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上智学生記者クラブ通信

#221 記者のおすすめ小説特集
冬休みにこたつで読める!

2022.12.09

いよいよ本格的な冬の寒さが到来した今日この頃ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。寒さが大の苦手な私は、早くも春が待ち遠しくてたまりません……そんな時は、猫だけではなく我々人間もこたつで丸くなりたい! ということで、この記事では記者4名がそんな時にぴったりな小説をご紹介します。これらを読んで、一緒に冬を乗り越えましょう! それでは早速、Niko記者のおすすめからどうぞ。

1. Niko記者によるおすすめ

『島はぼくらと』辻村深月著、講談社

いつ、どこで読んでも、どこまでも続く空と海、そして溢れる光が目の前に広がる本です。冬の、こたつで読んだとしても!
舞台は瀬戸内海に浮かぶある一つの島。そこで暮らす幼馴染の高校生4人の日々は、謎の人物が島にやって来たり、家族の過去が明らかになったりと、不安や感動の連続です。そんなまぶしい日常の先に近づいて来るのは、進路を決める時――それは、大学進学をきっかけに島を出るのか、家族や友達と遠く離れるのかを決める時。
舞台は「島」ですが、これはどこか決まった場所というよりも読む人それぞれにとっての「大切な場所」という感じがします。それは気が付くと自分にとっての大切な場所、時間、遠くにいても確かに繋がっている人々に重なるからでしょうか。
そしてこの島は開けている感じがするんです、未来にも。だから高校生の主人公たちには、高校→大学に限らず就職や卒業や、次のステップへ踏み出していくときの気持ちが重なってしまいます。
特に好きなシーンは、最後の夏休みに海を見渡せる高台の公園へと4人で登るシーンです。
この島はどこかに本当にあって、今もみんなの生活が続いている気がします。その続きを覗いてみたいけれど、絶対に続編は出てほしくない、そんな本です。

2. れいれい記者によるおすすめ

『深い河(ディープ・リバー)』遠藤周作著、講談社

※中央図書館所蔵あり

上智に在学していたことのある遠藤周作は日本の精神性とキリスト教の共鳴性を模索しているとも言える作品を残しました。私が最初に読んだ遠藤作品が『深い河』でした。人生のどこかで愛を見失い、その愛を探す登場人物たちの旅路が交錯します。
普段じっくり考えることの少ない「愛」というテーマに向き合うきっかけをくれる一冊です。上智生なら誰もが知っている「あの場所」が、物語の重要な舞台として登場します。

撮影協力:紀伊國屋書店 上智大学店

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ著/土屋政雄訳、早川書房

※中央図書館所蔵あり

2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの作品の中で私が特に心揺さぶられたのが、この小説です。自分は何のために生まれ、なぜ誰かを愛し、ときに憎む心をもっているのか――。誰かとの絆が恋しくなったときに読めば、きっと自分を、大切なひとを、ぎゅっと抱きしめたくなると思います。寒い季節におすすめの一冊です。

3. ひな記者によるおすすめ

『ふたりのロッテ』エーリヒ・ケストナー著/池田香代子訳、岩波少年文庫

ドイツ文学科に所属している私がこの冬休みに皆様にぜひ読んでいただきたいのは、ドイツのドレスデン出身の作家、エーリヒ・ケストナーの『ふたりのロッテ』です。幼いころに両親の離婚により生き別れ、自分たちに姉妹がいるということを知らずに育った双子の姉妹、ロッテとルイーゼはある日偶然にも再会を果たします。2人は両親が仲直りし、再び家族全員で暮らすことを夢見て、「入れ替わり」の作戦を立てます。父の元で育ったルイーゼは彼女の生みの母が暮らすミュンヘンへ、そして母の元で育ったロッテは彼女の父の暮らすウィーンへ向かいます。顔はそっくりなのに、その性格は全く異なる2人。果たして2人の作戦は上手くいくのか、そして再び家族4人で暮らすことは出来るのか……。
この作品は私自身、昨年度の担任の先生からお勧めしていただき、初めて心から好きになったドイツ文学作品です。ハラハラドキドキの児童文学作品ではありますが、私たち大人世代が読むと、子供時代を経たからこそ共感出来る部分が沢山あります。そして家族の温かさというものを改めて認識させてくれる、とても心温まる作品となっています。
続きはぜひ実際に本を取って、御自身で確認してみてください!

4. のぶゆき記者によるおすすめ

『舟を編む』三浦しをん著、光文社 

※短大図書館所蔵あり

タイトルにある「舟」とは辞書のこと。『大渡海』と名付けられた新しい辞書の編纂に奔走する編集部を舞台に、「言葉」をめぐる人間模様が繰り広げられます。
私が言葉という存在の奥深さが気になりはじめたのは、中学生の時にこの作品に出会ってからかもしれません。そして今や外国語学部に入り、この記者クラブでも言葉と日々向き合っています。自分の興味の源泉がここから繋がっているのかもしれないと思うと、この本には感謝ですね。
また、登場人物たちの純粋な心の動きもこの物語の魅力の一つ。言葉への鋭い感性と浮世離れした性格が同居する主人公や、辞書編集部の面々の熱意に感化されていく同僚の姿には感情移入必至です。
色々な側面から楽しめるこの小説、言葉の世界が気になるという方も、そんな世界に興味は湧かないという方も、読んでみて間違いない名作です!

最後に

4人分のおすすめを続けてご覧いただきましたが、いかがでしたでしょうか。面白そうな小説は見つかりましたか?
興味を引かれたものがありましたら、ぜひ実際にお手に取って読んでみてください!
年末年始のお供にするもよし、授業再開後の通学の暇つぶしにするもよし、皆さんの読書ライフにこの記事が少しでも彩りを添えられていたら嬉しいです。

Niko
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Niko
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文学研究科フランス文学専攻
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上智のいいところ
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のぶゆき
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のぶゆき
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上智のいいところ
語学への強さとキャンパスの立地!
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ひな
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文学部ドイツ文学科
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上智のいいところ
設備がインスタ映えする!
れいれい
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国際教養学部 国際教養学科
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