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上智のいまを発見

桑原英樹
偶然に導かれて

2024.08.07

大学の中と外で、いまおきているあれこれを紹介する「上智のいまを発見」。
普段の授業では知れない学生時代のエピソードなど綴っていただく「先生コラム」の第14回目をお送りします。先生コラムは教員から次の教員をご紹介いただくリレー形式でお届けします。
今回は、鎌田武仁先生からのご紹介、桑原英樹先生(機能創造理工学科)です!

MIRAI 2.0の国際会議で訪日中のスウェーデンの大学の皆さんを本学に招待した際の記念撮影。右端が前回のコラム担当の鎌田先生、後列右から6人目が著者。2022年11月、6号館屋上にて。

こんにちは、理工学部機能創造理工学科の桑原英樹です。MIRAI 2.0(スウェーデンと日本の大学間国際学術プロジェクト)でお世話になっている鎌田先生からバトンを受け取り、このコラムを書くことになりました。理工学部以外の先生方や職員の方との出会いが少ない私にとって、鎌田先生との交流はとても刺激的で、感謝しています。

大学卒業からの道のり

さて、大学卒業から本学に着任するまでを振り返ると、正直言って行き当たりばったりの連続で、学生さんの参考になるかどうか不安を感じました。一般的には、理工系の大学教員になるには、大学院修士課程を修了し、博士課程で学位を取得し、ポスドクや助教といった期限付きのポジションを経て、常勤の教員として採用されるという道筋が考えられます。

しかし、私の場合は少し異なります。大学卒業後、学問への憧れはありましたが、父が病気で倒れたこともあり、経済的な理由からすぐに電機メーカーに就職し、普通の会社員として3年間働きました。普通の会社員と書きましたが、幸いにも配属先が基礎研究所で、実験や学会参加が比較的自由にできる恵まれた環境で研究を続けることができました。それでも、学部卒の自分に最先端の研究を担う力はなく、自分の力不足を痛感し、もがいていました。

会社員から研究者へ

そんな中、社会人向けの大学院生を募集していた筑波大学に、会社のサポートもあって運良く入学できました。この制度では、会社を辞めることなく講義を受けたり実験を行ったりすることができ、基礎研究所で取り組んでいた超伝導の研究を、吉崎亮造先生の指導のもとで行い、理学修士の学位を取得しました。その後、受託研究員として計4年間、超伝導の研究に従事しました。

受託研究員の任期が終了する頃、偶然にも産官学共同研究プロジェクト「アトムテクノロジー研究体」が立ち上がり、私は会社から出向してプロジェクトに参加しました。プロジェクトリーダーは東京大学理学部の十倉好紀先生で、ポスドクの研究者たちが集まる中、まだ博士号を持たない私は何もできない状態でしたが、十倉先生が一から指導してくださり、一人前の研究者へと成長させていただきました。このプロジェクトでの研究成果をまとめ、学位論文を提出して何とか博士(工学)の学位を取得したのは、上智大学に着任するほんの2ヶ月前のことでした。

学びの喜びと感謝

こうして、一般的な経歴とは異なる形で、会社に勤めながら学位を取得し、上智大学に採用されるまでの道のりを歩みました。すべてが偶然で、その時々に素晴らしい指導者や同僚に巡り会えたことは本当に奇跡のようで、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。また、普通に修士・博士課程へ進めなかったこともあり、学問への憧れが一層強まり、会社での3年間を経てから大学院で講義を受けた際、自分で学費を支払っていたことも相まって、学ぶことの喜びを一層深く感じることができました。

次回のコラムは、基盤教育センターの竹村りょうこ先生にお願いしています。通常、このリレーコラムは仕事上のつながりが多いですが、竹村先生とは教職員テニスクラブでお世話になっており、テニスのご指導をいただいています。ぜひご期待ください。

教職員テニスクラブ(紀尾井テニスクラブ)の練習後の写真。左から3人目が次回のコラム担当の竹村先生、左から5人目が著者。2023年12月、真田堀テニスコートにて。

次回は……

桑原先生から竹村りょうこ先生(基盤教育センター身体知領域)をご紹介いただきました。次回の「先生コラム」もお楽しみに。