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上智のいまを発見

エルサルバドルへ支援をする夢が実現 課外活動団体「Givers」の原動力は?

2023.10.20

大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。今回は、上智大学の中で唯一エルサルバドルでボランティア活動を行い、日本でも活動の幅を広げた課外活動団体「Givers」の活動について代表の練木さんにインタビューしました。

Giversは2022年度秋学期に新規創設した団体で、エルサルバドルでのボランティアやビーチクリーン、動物たちに新しい飼い主を探したり、散歩の手伝いをしたりするボランティア活動を行っています。
練木さんはエルサルバドル出身の父親と日本出身の母親の間に生まれたとのこと。小さい頃のエルサルバドルの経験がこの活動の原動力となりました。

何を目指して活動に取り組んでいますか?

メインのゴールは毎年3月にエルサルバドルに行き、貧困状態の人々をより多く助けたいです。そのほかのゴールはボランティアの楽しさをメンバーにわかってもらえることと、違う国の人と触れ合うことで、視野を広げてさらにグローバルになることを目指しています。

創立したきっかけはなんですか?

私はメキシコで生まれ育ち、母親が日本人、父親がエルサルバドルのアパネカ(Apaneca)というとても小さくて貧しい町で生まれ、日本とエルサルバドルに毎年帰っていました。そのため全く違う二つの国を小さい頃から見てきました。そのため、エルサルバドルの子ども達や貧困状態に住んでいる家族が身近にある環境にいました。そこで思わされたことが「なんで地域が変わるだけでこんなに不平等な生活をしないといけない人がいるんだろう」。その不平等さをみて小さい頃からいつもやりたかったことは、私が恵まれて生まれた環境を使って何かしらエルサルバドルの貧困の子どもを支援したいことでした。やっと大学に入ってサークルが作れる環境に巡り会えたため、その機会を使って今回Giversを創設しました。

創立した時は、エルサルバドルに行くことしか考えていなかったです。毎年エルサルバドルのために準備してそれに向かって頑張っていくことが目的だったのですが、日本でもさまざまな問題があることを学び、今では日本での活動の方が多くなりました。

――実際に間近で見てきたことが、団体創設へのきっかけとなったのですね。エルサルバドルへの強い想いが伝わります。そんなGiversにエルサルバドル支援と動物支援の2つの活動についてお話を伺いました。

エルサルバドル支援の先

エルサルバドルでの支援について教えてください。

去年もエルサルバドルに行きましたが、5つの主な問題を見つけました。
そこで来年の春もまたエルサルバドルに行き、去年出会えた150人弱に子ども達とまたふれあいに行き、5つの問題を改善したいと思っています。

一つ目は、自分が得意なスキル、好きなスキルをまだ見つけられていないこと。

二つ目は、スキルが見つかったとしても持続的に練習し続けられるツールがないことです。
様々なトピックを教えることで、子ども達も様々な経験ができて各自の特技を見つけることで各自の将来に繋がり貧困から抜け出せるかもしれない……という思いで、私たちはプログラミング、英語、ダンス、歌、空手、などを少し教えました。ですが、教えても持続的に練習ができる環境がありません。

三つ目は、若年妊娠が多いことです。この状況を改善するために性教育を少しするだけでなく、現在あるジェンダーギャップなども教えます。また、女性として少しでも生きやすくなるために月経カップを日本から持って行ってプレゼントする予定です。

四つ目は、インターネットが設置されていない学校や家が多いことです。このために、日本で集めた資金を使い、エルサルバドルのインターネットルーターを5個買って設置する予定です。5個あればその学校だけではなく、学校の周りにある家などにもインターネットを共有することができ、学校がある地域をさらに支援できます。

そして五つ目は、学校の衛生面が整えられていないことです。衛生面が整えられていないと子ども達が感染症になってしまう恐れもあります。しかし大学生の私たちは専門的に水を綺麗にする仕方などわからないため、私たちができることは何かと考えた結果、日本でも毎月行っているビーチクリーンをすることにしました。様々なNPOや大使館などと協力し合ってできるだけ多くの人々を集めてビーチクリーンを行います。また、ビーチクリーンだけでなく環境を綺麗にすることの大切さも参加者に教えます。

何がきっかけで日本への支援を考え始めましたか?

昨年エルサルバドルに実際に行って、エルサルバドルの二つの小学校、一つの高校、そして一つのNPOとコラボレーションして2週間活動を行いました。日本でもこのようなボランティアを続けたい、エルサルバドルの子どもと貧困と日本の子どもと貧困の違いを学びたい、という強い思いで日本でもコラボレーションできそうな様々なNPOとNGOを探しボランティアをすることにしました。

現在はどんな支援をしていますか?

現在はLearn For All とBe one というNPOとコラボしていて、主に子ども達の居場所づくりのボランティアをしています。不登校になってしまった子、いじめを受けている子、家に親があまり帰ってこない子など様々いる中、孤独に感じてしまっている子の友達になることをしています。みんなで遊べるイベントを考えたり、一緒にご飯食べたりしています。前回のイベントでは多文化交流が目的で、Giversの国際的なメンバーと一緒に海外の様々な遊びをしました。

今後はより多くのNPOとコラボレーションして、子どもたちの居場所を作っていきたいです。今の所まだ数回しか子ども支援ができていないので、これからはもっと定期的に活動していきたいです。Giversの資金集めをもっと上手くして、ある程度の資金が集まったらコラボレーションしているNPOに寄付などもしていきたいです。

――エルサルバドルでの経験が彼女にとって大きな糧になったようですね。

いつの間にか助けられる

次に動物支援についてお話を伺いました。

動物支援は何がきっかけではじめましたか?

自分で実際に保護犬を飼って、ペットショップで犬を飼うより保護するという小さな変化だけですごく大きな好影響を動物に与えられることに気づいたからです。ペットショップで犬を飼うと、命に値段をつけるという残酷な考え方を止められるほか、ブリーディングなど通して様々な面で体に害を与えられてしまう動物を救えます。また、家族がいなく家がない動物たちを保護することによってその子たちを守ることもできます。まだまだペットショップで動物を飼うことが一般とされている日本だからこそ私たちができることをしたいです。

普段はどんな活動をしていますか?

保護犬の世話をするボランティアをするほか、その活動報告をSNSで発信し、殺処分されそうな動物の里親を探したり、ペットが欲しいときペットショップで命を買うよりも保健所で命を救うという道もあるということを教えたりしています。また、保健所の動物の散歩や餌やりなどの手伝いも行っています。

活動を続けていく中で気づいたことはありますか?

私たちが動物を助けることで命を救えるかもしれない! という気持ちは何よりも貴重だということです。しかしそれよりも気づかされたのは、こちら側が動物を助けているはずなのに動物にこちらが助けられている側にたまになることです。例えば保護犬の場合、癒しの力を使って精神病院で患者と触れ合う犬がいたり、不登校になってしまった子どもが犬と触れ合ってその犬に会いたくて家の外に出て初めて学校にも通い始めたりする件がありました。このような話を聞いたり見たりして、私たちがどれくらい動物に支えられているのかもすごく実感できました。

担当者memo

実際に見たり、経験したりしてきたからこそ、子どもたちのために、動物のために支援したいという想いが伝わりました。まさに上智の教育精神である「他者のために、他者とともに」を体現していますね。
最後にGiversのモットーをご紹介します。

  1. We GIVE our devotion (私たちの最大を活かす)上智生として恵まれた私たちは、その恵みを知り、恵まれた機会を使い、あまり恵まれていない人たちのために、私たちができることを最大に活かし、世界を少しでも良くしていく。
  2. We GIVE a lifetime of experience (一生で使えるような経験を与える)Giversのメンバーは助けをさまざまな人々や動物に与えるだけではなく、そのボランティアの通して、人生が変わるような経験をする。このような経験を活かして、人生の視野が広がったり、将来に繋げられるようなものにする。
  3. We  GIVE a future (将来を与える)エルサルバドルの子供達に将来的に活かせるようなスキルを与えることで、彼らが貧困状態から出れるような将来を一緒に作っていく。ビーチクリーンを通して、少しでも環境汚染をよくし、自然の大切さをGiverのメンバーに教えることによって、自然とハーモニーを作り、さらに持続可能な社会を作り上げていく。

そんな練木さんの想いから始まったGiversの部員はなんと120名! エルサルバドルと日本の架け橋となるGiversの今後の活躍に期待です。

「上智のいまを発見」では学生の活躍、耳寄り情報、先生によるコラム、先輩紹介など、大学の中と外でおきているあれこれを特集しています。取り上げてほしい人や話題など、みなさんからの情報も募集中。情報提供は findsophia-co(at)sophia.ac.jpまで。記事形式、ビデオ、写真、アイディアなど形式は問いません。どうぞ自由な発想でお送りください。*残念ながらすべての応募情報にお答えすることはできません。採用させていただく場合のみご連絡をいたします。

それでは次回の発見もお楽しみに。