上智の課外活動団体は、公認のものだけで200以上も存在しています。本団体と似ているメディア系に絞っても、その数を正確に把握しているという人は少ないのではないでしょうか。友人に記者クラブに入っていると伝えた時の「あー! 上智新聞ね!」と言われる率のなんと高いことか……。
そこで今回は、上智のメディア系団体をお招きして座談会を開催してみました! 突然の呼びかけにも関わらず快諾くださったのは、アリオーゾ・上智新聞編集局・wel-beeの3団体。そこに上智学生記者クラブを含めた4人で、各団体の特徴から面白い裏話までじっくりお話ししてきました。
【対談メンバー】
横瀬さん:フランス文学科3年生、アリオーゾ代表。
羽山さん:国際関係法学科2年生、上智新聞編集局編集長。
工藤さん:新聞学科3年生、wel-bee副代表。
赤間(この記事の書き手):イスパニア語学科2年生、上智学生記者クラブ編集長。
対談の様子をそのままお届けするには大ボリューム過ぎたので、Q&A方式でご覧ください!
★まずは各団体の紹介をお願いします
(赤間)記者クラブは今大体20人ぐらいで活動している割と小規模な団体です。
一応最大の特徴が職員さんと一緒という所で、今まさにそこ(取材場所が学生センターの中でした)にいらっしゃる職員さんに、原稿は全部チェックしていただいてます。記事の内容とかもっとラフにやっていいよって言われるんですけど、公式感が強めな団体ですね。
そもそも上智学生記者クラブが出来たきっかけが、上智の公式LINEを開設する際にただ情報発信じゃつまらないから何かコンテンツが欲しいといことで企画が持ち上がったらしいです。なのでアリオーゾを引退された方とかが初期メンバーで作っていたみたいな話を聞きました。
記事は全部オンラインで毎週出してます。
(羽山さん)上智新聞は1965年ぐらいに当時あった上智大学新聞という新聞が、学生運動の団体に取り込まれたような新聞になっちゃったという経緯がありまして。それで、教職員とか色んな所と繋がりながら、今の上智新聞が新しく作られました。
ですが今は割とほったらかしみたいな状態にあって、多分当時からそういう経緯があって作ったというのもあり公平性も考えてのシステムなんでしょうと思います。
発行は、紙媒体で細々と毎月出そうとやってますがぎりぎりです。人も自分の代は3人になっちゃったんですけど、普通は毎年6、7人居て、今年の1年生はすごくいっぱい入ってくれました!
ちょっと最近は大学相手の取材が多くなりすぎているんですが 、大学のプレスリリースや、あとは関係のデータとかも上智大学は結構出してくれてるのでそういうのを読み込んだ上で執筆しています。
(横瀬さん)アリオーゾは一番ふざけた団体で(笑)、大体春学期と秋学期に冊子を1冊ずつと、『大学一年生』というものを毎年発行しています。
最初に「ときめき」といったテーマを決めてから、それに沿って色んな企画を決めていくという感じです。中身としてはこんなものを本当に世に出していいのかなと思いつつ私は入稿をしたりしていますが、意外と世間の目は緩いということで、これまで15年間続いてきております。
冊子と一緒にウェブもやっているのですが、そっちの方が幾分過激で、例えば語学学科の生き残り方っていう記事では留年した友達にどうしたら留年したの? という所を聞いて(笑)反面教師として真逆のことを書くということをやりました。結構いい感じの所までPVも伸びましたね。
今40人弱が所属してて、まあ20人弱ぐらいが動くという感じでやってます。
(工藤さん)wel-beeは2007年ぐらいにもともとあった団体を去年(2022年)もう一回立て直した団体で、この前、Vol.3のフリーペーパーを発行しました。人数が今年いっぱい入ったので20人ぐらいいるんですけど、活動してる人がどんどん減ってきちゃって。メンバーに社会福祉学科の学生がすごく多くて3年生のメンバーが今実習で忙しくてサークル活動に参加できないので、今本当に一桁ぐらいしか参加してる人がいないっていう感じです。いつでもどの学科でも新メンバー募集してて、この前は理工学部のメンバーが増えたりしました。
メインはどっちかっていうとウェブ記事で、最近はあんまり更新できてないんですけど有名な企業の方にお話を聞いたりとか、福祉とDXの話の記事がそろそろ出たりとかがあります。
あとは目的としては福祉に全く興味がない人や関わったことがない人に少しでも触れてほしいという思いでやってるので、親しみやすい、例えば簡単な手話教えたり、表参道にあるすごいおしゃれなカフェが実は福祉の施設だったり、そういうのを紹介しています。
◆こぼれ話①
上智新聞編集局さんは、毎年上南戦の全会場に局員を派遣している。南山大学開催だった去年は、猛暑の中、熱中症のリスクと隣り合わせのハードな取材を続けたんだとか……。
★団体の特徴はどんな所ですか?
(赤間)記者クラブ的には公式っていうのが一番大きくて、学内の取材だったら取り次いでもらえるというのがメリットとして大きいかなと思ってます。
あとはソフィア・アーカイブズっていう機関があるんですけど、そこで調査を兼ねた研修会をやったりして、そういう大学関連の強さというのはあります。
(羽山さん)新聞の特徴と言うと真逆になるんですけれども、一応全部学生に委ねられている、ということになっています(笑)。うちも公認団体で認可を受けている側っていう関係性もあるので、(大学側が)触れてほしくない所には触れられないですが……。
ただ基本的にはしっかりこっち側でやることの方が多いですし、もちろん大学が取材相手じゃなければそういう話はないので。学生中心でやれていると思います。
新聞なので堅苦しいって言うのは、自分たちで言うのもあれだけど特徴でもあるので、見た目もそうですし、記者ハンドブックという共同通信から出ているものがあって、表記なんかも統一しなければいけないということがあります。それ以外にもうちの中で統一するもの、例えば一番分かりやすいのは学生さんとかに取材した時の学部学科の書き方ですね。
書いてる側としては、多分読んでる人に伝わらない一番面倒くさい規定は数字の桁数ですね。二桁は半角で横並び、日付などは一桁ずつなので全角縦並びで、1977年といった年号は四桁なので全角縦並び。これは書いててすごく面倒くさいですね。
(工藤さん)記者ハンドブック、私も持ってます! 憧れて買って使ったことは全然ないですが……。
(横瀬さん)アリオーゾの一番の特徴は社会を舐めてるという所。本当に人間の社会を舐め腐ってるやつが結構いますね(笑)。
あんまり新聞新聞してないというか、フリーペーパーにしても目にうるさいものをというのだったり、漫画ぽいものを作ってみようとか、結構ふざけたものをしているっていう感じです。
まあこれ(紙の冊子)は一応我々の基準ではフォーマルなものになってて、ウェブの方ではこれ以上にふざけた記事を書いておりまして、先程も話しましたが私が留年した友達から聞いたのとか、先輩がヤクルト30本一気飲みする記事とか、怒られるすれすれラインを頑張って低空飛行して攻めていこうぜという感じの勢いがあります。
あともう一つは14期15期みたいに世代ごとに結構特徴が違うっていうのがあります。一つ前の代だとノスタルジックっぽいものを作ったり、もうちょっと前だと滅茶苦茶にうるさいものを作っていたというのがあって、世代ごとにアリオーゾの色がどんどん違っていくっていうのがあります。
(工藤さん)wel-beeは本当にほかの3団体さんと違って全然まだ始まったばかりなので特徴という特徴はないかもしれないんですけど、結構メンバーが活動的なので、この前は文化庁さんに委託された共生社会実現について考えるプログラムがあったりしました。あとは自分たちでイベントを企画運営するというのは、他の方々に比べたら自慢できるというかちょっと誇れるところかなと思います。共生社会を作るための福祉、だからといって専門的なものをやるんじゃなくて、大学生や高校生、何も知らない人を対象に「誕生日に何が欲しいか」みたいなところから話を広げたりとか、入りやすいように頑張ってます。
◆こぼれ話②
上智学生記者クラブには実はYouTubeチャンネルもあります。Online Sophia Topicsと題して、コロナで大学に行く機会が減っていた時期に動画でキャンパスを体感してもらおうと始まった企画だそうです。現在は動いていないですが、動画と連動する企画があっても面白いかもしれませんね!
★団体・個人として、活動してきての自慢はありますか?
(工藤さん)今の2年生までなら知ってるかなぐらいなんですけど、去年のソフィアンズコンテストに出場された石田翔太さんっていう英語学科の方が結構福祉に興味を持っていたので、初期の段階で取材できたのが一番大きいかなって感じです。あとは多分福祉業界にいないとわからない方がちょっと多いので、取材先は外部が多いです。
(赤間)記者クラブ的な話で言うと先輩方のだと100号記念で学長にインタビューとかそういうのがあるんですけど、個人的に思い出に残ってるやつだと完成前の15号館に入ったのが一番ですね。先輩と2人で取材して、まだ工事中の15号館をいろいろ探検させてもらえたのは結構面白かったです!
(羽山さん)自分の書いてる記事はすごく心外なんですけど不祥事路線と言われています(笑)。(不祥事というかネガティブ路線の記事が多くて、例えば)最新号の左側のやつ(上智の法科大学院が不適合認定を受けた記事)は自分で、その前だと4月号の法学部のカンニングの時も私、去年のウェブサイトのポリシーの問題のやつも私だし、いやな扱いを受けているんですけど……なんか一個やると似たような記事全部押し付けられるようになって。決してそういう記事が好きなわけではないです(笑)。
自分の書いた好きな記事ですと今年の4月号に掲載されたライティングラボの記事で、自分がもともと授業を受けた先生がライティングラボをやってる先生で、オフィスアワーとかで(教授の所に)行った時にいつか特集しますよって言ってたのを4月号のタイミングで実現しました。知ってる先生に取材をできたのがすごく楽しかった回ではあります。
団体の歴史的な面で言うと元首相の細川護熙さん、あとはアナウンサーの安藤優子さん、声優の上坂すみれさんですとか、(上智新聞の)2面の「この人」ってコーナーで扱ったことがあるんですよね。ここで扱う人は卒業生の時もあれば現役生の時もあります。
(横瀬さん)インタビュー系なら上坂すみれさん、「ラヴィット!」のアナウンサーの田村真子さん、あと今年の号で安河内先生にインタビューしてみたりだとかがあります。
ウェブだとたまに記事がめちゃくちゃバズるっていうのがありまして、例えば私が書いた留年しない語学学科の生き方は割とバズりました。その時はOBの方にそれは違う、勉強すればお前みたいな人生にはならないみたいなことを言われました。結構そういうリプライが届くレベルのバズは何回かあったなという感じです。インタビュー相手では、お笑い芸人のお侍ちゃんが私的には気になってますね。
それとさっき言ったヤクルトの記事とかも結構今でも読んでくれてることが多くて、本当にふざけた記事なんですけど是非読んでみてください。
(赤間)この前警備員さんにインタビューしてませんでした? 記者クラブでも案が上がってたんですよね~先越されたと言うか(笑)。
(横瀬さん)あれwel-beeの代表が突然言い出して(アリオーゾと兼任されてる方だそう)やりたいと思ったことに対する動き出しが早いのが特徴かもしれないですね。
(羽山さん)先越されたって言うとあれなんですよ。今(上智新聞が)596号で、もうちょっと12月とか1月あたりに600号行くんですよ。そのタイミングで(今回のような複数団体の)対談を主催しようって考えてたら今日呼ばれてちょっとびっくりしました。
◆こぼれ話③
前回wel-beeがフリーペーパーを出した際は、クラウドファンディングで資金を調達したんだとか。すぐに目標額は達成できたそうで、すごいの一言です……。
★何か宣伝したいことありますか?
(横瀬さん)アリオーゾは次の29号が出るので見かけたらもらってください! 秋学期のはじめの方から配ります。
(羽山さん)次の10月号が出ます。で、割とよく聞かれるのが大学内に何箇所か新聞が置いてあるんですけどあれ取っていいのか分からないっていう。ぜひ取ってくれということなので。メインストリートとかで配ってたりもするんで、あんまりにも受け取ってもらえないと悲しくなるのでぜひぜひ!
それで大人向けに言うと広告を出してくれっていうのがちょっとあります(学生サークルの寄付にも支えられています)。
(工藤さん)wel-beeは今フリーペーパーとしてはあまり活動できていないので、SNSフォローしてくださいって感じです。そっちの方が動いてるので!
(赤間)記者クラブとしては、上智の公式LINEを登録してくれという所が大きいですかね~最近は存在を知らない人も増えてきたので……。最近インスタも始めました!
★宣伝に関連して、皆さんソフィア祭では何かやるんですか?
(赤間)記者クラブだとキャンパス系の記事が多いので、キャンパスマップをでかく貼って1号館のところに1号館記事のQRコード貼ってみたいなのをやって、記者クラブ的キャンパスマップを作ったりします。あとはちょっとクイズみたいなのを壁に貼ったりとかそんな感じのことをする予定です。
(横瀬さん)アリオーゾは伝統芸としてチュロスを売って、その金で冊子を作るっていう。2つ上の先輩からは「これ(冊子)はチュロスだ」っていう風に教えを受けましたね(笑)。
(羽山さん)上智新聞は去年は唐揚げを出したんですけど何人かの負担がひどくてダメージを食らったので、今年は出さずにいきます。稼げはしたんですけどあれ結構つらくないですか? みんなで死んだ目をしながら唐揚げを揚げて油ハネに苦しんで(笑)。あとは在庫の保管方法もですかね。
◆こぼれ話④
「アリオーゾと上智新聞は仲が悪い」という先代からの噂が、あるとかないとか……お越しいただいたお2人とも経緯を知らずにその噂だけ聞かされていたらしく、これをきっかけにでも協力関係を築けるといいですね~。
★何を考えて記事を書いてますか?
(工藤さん)wel-beeに関しては最初に言った通り福祉に関係ない人向けということで、取材する方は専門職の方が多くインタビューすると専門用語ばっかり出てきます。私自身が専門用語が分からないのもあって、それを分かりやすく説明できるようにすごく気をつけてるかなって感じです。あとは読みやすいようにしたいのであんまり長くしないとか、めっちゃくだけた言葉で話すとか、なんかすごいふざけてみるとか、そういうのはちょっと入れるようにしようかなっていうのをずっと考えています。
(横瀬さん)アリオーゾはいかに面白いか、全部それにつきます。面白くなかったら別にやらなくてもいいんじゃない? みたいなそんな感じの雰囲気が企画を作る時にはあります。
ウェブの方はみんながやりたいことやってて、やりたいことやってる時の方がなんかみんな面白そうです(笑)。
本当にどうでもいいんですけど私北海道に行った時稚内の食堂にアリオーゾを一冊を置いていただいて、北海道で一番東のところで泊まった宿にも置いてもらったり、知り合った人にも渡したりしてその人とは今も仲良いです。これを持ってるだけで意外とコミュニケーションツールになります。
(赤間)記事書いてる時で言うと、FIND SOPHIAの記事マニュアルみたいなのがあって、そこにも柔らかくいこうみたいな感じのことが書いてあるので、大学相手の取材とかでもなるべく固くならないようにと思いつつやってます。あとはウェブ記事なので一覧性がなくて、画面が一面文字で埋まっちゃうとめっちゃつまんなく見えるっていうのがあるので、できるだけ画像を入れてというのは結構気をつけてますね。まあ全然埋まっちゃうこともあるんですけど(笑)。
(羽山さん)自分はそれこそ言ってもらった一覧性というのは新聞は結構あるメディアで、その中で見出しの構成とかが意外と面倒くさくて取捨選択をしながらどの記事を上に上げる、記事の見出しのサイズはどう、みたいなことをやっています。公式のリリースとかどっかで出てる情報をなぞるだけだと面白くないので、そういったものをできるだけ頭に入れた上で自分が聞きたいことをちゃんと聞けるようにはしようと思ってます。あとは新聞って言いながら(昨年度は)隔月発行、今は毎月に戻ったんですけども出るのはちょっと遅いんで、ちゃんと情報量がないと本当に読む価値がなくなってしまうっていうのがあります。
上智新聞は上智の大学図書館と国立国会図書館にアーカイブされていて、もし100年200年経った時に当時の生活を見るものの役に立ってもらったら私はそれはすごく嬉しいことだなと思います。
おわりに
対談の内容は以上となります。ここに出せない裏話もたくさんお聞きしたのですが、それはまたどこかで……。
改めて、忙しい中集まってくださったアリオーゾ・上智新聞編集局・wel-beeの皆さん、本当にありがとうございました!!
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