2022.03.31
こんにちは! 国文学科4年のくるみです。新学期が始まって半月が経ち、新入生のみなさんも徐々に大学に慣れてきたところでしょうか。みなさんは、今日からの4連休をどのように過ごしますか?
さて、4月8日に、ホフマン・ホールにある東京ハラルデリ&カフェ(以下ハラルカフェ)で、「イフタールパーティ」というイスラーム教の食事を体験できるイベントが開催されました。 今日はみなさんに、そのイベントの様子をお届けします! 美味しそうな食べ物がたくさん出てくるので、ぜひ楽しんでご覧ください。
1. イフタールとは?
まず、「イフタール」という言葉はあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、簡単に言うと、「断食明けの食事」のことです。イスラーム教徒であるムスリムの方々は、ラマダーンと呼ばれる時期になんと1カ月間の断食を行います! 断食をすることによって、自身の信仰心を清めたり、貧しい人々の気持ちを理解したりといった意味があるのだとか。ラマダーンとは、イスラーム教で「聖なる月」とされる特殊な暦の月の名前です。ラマダーンは新月の出現で始まり、次の新月の出現で終わるので、毎年期間が少し異なり、今年は3月10日から4月9日でした。
「え、1カ月食べなかったら死んじゃう!」と思う方もいるかもしれませんが、日中のみ飲食を断つという意味で、日没から日の出までは飲食ができるそうです。そして、日没後に初めて口にする食事が「イフタール」と呼ばれており、今回はそのイフタールパーティに参加してきた、という次第です。
2. 本格的なハラルフード
当日は、バングラデシュ出身のモハマド・シャーミンさんが、とても豪華なお料理を準備してくださいました!
私たちは17時30分に集合したのですが、この日の日没は18時9分だったので、こんなに美味しそうな料理を目の前にして、30分以上も待たなければならないという苦行……もちろん私は朝食も昼食もしっかり取ってきていますが(笑)。イフタールの食べ方としては、まず水を飲み、デーツ(ナツメヤシの実)を食べます。シャーミンさん曰く、空腹の状態でいきなり食事をとると胃が荒れてしまうため、デーツが胃を慣らすのに適しているのだとか。
シャーミンさんに、「今日の一押しの料理はなんですか?」と尋ねると、自家製の「ロショゴッラ」だと教えてくださいました。ロショゴッラとは、カルダモンなどのスパイスと牛乳を混ぜたドーナツのようなものをシロップ漬けにしたお菓子だそうです。
3. 企画者にインタビュー
本イベントの企画者の一人である、ソフィアキャンパスサポートの正山耕介さんにインタビューを行ないました。なんと! 上智のハラルカフェ設立を働きかけてくださった方です。
今回このイベントを企画しようと思った理由はなんでしょうか?
(正山さん)上智には様々な国籍や信仰の学生たちがいるので、いろんな人と交流したいという希望を持つ学生も多いと思いますが、普段のお昼休みで、知らない人に話しかけるのは勇気が要りますよね。こういう機会でないと新たな関わりは生まれないので、学生のみなさんに食を通して交流してほしい、という思いから企画しました。
今日はまだ授業が始まっていませんが、4月8日に開催したのは何か理由があるのでしょうか?
(正山さん)ラマダーン最終日のイフタール(今年で言えば9日の日没後)は家族や親戚でお祝いをすることが多いので、ムスリムの留学生も他学生と楽しめるよう前日の8日に設定しました。授業期間前で、来てくれるか心配していたのですが、想像以上に学生が集まってくれていて、びっくりしています!
4月8日という日程は、ムスリムの留学生に配慮され、且つできるだけ本場に近い形で開催しようとしてくださる正山さんのお心遣いからだったようです。私もこのイベントに申し込んだときは、まだ授業が始まっていないから学生が少ないのかな? と少し不安だったのですが、当日は33名の学生が参加していて、大盛況でした!
キリスト教の上智にイスラーム教のハラルカフェがあるのは不思議ですよね?
(正山さん)上智にハラルフードを導入しようと発案したのは、イエズス会の神父さんで当時副学長だった神学部の川中先生でした。カトリックの大学でも、さまざまな宗教や文化に開かれた上智らしいエピソードですよね。最初はお弁当の形で売っていたんですよ。ハラルフードはイスラームの戒律に則った料理ですが、限られた人たちのためだけではなく、誰もが食べられるようにすることで、異なる文化を知るきっかけにもなりますし、食事を作ってくれる業者さんも提供しやすくなります。ハラルフードのお弁当がとても評判だったので、食堂にしたいと思いました。
4. おわりに
いかがだったでしょうか。今回は、人生で初めて食べる料理や新しい学生との交流だけでなく、イスラーム教についての理解を深めることで、ムスリムの方々がどんな思いで、どのようにラマダーンの期間を過ごしているのか、といった発見や学びがありました。そして、皆でテーブルを囲んで食事を取る喜びや幸せはどの国でも共通していることなのだと、改めて気づかされました。
ちなみに、今回の会場となったハラルカフェについては、過去にひな記者が記事を書いているので、こちらも合わせてご覧ください!
では、次回の記事もお楽しみに!
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