2024.02.02
2024.02.02
こんにちは! 凪です。
まだまだ寒い日が続きますが、もうすぐ春がやってきますね。大学生の皆さんは、多忙な期末を乗り越えて春休みを満喫している頃でしょうか?
さて、今回は、私が秋学期に最も力を入れた「ゼミ」について振り返っていきたいと思います。ゼミの活動は学部や学年によって様々ですが、新聞学科2年の一風変わったゼミでの学びをご紹介します。
まずは、ゼミについて簡単に説明します。
「ゼミナール」の略で、学生が主体となり少人数で同じテーマを研究する学習のことを指します。ゼミは3年次から、というのが一般的ですが、新聞学科は2年次から始まります。
新聞学科には全部で8つのゼミがあり、活動内容は理論系と実践系とに分かれています。「新聞を書いているの?」と言われがちな新聞学科ですが、研究対象は様々。新聞・テレビといったマスメディアはもちろん、広告・広報や出版、多様性などについて、先行研究を調べてゼミ論を執筆する理論系のゼミもあります。一方、実践系のゼミでは、記事を書いたり映像作品(ドキュメンタリーや短編ドラマなど)を作ったりといった制作が主な活動です。興味のある社会問題について当事者や専門家を取材するゼミや、個人的な体験や想いを脚本や映像を通して表現するゼミなど、同じ実践系ゼミの中でも活動内容は大きく異なります。
このように、新聞学科では自分の興味がある分野に応じてゼミを選択し、ジャーナリズムについて20人弱の少人数制で多角的に学んでいます。自分が所属するゼミが決まるのは2年生の最初ですが、1年生の秋学期に新聞学科の先生方が順番に講義する授業があるので、事前に各ゼミの研究分野や雰囲気などを知ることができます。ゼミ選択の際には、課題提出や面接が課される場合もあるので、早いうちに自身の経験や将来像を踏まえてゼミで何を学びたいのかを具体的にイメージしておくことをおすすめします。
*新聞学科のカリキュラム・ゼミについてはこちら
分野が多岐にわたる新聞学科のゼミですが、私は実践系の「ドキュメンタリーを制作するゼミ」に所属しています。主な活動は、「映像制作のための取材・編集」と「ドキュメンタリー視聴・考察」の2つです。
1年を通してゼミのマルチタスクに追われる、いわゆる「ガチゼミ」の部類にあたります。
ゼミが始まる2年次には、個人作品とグループ作品の計4作品を制作し、コンテストや映像祭に出品します。1つの作品ができあがるまでには、数週間~3カ月ほど。複数の作品を同時並行で抱えることもあります。
まずは、ドキュメンタリーのテーマを決め、取材先にアポが取れたらカメラと三脚を持って通います。短期決戦で作品を仕上げることもありますが、取材先との親睦を深めるために2~3カ月現場通いをすることも。十分な映像素材が揃ったら、構成やナレーションを考え、編集の段階に進みます。授業の合間を縫って撮影に出かけ、閉室ギリギリの夜10時までテレビセンターの編集室に籠ることもしばしばです。
これに加えて、プロが制作したドキュメンタリーの映像表現を考察するという座学もあります。各局のディレクター(監督)やプロデューサーを招いて、対話形式で映像表現について考察・質疑を行うことで、社会問題に対する知見を深めつつ、自身の表現力や観察力を高めていきます。
このようにして、私のゼミでは「理論と実践」の両面からジャーナリズムや映像表現について学びを深めていきます。取材や編集が難航したり作品の真意が伝わらなかったりと、悔しい思いをすることもありますが、作品完成・入賞を目指してゼミ生と切磋琢磨できる環境こそがこのゼミの最大の特徴です。
ドキュメンタリーというと「難しい上に長い!」といった堅いイメージがあるかもしれません。しかし、ゼミ作品のテーマは基本的に自由! 地域格差や環境汚染、障がい者やジェンダーの問題など、自分の身近なところに問いを求め、15分前後の短い作品にまとめることが多いです。
また、夏には合宿があり、取材地に1週間程度滞在してグループに分かれて取材を行います。私たちの代は、かつて「日雇い労働者の町」と言われた大阪の西成地区に赴き、日雇い労働者や部落問題、西成の子ども達に焦点を当てた作品を作りました。
取材対象は、興味のある社会問題に関連した専門家や活動家だけでなく、自分自身や親族・友人であることもあります。
そして、時には偶然の出会いから始まる取材も。私自身、夏休みの活動がきっかけで、和歌山県の高野山を舞台に秋学期の個人制作を行いました。
高野山は、1200年以上前に弘法大師・空海が開いた真言密教の一大聖地。2004年には世界文化遺産に登録され、国内観光客だけでなく欧米を中心としたインバウンド旅行者に大人気の観光地となっています 。山内には117もの寺院があり、宿坊として観光業を支えながら高野山の信仰を守っています。(高野山宿坊協会HP 参考)
もともと地方創生に興味があった私は、旅行とアルバイトを兼ねたプロジェクトの一環で、夏休みに2週間ほど滞在し、宿坊とカフェで接客業を経験しました。修行のために僧侶が全国から集まる宗教都市でありながら、連日多くの外国人観光客で賑わうグローバルな観光都市としての顔を持つ高野山。滞在中のお仕事を通じて人脈が広がり、観光業を担う企業やお寺関係者の生の声を聞く貴重な機会がありました。
ひと夏の経験を経て、一人の観光客として高野山に魅了されつつ、学生として滞在中に得た学びを何らかの形でアウトプットできればいいなという思いが生まれました。そんな中で、高野山を拠点に幅広く活動を展開する男性に偶然出会うことができ、そのユニークな生き方をヒューマンドキュメンタリーとして作品にすることを決めました。秋学期は月に2~3回ほど土日に高野山へ足を運び、カメラを回しながら男性の活動に密着しつつ、お寺の住職さんや観光業に携わる企業の運営陣・従業員など各方面の関係者に取材する日々を送りました。9月末から12月に高野山を訪れましたが、紅葉や雪景色など季節の移ろいを感じることができるのも取材の醍醐味でした。
最終的に、高野山に息づく精神のひとつである「お大師様(=弘法大師・空海)のお導き」を主題に、高野山でのご縁に生きる男性の活動と高野山の神秘的な魅力を伝える作品を完成させることができました。
私の活動はほんの一例ですが、自分の興味関心や問題意識に応じて研究分野を決められる柔軟性があるのが新聞学科のゼミの大きな特徴です。日々の何気ない問いや人との出会いも、掘り下げていけば意外な社会問題に繋がることがあります。
この記事が大学でのゼミ活動について知りたい方や、学科選び・ゼミ選択で迷われている方の一助になれば幸いです。
それでは、また!
2024.02.02
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