大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。
普段の授業では知れない学生時代のエピソードなど綴っていただく「先生コラム」の第12回目をお送りします。先生コラムは教員から次の教員をご紹介いただくリレー形式でお届けします。
今回は、長町裕司先生(哲学科)からのご紹介、酒井陽介先生(神学科)です!
哲学科の長町裕司先生からバトンを引き継ぎました、神学部の酒井陽介です。さて、母校上智大学の思い出を二つほど書いてみます。二つとも授業に関することですが、印象に残ったものを書かせていただきます。
ラテン語と共にあった1年
私は、第二外国語としてラテン語を幸か不幸かとってしまいました。何が大変だったかといえば、朝イチで、尚且つ週4もあり、宿題が多く、受講人数も少なく、その上、宿題の答え合わせで、何度も当たるからでした。当時は、哲学科の佐藤先生と長町先生が担当でした。長町先生は、ドイツから帰国されたばかりで、急に説明がドイツ語になったり、黒板の板書をドイツ語で書き始めたりと、学生が指摘するまで気が付かないなど、嘘のような本当の話のエピソードに枚挙にいとまが、ありません。それでも、いや、だからラテン語は、楽しかった。何を隠そう私は、ラテン語愛をその頃から抱いています。もちろん、ラテン語話者でもなければ、ラテン語ミサの支持者でもありませんが。ラテン語の響きが好きで、その言葉の持つ独特の奥深いニュアンスが好きなのです。そして、後年のイタリア生活の時、イタリア語学習にも、ラテン語は、その入り口として大いに役立ちました。私の好きなごくごく簡単なラテン語表現に “Salve!”があります。今でもイタリアでは普通に使う表現で、「元気ですか」とか「ごきげんよう!」といいう意味です。
海外ボランティア活動とアンソレーナ先生
私は大学時代、学外の海外ボランティア活動に関わりました。夏休みにパプアニューギニアやソロモン諸島という普段日本人が滅多に行くことはない場所に行き、現地の人と共に働き、汗(と涙)を流し、語らう体験をしました。それは世界が思いのほか広く、いわゆるメディアで目にする欧米以外の国々の成り立ちと文化、そして多様な民族がいることに目を開かせてくれました。帰国後、後期に取ったのが、当時の人間学研究室にいらしたホルヘ・アンソレーナ先生による開発と人権に関する人間学科目でした。世界中のスラムエリアを周り、社会の底辺に生きる人々の生活環境の向上と住居建設に深く関わっていたアンソレーナ先生の豊かな経験と人間への温かい眼差しを感じる授業でした。各自発表する授業であったので、自分のボランティア体験を勇気を出して発表した時の先生の笑顔が忘れられません。後年、ほんの数年ですが、一緒の家(SJハウス)で生活でき、あの時の話をすると、同じ笑顔を分かち合ってくださいました。
まだまだ色々な授業への思い出があります。それらに共通しているのは、その時の授業がいろいろな形を通して、今の自分を形成することにつながっていることです。その時にはわからずとも、確かに血となり、肉となりということがあるのです。これから、学生たちとそんな世界と人間の奥深さを分かち合っていきたいものです。
バトンをお渡しするのは、高等教育の専門家で、フューチャーセンタープロジェクトでもご一緒させていただき、イエズス会教育に熱い思いを持っておられる鎌田武仁特任助教です。鎌田先生、よろしくお願いします!
次回は……
酒井先生から鎌田武仁先生をご紹介いただきました。次回の「先生コラム」もお楽しみに。
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2021.08.30