。昔の上智新聞や写真とたっぷり向き合った後では、ピロティの向こうに見えた夕陽の中の9庭が、なんだかとても感動的でした……。
今では私たちにとって当たり前になった2号館の屋上や6号館のエスカレーターと同じように、9号館の中庭もこれからキャンパスの日常になっていくんだと思うととてもわくわくします! 1年後、10年後、一体どんな素敵な空間になっているのでしょうか。

*参照

『上智新聞』第23・92・136号、『上智大学通信』第60号

ソフィア・アーカイブズの後藤様を始め皆様に、また祝別式でお世話になった皆様に心より感謝申し上げます。

Niko
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文学研究科フランス文学専攻
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