祝! 300号配信
2024.07.12
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2024.07.12
大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。今回は、ジェンダー・セクシュアリティ問題に取り組む学生団体GES(Gender Equality for Sophia)の稲井清香さん(法律学科2年)による講演会レポートの第2弾です!
ライターで一般社団法人fair代表理事・松岡宗嗣さんが昨年12月9日、「個性を認め、尊重し合うキャンパスを目指して〜LGBTQにおけるアライを通じて〜」をテーマにご講演くださいました。
今回は、講演会を通じて感じたことや考えたことについて、共同代表・成田真由(フランス語学科3年)に同・稲井清香(法律学科2年)がインタビューしました。
この記事は、前回の記事を読んでからお読みいただくと、より理解が深まるかと思います。
特別なきっかけはありませんでした。ジェンダー・セクシュアリティについて学ぶ中で、性的マイノリティ当事者の味方であることを表明する「アライ」という言葉を知り、自認するというよりは「自分もアライでありたい」と思うようになったんです。
わたしにとってのアライとは、「当事者をサポートし、ともに、あるいは代わりに声をあげる人たち」であり、性的マジョリティとマイノリティで分断された社会を繋ぐ存在でした。
その上で心がけていたことは2つ。
1つは、「常に学び、当事者の声に耳を傾けること」。わたしはシスジェンダー(生まれ持った「体の性」と自分自身が認識している「心の性」が一致している人)・ヘテロセクシュアル特権をもつ非当事者であり、当事者の困難や痛みを完全に理解することはできません。
アライであることに満足・安心せず、すべてを理解している“つもり”にならないために学び続けることが、非当事者の自分にとって重要なことだと思ってきました。
2つ目は、「当事者の経験を搾取しないこと」。1つ目に「当事者の声に耳を傾ける」ことをあげましたが、容易に当事者の経験を聞き出すこと、ただ聞いて自分の学びにして終わりにすることは、あってはなりません。マジョリティは、学ぶ立場にいる特権性を常に自覚している必要性があると、常々感じてきました。
一貫して、アライには「自省」の姿勢が求められているのではないかと感じました。
松岡さんの「当事者の声を奪っていないか、恐怖を抱きながら行動する必要性がアライにはある」という言葉が一番心に残っているのですが、ここに当事者の求めるアライ像が映し出されていると思います。
未だ偏見や差別が残るこの社会で、非当事者が社会に響かせる声は、当事者のそれより大きいことが常です。
リスクや精神的負担の違いから、「声をあげること」へのハードルは非当事者の方が遥かに低く、当事者より多くの機会を得やすいです。
当事者の声をかき消してしまったり、声をあげる機会を奪ってしまったりしないように、自分の特権性を自覚して行動をするための自省がアライには必要不可欠だということを、改めて皆と共有したいと思いました。
こうして学生団体を立ち上げて代表を務めてはいますが、わたしは非当事者であるうえに、ジェンダー・セクシュアリティに関する学問を専攻しているわけでもありません。
「当事者でもない、知識も十分にない自分が声をあげる資格はあるのか?」「そんな状態で声をあげることで当事者を逆に傷つけてしまう結果を招いてしまわないか?」そんな不安がいつもあったんです。
講演の前までは、「その不安があるということは、もしかしたらわたしはアライである資格がないのかもしれない」と考えていました。
しかし先ほど述べたように、その不安を抱くことこそが、アライに求められる必要条件なのだと分かりました。
不安や恐怖を抱いている自分より、抱いていない自分のことを疑う姿勢を忘れないでいたいと思います。
「自分の特権性を自覚する」ということを繰り返し述べてきましたが、やはり自分の特権と対峙するということではないでしょうか。
自分の特権性、社会的優位性を自覚したうえで、それを当事者のために利用できるアライでありたいと思います。
一緒に参加したGESメンバーの1人が松岡さんに、「学生団体が持続的な活動をするためにはどうしたらよいか」と質問したんです。
特に社会課題に取り組む学生団体は、オーガナイジングの難しさや、代替わりのタイミングでの意気消沈などの要因により、短命に終わってしまうことが多いように感じています。
GESも現在、活動目標達成のために長期的な活動形態を模索しており、オーガナイジングに非常に苦労しているところです。
松岡さんはこの質問に対し、大学側との連携の重要性をお話してくださいました。
松岡さん自身、学生時代に「MEIJI ALLY WEEK」を開催した際には、大学との連携を図り、結果としてジェンダーセンターが次年度の予算をつけてもらえたそうです。
わたしたちGESが現在取り組んでいるプロジェクトも、大学との連携が鍵となっていますし、持続的にキャンパスを安全な場所にするためには、大学の自発的な取り組みが必要不可欠となります。
今後も上智大学との連携を図り、何か1つでもプロジェクトが達成される瞬間を、卒業するまでに見届けたいです。
「当事者ではない、知識も十分にない」ことに悩みながらGESの活動に取り組んできた成田さん。講演を聞いて、むしろ不安を抱きながら行動することこそが大事なのだ、と自信をもって前に進む力を得られたようです。2年生の稲井さんが引っ張っていく今後のGESの活躍にも期待しています!
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それでは次回の発見もお楽しみに。